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SKYVEHICLE【スカイ・ビークル】1巻  作者: じゃがマヨ
【生活安全捜査課所属】 氷室かざねの日常
9/30

第9話



 氷室かざねは自らの細胞内に生成した【青】の量子エネルギーを展開する。


 地面へと衝突する間際、地上に向けて放った水の粒子が、泡状に重なりながら膨張していく。


 廃墟ビルのプラザに徘徊していたイノセントたちの周りに出現した水の奔流。


 それは球面上に輪郭を伸ばしながら、巨大な〈質量〉を現出した。



 青の”フィールド“



 さながらそれは【水】(水素と酸素の化合物)のようにも見えるだろう。


 事実それは「水素」で形成された物質に違いはなく、量子的な成分も性質も、99%整合するに違いない。


 ただし現出された質量、——及び「物体」は、あくまで彼女の体内によって生成された『量子エネルギー』に過ぎない。


 言い換えれば、“水に似た何か”。


 例えばキャンバスの上に書く青のように、またはデジタル上に表現する「水」のように、“人工的な化学物質“に等しいものが、地上へと展開されていた。


 周囲数十mを覆う水の瀑布。


 垂直に落下する大量の粒子。


 展開された質量の中心へと、姿勢を乱すこともなくダイブする。



 「彼女」は、そこにいた。



 地上に落下するまでの5秒。


 かざねの落下スピードは秒速44.3m/sの速度に達していた。


 ビルから落下した時、その高さは120mはあった。


 常人ならば、この高さから落下して致命傷を避けられるものはいない。


 それがたとえ水面の上であったとしても同じだ。


 落下によるダメージ。


 普通ならばそこに視点が移るべきだが、“注視するべき問題”はそこではなかった。


 かざねが展開した水の粒子は、凄まじい勢いで地面を覆う。


 それは自らの身を守るためのものではなく、地上にいるイノセントたちを怯ませるため。


 コンマ1の加速度の中に衝突する重力加速度9.8 m/s2 。


 着水と同時に水の皮膜が弾け、飛散した。


 かざねは空中で回転しながら着地した。


 水の飛沫が、宙に停止した雨水のように緩やかな放物線を描き。



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