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プロローグ:なんで?

見ていただきありがとうございます。

今日中に数話いきますので、気に入っていただけたらブクマなどをしていただけたら幸いです。

『あんたなんか、産まなきゃよかった』

『お前なんか死んでも、誰も気づかねえよ』

『いじめられてる?優等生の岡田がお前にそんなことするわけないだろう』


 父が出て行った時の母、俺を虐めていたクラスメイト、それを黙殺していた教師、 

 やれやれ、今際の際だってのに思い出すのは嫌なことばかりだ。

 でもこの苦しみも今日まで。


 椅子に乗り、天井にうまいこと引っ掛けたロープの輪に首を通す。

 そして、そのまま大きく椅子を蹴飛ばした。

 

 24歳の春、俺は自らの命を絶った


 はずだったのにーー



*****


「お、目が覚めたかい、少年」

 誰か知らない人の声が聞こえた。

 目をゆっくり開けるとあたりは一面真っ白の空間で、

 目の前にはいかにも胡散臭(うさんくさ)い、宗教法人の教祖みたいなおっさんが座っていた。

 

 どこだここ…、自殺失敗したのか?


「ふむふむ、木下翔24歳、趣味はアニメ鑑賞とゲーム、ブラックな企業でこき使われていて、

 当然彼女もいない童貞…。んで嫌気がさして自殺したわけか!」


 なんだこのおっさん、ていうかなんでそんなに俺のこと知ってるんだ。

 しかもよく見ると浮いてるわこのおっさん、筋○雲みたいなのに乗ってる!


「あの、ここはどこですかね…」

 俺は覚悟を決めて聞いてみた。薄々、っていうかほとんど予想はついてるんだけど。


「ここ?ここはあの世とこの世の狭間だよ。審判の間とも言うな!」

 と言って、いい歳こいたおっさんがダブルピースをしてみせた。

 

 やっぱりそう言う感じか…。でも審判つっても別に生きてる時何もしてないしな。

 あ、でも自殺したら問答無用で地獄落ちなんじゃ…?

  

 まあ考えてもわからないので、とにかく話を聞くことにした。


「んで…、俺はどうなるんですかね?」

「きみ?んー、前世ではだいぶ報われてないからねー。

 天国に行って早いとこ新しい魂に変わって、

 来世はなるべくいいとこに生まれ変わらせてあげたいんだけど…、自死は地獄行きなんだ

 よねー。

 でも君のその顔。わかるよ言いたいこと!『異世界の強強主人公に転生とかでき

 るんじゃないんですか!?』と言いたいんだろう?でもねーー」


 地獄かーー

 俺は、ひとりテンション爆上がりの神様(?)に脇目も振らずにひとり考え込み始めた。

 地獄ってことは、針の山と血の池とかあんのかな。どうしよう俺泳げねえんだよな。

 もしかして歴史上の極悪人とかいっぱいたり? 話聞きたいな。あとはーー


「ちょいちょい、聞いてる? 少年」

 妄想を膨らませていると、邪魔が入った。


「あ、地獄行きですよね俺。了解です」

「うんうん、そう言うと思った!でも異世界は……、え??」


 なんだこのおっさんは、何盛り上がってるんだか。


「え、いや地獄だよ?だいたいここに来た人はみんな目を輝かせて異世界のこと聞いてくるんだ

 けど…」


 なるほどやっと繋がった、どうやら俺の飲み込みの速さに驚いてたわけだ。


「異世界は別に興味ないですね。

 人と関わるのが嫌で自殺したのになんでわざわざ同じこと繰り返さなきゃいけないんですか」


「え、でも地獄だよ…?めちゃくちゃ辛いよ?

 異世界で無双してモテたい! とかなるでしょ普通…」


 あれ、いつの間にか立場が逆転してる気が…。

 このままじゃ埒があかなそうだ。

 単刀直入に言ってしまおう。


「別に異世界興味ないですよ。

 俺、転生モノのアニメとかあんま好きじゃないんですよね。

 不遇な世界から転生して、異世界で無双。そんなの現状に目を背けて、非現実的な虚像に願望

 を詰め込んでるだけじゃないですか。それにーー

 現世があれだけ地獄だったんですから、針だろうが炎だろうが屁でもないですよ」


「はあああ!?転○ラとか、無○転生とか傑作だろうが!

 何が虚像だクソガキィ!地獄送りにすんぞゴラ!」


 いや、だから地獄でいいんですけど…。

 て言うかなんで神様が現世のラノベ知ってんだよ。こいつちゃんと働いてんのか怪しいぞ。



 するとその怠慢神様は、黙り込み何やら考え始めた。

 そして何か悪いことを思いついたように微笑み、とんでもないことを言い放った。


「じゃあお前、異世界行こうか!」


 はい?


「お前にとって地獄は天国みたいなもんで、異世界行きが逆に地獄みたいなモノなんだろ。

 じゃあ苦しい方に行ってもらわないとな!」


「いや!俺は、地獄でーー」

「はいはい、つべこべ言わずに行ってこーい!

 お前の嫌いな強々イケメンにしてやるから安心しろ!

 あとは…、言葉とか?その辺のめんどいのはこっちでうまく設定しとくから心配すんな!

 そんじゃ夢の世界へ、行ってらっしゃ〜い」


 そう言うと、急に俺の体がふわっと浮かび辺りが真っ白い光に包まれた。

 声を出そうとしても体を動かそうとしても何もできない。

 微かに見えるには、満面の笑みで手を振ってるおっさんの顔。


 最悪だ、なんで俺が…、異世界なんかに行かなきゃいけないんだーーー







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