神託前
毎月、町のみんながお祈りに来る海沿いの森に囲まれた教会。
教会の扉を開けると、普段と変わらず優しげな笑みを浮かべた神父様がそこにいた。
「いらっしゃい、昨日は良く眠れましたか?」
「いえ、全然眠れませんでした。ですが今は楽しみです!」
シャイラがそう言うと他のみんなも一斉に頷く。
神父様は変わらず優しげな笑みを浮かべたまま
「そうですか、それは良かった。毎年神託の儀の日になるとみんな緊張してそれは酷い顔をしていますから。みんな良い友達を持ちましたね」
「そりゃそうだよ神父様!なんてったって俺の幼馴染たちだからな!緊張するやつなんていねぇよ!」
豪快に笑いながら神父様に言ってるけど、リク…お前めっちゃ緊張してたじゃん…
「えー?リク君めっちゃ緊張してたじゃん、吐きそうな顔して声も変な感じだったし、ねー?お兄ちゃん?」
「アミィ、リクにもプライドというものがあるんですから、そういったことは隠してあげないと…」
「アミィ!てめぇもキャンキャン叫んでただろぅがぁ!ルド!てめぇもそれはフォローになってねぇ!つーかお前らも吐きそう顔してただろぅが!!」
「きゃーアミィちゃんこーわーいー!」
「やれやれ…」
リクとアミィ、ルドの3人は神父様の前ということを忘れてないか…?
「まぁ本当に緊張してなかったのはユーリだけだよね」
そうシャイラが笑いながら言うとみんなして頷いていた。
「ユーリ君は一切緊張していませんでしたよね?」
「ユーリ君って実は大物?」
「大物っつーか鈍感なんだろ」
そう言いながら笑い出す幼馴染たち。
お前らもう一回緊張してくれ。
「職業は絶対じゃないだろ、僕はどんな職業をいただけたとしても努力して自分の夢に向かって進むだけだよ。その為に今まで努力してきたんだ。みんなもそうだろ?」
そう言うとみんなは力強く頷いた。
「んだな、今更悩んでもしゃーないし、いっちょやったろうぜ!」
「うん!みんな今まで頑張ってきたんだし、暗くいくより明るくいこー!」
「ええ、これはあくまで夢の通過地点に過ぎません」
「みんなこれが終わったら私のおかげでユーリから奢ってもらえるからね!」
「おう、僕のお小遣い全部持ってけコノヤロー!」
「「「「「いくぞー!!!!!」」」」」
さぁ、神託の儀を受けよう
これが全ての始まりであった。