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【サメ映画和風アレンジ】デス畳 - DEATH TATAMI -  作者: 七谷ぐちた
第三章 兵器の起動・最終決戦
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第49話 最終決戦6


「ふう、やはりあの奥義は、少々負担がかかるな……。アレを受けて、まだ破壊しきれていないタフさは、賞賛にあたいする……。しかし、いよいよ最期の(とき)が、近づいてきていると見えるな」


 デス畳は、タミ、タミ、と満足げに笑う。


「ん? キサマは……二度までも(オレ)にドロップキックを()らわせた女か。両の足の感触、おぼえているぞ。人の身でありながら、大した練度(れんど)……が、こちらももはや虫の息のようだ」


 目をほそめ、“お嬢さま”を見やる。


「楽しませてもらった礼に、せめて、苦しまずに()かせてやろう」


 ズン、と地を揺らすように、デス畳が歩を進めた。

 “お嬢さま”には、もはや、抵抗しようというようすもない。


「たみ!」


 そこへ立ちはだかったのは、ミニ畳であった。

 畳でありながら、ふにゃふにゃと波打っている。

 おそらく、立っていられぬほどの恐怖のためであろう。


「キサマは……ジャマするなら、ただではおかんぞ。(オレ)に、人間のごときおろかな(じょう)など、存在せぬ」


「ミニさま、いいのです。あなただけでもお逃げあそばせ……!」


 “お嬢さま”の制止もきこえぬもののように、あるいはとどいた声を振りきるように、ミニ畳は胸を張って少しでもからだを大きく見せようとした。

 デス畳は、無視してまた一歩“お嬢さま”へ近づく。

 ミニ畳は押しかえそうとこころみるが、デス畳とはまったくパワーがちがっており、なんの妨げにもならぬ。


「……タミッ」


 蚊でもはらうように、デス畳は軽くはたいた。

 たったそれだけでミニ畳は吹き飛ぶ。

 めそめそと、すすり泣くようなようすを見せたミニ畳であったが、いよいよデス畳が“お嬢さま”の前に立ち、


「……さらばだ」


 と両の畳ですくう段になると、


「たみ、たみ、たみー!!」


 と絶叫し、ためにためたバネがはじけるように床から()ね、その天面(てんめん)でデス畳へとぶつかってみせた!


「ぬ、ご……っ」


 ふいを打たれたデス畳は悶絶(もんぜつ)するようにからだを折り曲げていたが、


「キ、サマ……ッ!」


 と激昂(げっこう)とともに今度は力いっぱいにミニ畳をはじき飛ばした。

 猛スピードで壁へと激突したミニ畳は、たった一撃でボロボロになってしまう。


「キサマは、しょせん、(オレ)とアイツの戦いの際に欠けたいぐさや部品を練りあげ、アイツが勝手につくったできそこないにすぎん……! (オレ)やアイツのパワーとは、くらぶるべくも……」


 目を吊りあげて怒鳴りつつバサバサと飛翔(ひしょう)し、はむっとミニ畳の両側を挟んだ。

 そのまま圧殺(あっさつ)してしまおうと、両の畳がふくれあがる。


「やめなさい、わたくしたちだけで、じゅうぶんでしょう……!」


 “お嬢さま”が、必死に首をもちあげながら言うが、デス畳の圧力はゆるまない。


「たみ~」


 とミニ畳は苦しそうに、嘆き悲しむような声をあげる。

 さらに「たみ」と、弱々しく、いずこかへと呼びかけた。


『あなたは……』


 そうもらしたのはメカ畳であったが、両者のあいだにどのような意思疎通があったのかは、人の身にはわからない。

 メキ、メキとミニ畳のからだが少しずつ損壊していく。


「たみ、たみぃ……」


 ひと声ごとに、ミニ畳の声が弱まっていく。

 そのとき、ふと――デス畳の動きが停止した。

 そのあと、唾棄(だき)するようにペッとミニ畳を吐き捨てる。


「ふん、キサマのような惰弱(だじゃく)、喰らう価値もない」


 床へとたおれるミニ畳を蹴り捨てて、背をむける。


(オレ)が求めるのは強者のみ……キサマの血肉(けつにく)、もらうぞ。(オレ)のエネルギーの一部となるがいい」


 改めて、“お嬢さま”へとむかった。


(せめて生きていてくれれば、いいけれど……)


 “お嬢さま”は胸中(きょうちゅう)でミニ畳の無事を願った。


(なにもできなくて、ごめんなさい……)


 力の入らなくなってしまったからだで、そっと目をつむる。

 真っ暗ななかに、ただ、いとしい人の姿だけがまぶたの裏へうつっている。


(最期は、あなたのその笑顔といっしょに……)


 デス畳がすぐ目のまえで、グパッと口をひらくけはいがした。

 暗やみのなか、ふわりと自分のからだが浮くような浮遊感があり、その耳に――


「……“お嬢さま”、遅くなってしまって、すまない」


 そう、自分に詫びる声がきこえた。


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