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魔王の異世界戦記~その最強の実力は願った平和を求めるために~  作者: D-delta


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▽第16話 解放、巣は土に根を張るように拡大して

この先、触手による苗床描写あり

苦手な方は飛ばしてください

「到着。ここからは気を抜かないように……」

「もちろん分かっていますわ」

「抜くのは触手だけってね」


 三人は救出の続きをするため、ユウの思考型の転移魔法でTSbの巣に戻ってきた。

 再びの巣はやはり暗闇。

 ユウはマナ制御一つで暗闇を見通せるが、ルーシーとマレイア辺境伯はそうではない。


「明るくするよ」

「では、ワタクシの方も……」


 二人は揃って「我に光よ、シャインライト」と魔法を詠唱。

 手の平に展開された魔法陣から光が現れ、ランタンほどの光量で凍った周辺を照らす。


「これでオッケー、よく見えるわ」

「周辺はまだ凍っていますわ」


 シャインライトの光で暗闇を明るくし、視界に巣の光景を映す。

 周辺は凍っていても、まだ凍らせていない箇所は多い。触手が動いていて巣を拡大させ続けている。


「よし、これよりTSbの巣を無力化しつつ救出を再開する」

「ワタクシが先導しますわ。引き続き凍らせるのは勇者イサムに任せますわ」


 三人は救出を再開。

 マレイア辺境伯の先導とユウの思考型氷魔法で、行く先を阻む触手を凍らせながら巣の中を進む。


「誰もいないね」


 順調に足を進ませているが、苗床になった者は見当たらない。


「誰もいませんわね」

「これ部屋の反対側にいるんじゃね?」

「その可能性はあるな」


 そうして三人は室内の片側壁面まで来た。

 床、壁、天井、どこを見ても誰もいない。

 次はもう片側である。


「では、反対側に行きますわよ」


 三人はもう片側の方へ向いて進む。

 凍り付いた触手だらけの床を踏み進んで、まだ凍っていない室内片側も凍らせていく。


「どこだ?」


 触手を凍らせながら進むが、冒険者三人とマレイア辺境伯のもう一人の娘はどこにも見当たらない。

 このままでは発見出来ないため、ユウはマナ制御で身体のみならず五感も強化。すると巣のどこかから僅かな声が聞こえてくる。


「天井には、いない」

「壁にもいませんわ。もう地下にいないのでは……?」


 どこかに救出対象がいることは確実。

 しかし発見出来ない。巣の全体を探しても見当たらなかった。もはや屋敷の地下にいないという可能性すら浮上してくる。


「いや、いるな」


 そんな中で、ユウはある一点を見つめた。


「どこぉ?」

「そこだ」


 ルーシーの疑問にユウは答えて、ある一点に指を差した。

 指の先にあるのは触手に覆われた壁。僅かな声がする方向。

 当然疑問は出るもので、マレイア辺境伯が「どう見ても壁ですわよ?」と疑問を口に出した。


「違いますよ、マレイア辺境伯」

「どういうことですの?」

「屋敷全体で見て、TSbの巣と化しているのは地下のみ。つまり巣の拡大は地下のままで行われているということ……TSbはこの保管庫の壁を破壊し、巣を拡大している可能性が極めて高い」


 マレイア辺境伯の疑問にユウは答えた。

 そのままユウは話したことを証明するように、自身が指差した場所の凍りついた触手を力任せに引き剥がす。


「うわ、こんなところに!?」

「これは……!」


 ルーシーとマレイア辺境伯は驚く。

 ユウが引き剥がした触手の先にあったのは、保管庫の壁ではない。先入観で保管庫の壁があると思っていたところには触手で構成された狭い通路があった。


「やはりあったな」


 ユウの見立て通り、TSbの巣は屋敷の地下を越えて拡大されていた。

 この通路の先には残りの救出対象がいるだろう。


「狭くね? 四つん這いで行けって訳?」

「ですわね」

「マジかぁ」

「マジですわね」


 巣の通路は立って歩くほどの広さがない。一人ずつ、そして四つん這いの姿勢でしか通れない狭さであった。

 つまり先頭以外は前の人間の尻を見ながら進むことになる。

 ルーシーとマレイア辺境伯は察してと言わんばかりに、ユウに視線を送る。


「?」


 ユウには二人の視線の意味が理解出来ない。

 彼に、異性にじっくり尻を見られることへの羞恥心などないのだから。


「こほん……ワタクシの先導はここまで、ですわね。ここから敷地を越えていますから」

「そうだね、マレイアさん!」


 ユウに先頭になってほしい、という会話。察してほしいという一心。


「なるほど。では、ここからは俺が先頭になります」


 そんな二人の思惑に対してユウは〝自分が先頭になってリスクを減らし、巣の無力化を効率化する〟という合理的判断の下で先頭になることにした。


「ユウ君、さすがぁ!」

「さすがは勇者様ですわ! 度胸がありますわね!」

「?」


 ルーシーとマレイア辺境伯の思惑通りになった。

 もちろん当のユウは二人の思惑など知らない。異様な持ち上げ方にただ首を傾げるだけであった。


「さぁ、進みますわよ」

「了解」


 ユウを先頭にして、周りの触手を凍らせながら狭い通路に入る。

 三人は四つん這いの姿勢で凍った触手の中を進んだ。


「……ァ……ンォ……!」


 触手の狭い通路を進んでいくと、進行方向から人の声が聞こえてくる。


「声、聞こえる。誰かいるよ!」

「急ぎますわよ」


 今度は五感を強化したユウのみならず、ルーシーとマレイア辺境伯の耳にも聞こえた。


「ん゛……ぶぉ……!」

「ォ……んぉ!」


 更に進めば声は増えて、近くなる。救出対象はこの先にいる。

 そうして進んだ先に触手で構成された小部屋が見えた。それだけでなく、苗床となった女性もユウの視界に入った。


「ここで正解だ。いたぞ」

「よっし、助けよう!」


 周辺を凍らせ続けて、三人はTSbの巣の一部である小部屋へと入る。


「苗床は三人か」


 視界に映る救出対象は三人。背丈の低い少年一人に、成人女性二人。

 いずれも口と肛門の両方に触手を入れられ、上下に手足を拘束される形で柱状に苗床となっている。


「マレイア辺境伯、この中に娘さんはいますか?」

「……いませんわ。もう一人の娘──トレイルはワタクシやマカルタと同じ格好をしていますもの」


 ユウは聞き、マレイア辺境伯は重い表情で答える。

 救出対象の格好はビキニアーマーのような露出の激しさがない。その格好がマレイア辺境伯の娘がいないことを示している。


「なるほど。では目の前にいるのは──」

「救出に出たはいいけど、苗床になっちゃった冒険者三人という訳ね」

「ともあれ見つかったのは幸いですわ。早急に救出しますわよ」

「了解。救出に取り掛かります」


 三人は苗床となった冒険者たちの救出作業を開始。

 まずは小部屋全体を覆う触手を凍らせて安全確保。救出に取り掛かる。


「落ちるぞ、受け止めてくれ」

「オッケー」


 ヒートナイフで冒険者たちを拘束する触手を溶断。

 巣から切り離された冒険者は重力に身を任せて倒れていく。そこをルーシーとマレイア辺境伯が受け止め、怪我のないように床に下ろした。


「ナイスキャッチ!」

「さすがに人の体重が落ちてくると中々……」


 ずしりと来る、人間の全体重。

 二人掛かりで巣から切り離された冒険者を受け止める一方で、ユウは溶断した部位の触手が再度動かないように凍らせていく。

 そうやって冒険者を一人ずつ安全に救出、冒険者三人を苗床から解放した。


「んおぉぉぉぉぉ……」

「お゛お゛お゛っ゛!」

「うぅっ! んおぉぉぉぉ!」


 しかし解放したから終わりではない。

 三人の冒険者はマカルタの救出時と同様、体に触手が入ったまま。しかも今度は肛門のみならず口にまで触手が入っている。


「今度は口とケツ穴に触手が入っているけど、どうする?」

「触手の断面を刺激するんだ。溶断した部位を触ればいい」

「触手の断面……傷口を触れば痛がるってことか」

「なるほどですわ。ワタクシもやってみましょう」


 触手は冒険者たちの口から胃、肛門から腸にまで到達している。

 無理やり引っ張れば体内を傷付ける。

 だからユウが教えた方法を、ルーシーとマレイア辺境伯は実行。断面を触ることで触手を刺激、冒険者の体内から自ら出るように仕向けた。


「おっ! んうぉぉぉぉ……!」

「お゛お゛っ゛う!」

「ンンッ! オオォォォォォォォォ!?」


 刺激された触手は体内から出てこようと暴れ、冒険者たちは不快感と痛みと快楽に悶え苦しむ。


「後は出し切るまで待つだけですわね」


 三人は冒険者たちを見守り、待つ。


「ぉぉぉっ! ゴホッゴホッ!」

「お゛お゛っ゛えぇぇぇ!」

「ん゛っ゛! オォォッ!」


 それぞれの口と肛門から出てくる触手、流れ出てくる白濁の液体。


「うぅっ!? お゛ぉ゛ぉ゛ぉぉ……!」

「イ゛イ゛ィ゛! お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ゛!」

「うぐぅ……! ア……ッ!」


 そして白濁の液体と共に、体内で繁殖した触手が口と肛門から産まれる。

 もちろん一回だけでは止まらない。

 次々に産まれて、勢いが止まることなく大量の触手がボトボトと産まれ落ちていく。


「ユウ君、この人たちから離れた方がいい?」

「あぁ、その方がいい」

「分かった」

「さっきのこともありますわ。ワタクシも離れていますわね」


 そう言って、ルーシーとマレイア辺境伯は触手を産み続ける冒険者から離れた。

 触手は一つに結合。今度は三人分の量で、マカルタの救出時よりも大きくなっていく。


「お゛ぉ゛ぉ゛……っ! ゴホッゴホッゴホッ!」

「ぁ、はぁ、はぁ」

「がっ、あっ! やっと終わった……」


 冒険者たちは産み終えた。これ以上口と肛門から触手は出ない。

 しかし一つに結合した触手は小部屋の天井に届くほど成長していた。


「狙う隙は与えない」


 TSbの触手が誰かを苗床として狙う前に、ユウは成長した触手を凍らせた。


「さすがだね、ユウ君。手早いわ」

「判断の遅れは事態を悪化させるからな。手早いに限る」


 あっという間の無力化。

 この場の全員が無事に済んだ。


「で、後は転移でまた戻る感じ?」

「そうしたいが、巣がどれだけ拡大しているか未知数だ。村の外にまで被害が出る前に救出を再開したい」


 残る問題は屋敷の地下を越えて拡大された巣の規模が完全に未知数なこと。

 一分後には村の外にまで巣が拡大する可能性があり、救出対象を連れて戻る時間はないかもしれない。

 そこでルーシーが「じゃあアタシが冒険者ちゃんたちを連れて転移やっとく?」と名乗り出た。


「頼めるか?」

「オッケー! 任せてよ」

「それと冒険者たちを退避させた後は待機で、TSbが退避先に来た場合の撃退を頼む」

「了解よん」


 ルーシーの転移で冒険者たちを帰還させることになった。

 これで時間を掛けずに救出を再開出来る。


「お先に戻ってるね! 後は任せたよ、ユウ君にマレイアさん!」


 ルーシーは転移魔法を詠唱。冒険者たちを連れて転移、TSbの巣から撤退した。

 後に残るのはユウとマレイア辺境伯のみ。


「二人きりですわね、勇者イサム」

「そうですね。より気を引き締めて、素早く救出を成し遂げましょう」

「うふっ」


 意味深な微笑み。女を出した声。

 ルーシーがいなくなったことで、マレイア辺境伯の雰囲気が露骨に変わる。


 救出対象は最後の一人。

 救出は最後へと移行する。

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