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魔王の異世界戦記~その最強の実力は願った平和を求めるために~  作者: D-delta


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▽第20話 戦列に加わる新たな仲間

 ユウたちはTSbに占領されたルデンバ村を解放。後処理を終え、襲来してきたスウォーム・ワイバーンを撃墜した。

 たった数時間の内に多大な戦果を挙げたが、喜んでいる暇も、村のもてなしを受けている暇もない。


 ブオオオオオオオオオォォォォォォォォ!


 脳に響く終末音。

 生体兵器を制御、作戦指示を与える、戦略の音。


「ブレイズ……」


 敵──友人であるブレイズが精神波状意識支配システムを使い、次の一手を打った。

 ユウも次の一手を打つために動く。マレイア辺境伯の美人な童顔と顔を合わせれば、足早に近付いて話を切り出す。


「マレイア辺境伯、俺とルーシーは王城に一度戻ります」

「攻勢に入られるのですか?」

「はい」

「それならワタクシの娘たちを連れていくと良いですわよ」

「それは、俺に対して影響力を持ちたいからですか?」

「もちろんそれもありますが、攻勢に入るには人手と知識が必要でしょう? そういう面でワタクシの娘たちが力になってくれますわ」


 トレイルとマカルタを連れていくという、マレイア辺境伯の提案。

 政治的な意図はあるが、それ以上に合理的な理由が大きい。

 ユウに断る理由はなかった。


「分かりました」


 提案を受け入れて返事を返す。

 これでマレイア辺境伯の思惑通りになった。途端に明るく愛想の良い表情に変わるが、その目はユウのことを狩人のように狙っている。


「では、娘たちのことをよろしくお願いしますわ。ワタクシはこれより第二防衛線の指揮に入ります」

「了解です」

「またなにかあれば遠慮なく言ってくださいね? ワタクシが色々な面で勇者様を支えてあげますわ」

「はい」


 なにかの意図を持つ、マレイア辺境伯の妖しい視線。

 ユウの警戒する目。

 王城に戻ることを伝え終えて、ユウはその場を離れた。


  ※


 ユウの次の一手は攻勢に出ること。

 守勢のままではルセーレ王国を支配されるか、崩壊する。それどころかリーロ・ラルレ大陸そのものが支配下に置かれる。

 そこにユウが思い描いた穏やかな平和はない。国と大切な人を奪われた者たちは憎しみを抱き、戦いが続く世界となる。それでいて平和は神人類宇宙統一連盟の傲慢な秩序の中でしか得られなくなる。

 今までの平和は断絶され、暴力と搾取がリーロ・ラルレ大陸を埋め尽くすだろう。


「到着した」

「お、着いたね」


 平和を断絶させない。そのために、ユウたちは王城へと来た。


「そんで次は?」

「これから攻勢に出る。まずはルゼン王とロミ大臣に用件を伝えて、攻勢のための戦力を引き出そうと思う」

「なるほどね。まぁビス家の令嬢さんもいるし、どうにか引き出せるでしょ」


 ルーシーは背後を見る。

 ユウと同行しているのはルーシーだけじゃない。


「おおっ、すごい! 詠唱しないで転移とは……!」

「あっという間に王城ですわね」


 マレイア辺境伯の提案で連れてきたトレイルとマカルタもいる。

 それぞれ自前の武器を持ってきており、TSbの苗床から完全に復帰していた。

 もちろん二人が身に付ける防具は相変わらずのビキニアーマー。新しく着替えてもビキニアーマーのままだった。


「トレイル氏、マカルタ氏、二人も来てください」

「おほん! ユウ殿、敬語はいらんぞ。これから共に戦う仲間なのだからな」

「そうですわ、ユウ様。気軽にお話くださいまし」


 男勝りな口調のトレイルと高飛車に敬語を使うマカルタは言う。


「……じゃあ、トレイルとマカルタも来てくれ。二人がいると助かる」

「うむ!」

「喜んでお供しますわ!」


 ユウはトレイルとマカルタに対して敬語を外した。

 トレイルとマカルタにとって相手のタメ口を許すのは仲間と信頼した証。二人は口角を上げ、ユウを挟むように寄り添う。


「ちょーっ! トレイルもマカルタもユウ君に近すぎん?」


 ユウを露出の高いビキニアーマーで誘惑しているような図。

 ルーシーは直感的に、二人がユウを取りに来ていると確信した。


「いや、これは……仲間だから別に近くても良い、のでは?」

「そうですわ、ルーシー様。仲間以上に意識するなんて、ひょっとしてユウ様のことが好きでいらしてぇー?」


 トレイルが仲間だからと誤魔化す一方で、マカルタはニヤニヤしながらルーシーの痛いところを突いてやるつもりで言い返した。

 ルーシーは「えぇっと」と言葉を濁す。


「ほーら、図星ですわ」

「う、うぅぅぅるさいなぁ……!」


 ルーシーはたちまち顔が赤くなる。そのままマカルタと合わせていた目をずらせば、今度はユウのいつも真剣な目と目が合う。

 赤くなる顔が余計に赤くなった。


「あ、あの、ユウ君、今の聞いてた?」

「聞いていた」

「意味は理解している?」

「俺のことが好きなんだろう? 俺もルーシーが好きだ」

「マッ!? マー……絶対意味違うじゃん」


 当のユウは「?」となにも分からない。恋愛感情なんてものはなく、友愛と親愛で好きという意識しかなかった。

 そのような調子のユウだから、ルーシーは安心した。当分は誰にも取られないという確信があった。


「もう話はないな? 行くぞ」

「はーいよ」


 ユウ、ルーシー、トレイル、マカルタは王城へと入っていく。

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