第27話
ブゥゥゥゥゥン
かざねが最初に視認したイノセントの数はざっと十数体。
そのうちの大半は「地面」にいた。
しかし残りの“3体”は、ビルの上階、——及び屋上にいた。
地上に飛び降りたのは2体。
1体はまだ、上空にいた。
50階建てのビルのてっぺんに。
大弓の形に変形させたエネルギーを、ギチギチと後ろに引く。
屋上にいたイノセントは、狙い澄ませていた。
シールドが破壊できない可能性に対し、事前に連携を取っていたのだ。
矢を放つタイミングはちょうど、——今
その選択は時間の経過に乗じて加速した。
シールドが“破壊されている”という認識。
その認識の渦中に、最大出力の矢を放つ。
ボッ——!
矢が放たれたと同時に、着弾地点から閃光が迸った。
ビルの屋上に待機して、矢が放たれるまでの十数秒。
イノセントは自らのエネルギーの一切を、一本の矢に注力していた。
時間をかけたことによって、その“張力”は膨れ上がっていた。
矢が放たれるまでの直線的な質量と密度。
屋上から放たれた一投は、ビルが倒壊した直後の地面の揺れを加速させ、——また、膨張させた。
瞬く間に周囲にエネルギーが行き渡った。
噴水のように煙が垂直に持ち上がり、大気が揺れた。
吹き飛ばされた地面とその瓦礫が、凄まじい衝撃波とともに飛び上がっていた。
強風によって千切れた粉塵が、渦を巻きながら。




