表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2022.7.17 九州大学文藝部・三題噺

来世は美少女

作者: あなたの部員

 あなたの母親


 息子の様子がおかしい。近頃、変なTシャツを着ている。高校までは温厚で真面目な性格だったはずだ。大学で何かあったのだろうか。新たな分野を冒険しているのだろうか。深夜、二階にいる息子の物音でたびたび起こされる。私の教育がどこかで間違ったのだろうか。放任主義を貫いたのが失敗だったのだろうか。どちらにせよ、息子を変えられるのは私しかいない。あの頃の息子を取り戻す。




 あなたの祖父


 孫の様子がおかしい。近頃、やけに懐いてくる。よほど私の仕事に興味があるようだ。私は小学校で校長をしている。孫は主に二つの質問をする。小学生の様子についての質問と、私の校長業務についての質問だ。おそらく、後者の質問はフェイクだろう。孫の目を見ればすぐにわかる。特に、小学生女児の様子を話すときは、これ以上ないほど目が輝いている。いったいどうしたのだろう。何か変な食べ物でも食べたのだろうか。




 あなたの妹


 兄の様子がおかしい。近頃、やけに私の古着を求めてくる。私は現在中学生である。その私の古着となると、小学生の時の服しかない。いったい何に使うのだろうか。本人曰く、インターネットで売買しているらしい。しかし、私はそうでないことを知っている。兄にあげた服は、一つも売られずに破れてあったからだ。昔を懐かしむ時期でも来たのだろうか。サークルで兄は何をしているのだろう。奇妙なTシャツを着て出かける兄をみながら、私はいつも考える。




 あなた


 自分の様子がおかしい。近頃、強烈に美少女になりたいと感じる。これが私の本能なのだろうか。美少女になりたいという欲求は自然と体にも表れてしまっている。というのも、「来世は美少女」と印字されたTシャツを無意識に来てしまっているのだ。私はこの一か月、美少女に成り上がるためにはどうすればいいか考えてきた。ネットにある方法はどれも試した。一度死ぬために頭を自ら強打したこともある。妹の古着を全部着てみようとしたこともある。しかし、一向に美少女になれない。私は今世、美少女になれないのだろうか。そんな悩みを抱えたまま、私はサークルに参加する。




※この物語はフィクションです。実際の人物や団体とは一切関係ありません。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ