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魔王の異世界戦記~その最強の実力は願った平和を求めるために~  作者: D-delta


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▽第18話 駆除

「こっちか」


 トレイルの救出と捜索は続き、ユウは触手の壁を引き剥がして新たな通路を発見。

 この通路も触手が埋め尽くしている。

 ユウはヒートチェインソードと思考型の氷魔法で触手を除去、通路を通れるようにしていく。


「……ん゛……ん゛ん゛……ッ!」


 口を塞がれた状態で出された声。

 触手を除去したことで、五感を強化したユウの耳に声が聞こえた。


「ようやく見つけた」

「いましたの?」

「こっちです」


 ユウは聞こえた声を頼りに先導。凍った触手の通路を通り、次の触手で構成された小部屋に入る。


「って、いませんわね。本当にこっちなんですの?」

「大丈夫です」


 トレイルはいなかった。

 しかしユウの先導に間違いはない。即座に触手の小部屋全体を凍らせ、ある一点の触手の壁を引き剥がす。

 触手の壁の先にあるのは、またしても触手で埋め尽くされた通路。


「んぅ! ん゛ん゛ん゛ん゛っ!」

「トレイル!」


 今度は五感を強化したユウのみならず、マレイア辺境伯の耳にもトレイルの声が聞こえた。

 トレイルは近い。この通路の先にいる。


「除去します。離れてください」


 再び除去作業を開始。

 焼き切り、凍らせ、触手を減らしていくほどにトレイルの声がより鮮明になっていく。


「完了。行きます」

「ええ、先導を任せます」


 手早く触手の除去を完了。

 二人は進めるようになった通路を進み、次の小部屋へと入った。


「トレイル!」


 暗い触手の小部屋をシャインライトの光で照らし、マレイア辺境伯は呼び掛ける。


「っ!? んぅんぅーっ!」


 呼び掛けに応えるトレイルの声。

 照らして見えるのは柱状に苗床となったトレイルの姿。

 紺色の髪色と切り揃えたボブカットの髪型。マカルタと同様のスタイルの良さと童顔に加えて、目の色も同じピンク。

 そしてトレイルもまたビキニアーマーを身に付けていた。


「危険だな」


 柱状にTSbの苗床となっているトレイルを視認し、ユウは小さく独り言を漏らす。

 トレイルは妊婦の如く腹部を膨らませていた。TSbにかなりの量を詰め込まれた証拠であり、出産量はすさまじくなるだろう。


「勇者イサム」

「はい?」

「今度はワタクシが救出作業をやってみますわ。フォローをお願いします」

「了解」


 次の救出作業はマレイア辺境伯がやる。

 ユウはフォローに入り、小部屋全体を凍らせて救出作業の環境を整える。


「やりますわよ」


 ほんの数分の内に小部屋全体が凍り付き、救出作業が可能となった。

 マレイア辺境伯は自前の剣を引き抜く。


「我の意思にて敵を断て! ウラディケイトスラッシュ!」


 そのまま魔法を放ちながら跳躍。引き抜いた剣に魔力が込められ、刀身が光り輝く。


「デヤァァァァァァァァァッ!」


 気合の入った声と同時に、マレイア辺境伯は力一杯に剣を振るった。

 剣の刃が拡張されたように魔力の斬撃が飛ぶ。そのたった一振りでトレイルを拘束する天井の触手を断ち切った。


「ダァァァァァァッ!」


 マレイア辺境伯は着地。次はトレイルを拘束する床の触手を、剣の一振りにて放たれる魔力の斬撃で断ち切る。


「ん゛ん゛っ!?」

「受け止めます」


 触手の拘束から解放され、トレイルは重力に任せて落ちる。

 そこをユウがキャッチ。お姫様抱っこの形でトレイルを受け止めた。


「マレイア辺境伯」

「分かっていますわ。我の瞳に映す光景を凍てつかせたまえ、フローズンマリン!」

「っ!」


 マレイア辺境伯の詠唱型の氷魔法とユウの思考型の氷魔法。

 トレイルを拘束していた触手をあっという間に凍り付かせ、処理を完了する。

 残るはトレイルの口と肛門の触手、体内で繁殖中の触手の処理だけだ。


「トレイルは?」

「無事です。意識はハッキリしていて、怪我はありません」

「んっ♡んぅ~~~ぅ!」


 一瞬快楽にやられながらも、ユウの腕の中でトレイルは意識をハッキリ保っている。

 怪我はなく、残りの処理をするのに支障はなかった。


「よろしい。では、最後の処理をしますわ」

「はい」


 ユウはトレイルを床へ寝かせる。

 触手を吐かせる準備は出来た。

 マレイア辺境伯は触手自ら体外へ出るように仕向けるため、トレイルの体内に入ったままの触手の断面を刺激する。


「ん゛っ! ん゛ん゛ぅ゛ーッ!」


 断面を触られ、刺激された触手はトレイルの体外へ出ようと暴れる。

 もちろんマカルタや冒険者たちの時と同様に、痛み、快楽、不快感が同時に襲ってくる。

 トレイルにとって体験したことのない感覚。耐え難い感覚に体をよじらせていく。


「後もう少しだから耐えなさい、トレイル!」

「んぼぉッ♡ぐ、ん゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!」


 トレイルの口と肛門から出る触手。栓を抜いたようにドロドロと両方の穴から垂れ落ちる白濁の液体。

 そして白濁の液体と共に口と肛門から触手を産み落とす。


「んおぉっ……おぉぉぉぉぉぉッ!」


 次々に産まれる触手は相変わらずの勢い。体内で繁殖中の触手を全て産むまで止まることはなく、凍った床へと大量の触手を産み落としていく。


「しっかり、トレイル!」

「お゛、お゛ぉ゛ぉ゛っ! お母様ぁ……」


 トレイルの出産は十数分と続く。

 マカルタや冒険者たちよりも出産量はかなり多い。トレイルの体外へ出た触手が一つに結合すれば、その大きさは小部屋の半分を占めるほどに成長していた。


「お゛っ゛……く、はっ……お、お母様」


 トレイルの出産は止まった。体型が変わるほどの量を体外へ出し切り、息を切らすほどに体力を消耗している。すぐには動けない状態だ。

 そんなトレイルのすぐ背後に触手が迫る。


「マレイア辺境伯、下がって」

「えっ?」


 ユウは真っ先に動き、マナ制御により強化された身体で素早い動きを繰り出す。

 まずはマレイア辺境伯を片手で押して後ろへ下がらせる。直後、そのままトレイルをお姫様抱っこで抱えて引き下がった。


「はわっ!?」


 あっという間にトレイルはユウの腕の中。

 異性との近さ、ユウの力強さに包まれて、トレイルは思わず赤面した。


「あぅ!」

「すいません、手荒なやり方で」


 通路の方まで下げられたマレイア辺境伯の方は勢い余って尻もちをつく。


「一瞬遅れていたら、誰か苗床行きでしたから」

「え?」

「ほ、本当だ! さっきいたところに触手が!」


 トレイルは目にする。先ほどまで自分たちがいた場所は無数の触手で埋め尽くされており、ユウの手助けがなければマレイア辺境伯とトレイルのどちらかは苗床へ一直線であった。


「仕上げの段階に入ります」


 ユウは仕上げを宣言。魔法のオーラを身に纏って思考型の氷魔法を使い、トレイルの体外へ出た触手の成長体を即座に凍り付かせていく。


「すごい、こんな魔法が……」


 詠唱も必要動作もない思考型の魔法を目にして、トレイルは驚く。

 そうやって驚く間に触手は完全に凍り付いて無力化された。


「マレイア辺境伯、転移魔法は使えますか?」

「可能ですわ」

「では、娘さんを連れて脱出してください」

「仕上げは?」

「毒にて仕留めます。TSbは触手を一つに結合して巣を拡大する都合上、一個体であることが大半ですから」

「つまり毒を流したら簡単に巣を沈黙させられると?」

「はい。ただし苗床となった者も犠牲になりますので、そこだけは注意が必要です」

「なるほど……」


 対策を知っている上で必要なものがあればTSbの無力化、殲滅は難しくない。しかし安易に殲滅の方針で行くと苗床になった者は犠牲になる。

 この事実がTSbの駆除に手間を増やす。救出には手間が掛かり、最初から殲滅を選べば犠牲者を増やすのだから。


「ともあれトレイルを連れて戻りますわ。後はお願いします」

「了解」


 トレイルをマレイア辺境伯に預け、ユウはTSb殲滅のために残る。

 その時、トレイルが「勇者殿」と声を掛けてきた。


「その、あ、ありがとう」

「どういたしまして。お疲れでしょうから、休息を取るようにしてください」


 頬の紅潮が抜け切らないトレイルのお礼に、ユウは返事を返す。

 会話の終わりを見計らい、マレイア辺境伯は「撤退しますわ」とトレイルを連れて転移魔法を発動。二人はTSbの巣から撤退していった。


「後は始末だけだ」


 後はTSbの殲滅。

 ユウは凍った触手の全てを解凍した。

 TSbは活動を再開。マカルタ、三人の冒険者、トレイルが出産した触手は巣へと結合して一つになる。


「そうだ、それでいい」


 ユウはこのタイミングを狙っていた。


「殲滅する」


 TSbの触手が一個体となったタイミング。ここでユウは巣の触手に指を突き刺した。

 繰り出すのは思考型の毒魔法。指先から致死性が極めて高い神経毒を触手に流し込む。

 毒はすぐに全体に回る。

 毒を流し込んだ部分から触手は動かなくなり、数十秒の内にTSbを殲滅。巣を構成していた触手は全て力尽きた。

 その直後、砂と土が落ちてくる。


「崩れるな」


 振動と響く轟音。巣を支えていた触手が力尽きたことで巣の崩壊が始まった。

 すぐさまユウは思考型の転移魔法で巣から脱出。

 陥没によってTSbは土砂に埋まる。

 こうして苗床になった者を全員救出。TSbの駆除を完了した。

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