美的センスゼロの少年、前世
彼は絵を描いている。
学校の中で、
美術の時間だから、絵を描いている。
それ以外に何を書けばいいというのは
ご法度だ。
彼の名前は前前世
前がもう一つついたら、
君の名前を聞いてしまいたくなる。
おっと、時間だ。
リンゴを描いた絵を各自提出しなさいと
言われて先生のもとへと運ぶ。
それしか書くものがない。
それ以外いったい何を書けばいいんだ。
ルールを忘れ暴れそうになるのを必死にこらえ脳内に押し止めた。
前世くんの絵はチラッと彼の絵を見る。
そりゃあ普通のリンゴだろうと、思いきや!
「何ですかこれは!?」
「先生!しっかり意識を!」
先生は目からビームを出して落下した隕石を破壊したことはまた、別の…
先生を保健係と警備ロボットが手伝いに運ぼうとした次の瞬間
「リカイフノウ…ガガガ」
「保健ショッークッ!ガックシ」
次々と倒れてゆく人々とロボット
偶然見ていた鳥さえも窓にぶつかって昇天する始末。
「早くあの絵にシーツをかけて!」
「誰が、シーツをかけるんだ!」
全員あの絵を見ないように目を閉じる、
視界に入らないように
辺りが静寂に包まれる
「みっ見えない!」
「これ、スイカ割りゲームのようじゃないか!」
「きゃあ誰かパンツ触った!」
「あっごめん!」
「この変態!」
「胸が!」
「タイラムネデスミマセン」
「ロボットだった!」
いつしか負の連鎖が始まっていた。
変態とハレンチの大混乱、
いつしか自己防衛の無の空間には
阿鼻叫喚の大乱闘が始まっていた。
「みんなー、もうシーツかけたから目を開けていいよー」
一同が彼を見る。
その絵にはシーツがかけられていた。
それ以外に何を書けばいいのだ。
と遠慮なしにいうのがもはや決め台詞になってきている。
彼の絵は呪いの絵として後日オークションにかけられることになったのはまた、別の話…
「前くん」
「うん?何か?」
「どうして君は平気だったの」
「あぁ、それは…」
彼は圧倒的美的センスの家庭の中で唯一
美的センスゼロだったからだ。
「略して美少年ってね!あはは」
彼は笑ってみせた。
それ以外に何か書くとすれば、
この笑顔の奥にはちょっとした悲しみを感じた。
「ごめん!後ろ向きに感じさせちゃったねそれじゃあ」
彼はどこかへと姿を消した。
傍観者のうちの誰かがおいかける。
「逃がすな追え!」(心の声)
賞金稼ぎを捕まえるハンターというのは嘘である。
少なくとも、この文章を書いている人物が追いかける者にならなくてはいけない。
「はぁはぁみつけたぁ~」(心の声)+ニヤリ
大抵の視聴者は思い思いになんだコイツキモいなと思われることだろう。
しかし、安心してほしいこれは脳内で取った行動であって、というのは無駄な文字の徒労に終わる。
「ごめん、僕、宇宙に帰んなきゃ」
「え?」
思わず文章を書いていたと思わしき少年はびっくりする。
「実は僕は宇宙人だったんだ」
衝撃の告白!いつの間にか美的ゼロの少年の設定に新たな新情報が解禁された。
よっしゃ!コンプ率上がったぜ、だけど、なぜかな親密度ランクが上がったとは思えないし
ここに来て、文章で綴っている誰かさんはふと疑問に思っていた。
ここまでで、誰かに向けて書いてるとしたらそれは恥ずかしいことだと、今すぐにでもこの創作活動に終止符をうちたいと思っていた。存在Xと名付けよう、そうしよう!
存在Xが完成!宇宙人だった彼よりも宇宙人らしい!キラキラ星 (謎マウント)
彼は宙へと指を向けた
そして、数秒後
UFOがきた。
「まんま円盤じゃんっ!」
「そうかな…なんか照れる」
前くんの家族が出てこようとしてきている
「今日は授業参観じゃありませんか?」
「いや、違うよ…」
あっ、直視してしまった。
存在Xは倒れてしまったようだ!
ーゲームオーバーー
目が覚める
「僕はアブダクションされてしまうのか!?」
「大丈夫だよここは僕の家だから」
「全然!?大丈夫じゃないよね!?」
存在Xは納得した
彼が美的センスゼロだったのは宇宙人と地球人のセンスの問題だったからだ。
「まだ遅くないよ!」
「え?」
あの悲しい顔を存在Xは感じとっていたから、
「あの、茶菓子でも…あら」
いつの間にか彼らはいなくなっていた、
「地球との距離離れているよ今さら遅いよ…」
「遅くない!創作活動はいつでも可能なんだ!」
彼らに光が灯った、
「この光は!」
「やぁ、君たちは隕石を退けたようだからそのボーナスということで」
「地球の神アース爺!」
「名前知ってるの!」
「いや、適当」
「ワシの名はアースzではない!って、聞いておるか!」
こうして、謎のちからによって彼らは宇宙空間で爆死乙することもなく、
落下のダメージをうけることなく
学校へときたものの
「あなたたちは学校を破壊して恥ずかしいとは思わないのですか!」
甲高い声に耳や脳を悩ませられることとなった。
他の絵は全滅したが、唯一前くんの絵だけは無事だったようだ。
それは主人公補正か何かか!?
「はい、コロッケ!」
「ありがとう…しばらくヴィーナス星には帰れなくなっちゃった」
「それは、なんかごめん、」
前世と存在Xは学校へ修理費をどうにかせいと請求され、臓器売買、闇の組織にお金を借りようかと悩んでいたところだった。
しかし、あの絵がまさか世界的オークションで落札され、 その絵の作者を捕らえようといろんな組織に狙われることはまた、別の話。
「いいよ、だって、僕は心のどこかに隙間を感じていたんだ、劣等感というのかなまたは諦めた感じの感情が僕を支配していたのかもしれない。」
彼の言葉には何も返せなかった。
簡単に片付けられない、それこそ、安易に口を出してしまえば、それこそ、奈落に落ちてしまうような感じのやつ。
………静寂が辺りを支配する
といっても二人の空間だけそう感じるのであって時は動いている。
そして、徒然と時は進んでいくのだった。
モノガタリードットコムでお題『前世は美少年』で書いてみた作品です。普通に美少年というのはどうなのかなぁと思い、美的センスゼロの少年略して美少年にし、キャラ名で前世にすればというごり押しで書いてみました。日常を描くはずが、だんだんSFになってきたのには笑ってしまいました。これも、プロット無しで描いていくことの宿命のようなものですね。