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25/28

25.見つけました

「──琥珀。狙撃手を殺す方法はご存知ですか」


「ご存知って……。私、人を殺す方法も知らないんだけど」


「あれ? さっき殺してませんでしたっけ」


「してないしてない。気付いたら死んでたし」


「そうですか。では仕方ありませんね」


「どうするの?」


「臨機応変にいきましょう。私をあそこに飛ばせませんか?」


「ごめん、私使えるの炎系だけでしかもレベルそんな高くないから……」


「分かりました。──では、こんな魔法はありませんか?」


「────時間はかかるけど、いけると思う。でも、どうするの? もしかして」


「ええ。ご想像の通りです」


「えっ。でも、ヒット判定あるよ?」


「その辺は何とかします」


「何とかって……、るり姉にしてはらしくないね」


「変ですか?」


「ううん! るり姉が私みたいに雑になっててちょっと嬉しいなーって思ったり? それに、前は自分で作戦立てたりなんかしなかったし。ほら、受験の時もお母さんの言うことばっか聞いてたでしょ?」


「そうですね。それは今もそうですよ。ですが、ここにはお母様はいないので。ある程度は私が決めてみてもいいかもと。頼れるセナさんも敵になってしまいましたしね」


「あれ? 私は頼れないってこと?」


「命令しろと言ったのは琥珀ではありませんでしたか」


「ふふっ。ジョーダンジョーダン。──本当に、るり姉がこのゲーム始めてくれて良かった」


「──え? 今なにか言いましたか?」


「ううん、何も! ……ほら、セナさんが待ちくたびれちゃうよ!」


「そうですね。待ってくださったセナさんに感謝して、始めてしまいましょうか」


「よし、じゃあ行くよー!」


 琥珀が呪文を唱えたのを皮切りに、今イベント最後の戦いの火蓋が切られました。



▼▼▼▼▼



 セナさんは本当にお優しい方ですね。

 初対面で私に色々教えてくださったのもそうですが、今だってそうです。

 私と琥珀が作戦会議している間、狙撃せずに待ってくださったのですから。私だったら、さっさと首を落としているところです。


 お優しい方を裏切ってしまうのは恐縮ですが、私も譲れないものがあります。

 もう一度メーラさんと戦いたいですし、セナさんと戦うのも、この機会を逃してしまってはもうないかもしれません。

 そう言えば、クロエさんとも戦いたいです。最後あまりいい終わり方をしませんでしたから。

 あの時クロエさんを殺したのは、セナさんでしたね。


「今度は、私があなたを殺して差し上げます」


 セナさんの銃口が私に向けられる瞬間──。私の短剣がセナさんの首を真っ二つにする瞬間──。それらを想像すると、自然と笑みが溢れます。

 ええ、きっと、私はこの時のために生きてきたのです。

 父に言われて体操を習ったのも、母に言われて勉強を頑張ったのも、全てはこの時のためだったのでしょう。


 やはり、両親の選択は間違っていませんでした。人の勧める道はやはり進むべきなのです。

 ですが──。


「ここからは、私の感情にまかせる番です」


 私は飛んできた銃弾を短剣で弾き返し、セナさんのいる所へと一直線に駆け抜けました。



▼▼▼▼▼



「は? 剣で俺の弾を斬った?」


 正確には弾いたみたいだが、そんなことはどうだっていい。

 スナイパーライフルの弾を見切るなんて。それに、今のは完全に不意打ちだったはず。


「やっぱアイツ、普通じゃねえな」


 分かりきっていたが、やっぱり、アイツ──るりは人間じゃない。

 いざ対峙してみたら、尋常じゃないくらいアイツが恐ろしく感じる。

 今すぐに突進してきて、気づいた時には頭が宙を舞ってるんじゃないかってくらい。


 そうならないように、俺もアイツの動きを見切らねえと。

 だが、アンバーってヤツの方も気になるな。さっきから長めの詠唱してやがる。

 詠唱でどんな魔法が来るか分かればいいが──。


「このゲーム、謎の凝ってるせいで種族ごとに呪文違うんだもんな」


 人間には人間の、魔族には魔族の魔法がある。おまけに、それぞれ習得しないと聞き取れない謎仕様だ。


「邪魔だな」


 るり──、アイツは確実に俺を殺しに来る。だが、アンバーは不確定要素だ。もちろん、アイツの味方であることは間違いないが、直接殺しにくる必要がない分動きが読めない。

 しかも、聞き取れない魔法ってんだからなおさら。


「殺るか」


 魔法の答え合わせをする前に、殺してやる。

 俺はアンバーの脳天に照準を合わせて、引き金を引いた。



▼▼▼▼▼



 セナさんの銃の先から光が迸るのが見えました。

 狙いは──、琥珀ですか。予想通りですね。


「琥珀!」


「なんの!」


 ちょうど詠唱も終わったようです。背後から、猛烈な熱気を感じました。

 私は空を見上げ、そこに美しい鳥を見ました。

 真っ直ぐに飛んできた弾はその鳥に衝突し、火花を散らして消えました。

 ええ、その鳥は、大きな、それは大きな火の鳥だったのです。


「素晴らしいです」


 私はその鳥の足につかまって、空を大きく飛び上がりました。

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