04 練習用ダンジョン
次の日。
私はまたギルドに向かいました。
その最中、ここではあまり見ない毛むくじゃらで全裸な男の人がギルドに入っていきました。
全裸なので、彼はきっとギルドの中で捕まり牢屋に入れられるでしょう。
・・・と思っていました。
しかし、普通にギルドの人と話しています。
「あの・・・この人服を着ていないんですけどいいのですか?」
「はい、大体の国は公共の場で裸になると猥褻で捕まるのですが、この国では全裸で公共の場に出てもいいのです。種族の中には裸を基本としている場合もあるため、この国では種族の風習を尊重しています。」
私にはどうみても人に見えたのですが、彼に直接聞いたところ人間ではなく魔人の一種なのだそうです。失礼しました!
「・・・例えば、人間の方が全裸で街を歩いていても、この国なら特に問題ないです」
いや、私としてはそれは恥ずかしいので無理です。
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それはさておき。
「すみません。生活魔法を習得したのですが、なぜかランクがFになりません」
「それはそうですよ。ギルドカード取得時に生活魔法を見せてもらいますからね」
そうでした。
ということで生活魔法を実践し、魔術ランクがFになりました。
とりあえずよかった。
「そういえば魔法学校に入りたいと言っていましたよね?でしたら一度練習用ダンジョンに入ってみませんか?ここのダンジョンで健闘した場合、ランクがE以上になります。つまり魔法学校への入学資格がもらえます。」
「そうなんですね!受けてみたいです」
「はい。ちなみにランクが決まる条件ですが、魔物などに敗れたり、ダンジョンの罠にかかり死んだ時点の階層で決まります。そして魔物から逃げた場合やダンジョンのパズルが分からなくて諦めた場合でもランクは判定されます。」
え!?魔物などで死ぬの?
「安心してください。死ぬとゲームオーバーの扱いになり蘇生され、ここに強制転移されます。」
よかった。
「そうそう。魔物は第三階層より先に出てきますが、ここにいるダンジョンの魔物も仲間ですよ。ダンジョンの蘇生を信頼しているからこそ攻撃します。それにダンジョンの魔物は倒しても一定期間後に蘇生しますので、どんどん倒していって構いません。それにあの練習用ダンジョンはクリアできませんので。」
「え?クリアできないんですか?」
「はい。クリアできない理由は、実際に行ってみればわかります」
ちなみにどの程度行ったらランクがEになるのかは教えてもらえませんでした。
他国には危険なダンジョンに、そもそも管理されていない野良ダンジョンもあるということを聞きましたが、この国にはそもそも人体に危害を加えるダンジョンなんてなく、全て管理されたダンジョンです。
私は昨日覚えた魔法を試すため、北にある練習用のダンジョンに向かいます。
北門からさらに北に向かったところにありました。
ということでダンジョンに入ります。
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さてと第一階層は魔物がいない。
まあ魔法を使用したパズルですね。
これを解いていくことにより、第一階層を難なくクリア。ゲートを通ります。
そして第二階層も余裕でクリア。ここもゲートを通ります。
第三階層に到着。
魔物が登場するようになったようです。
ここからは魔物を使ったパズルを解く形になりそうです。
と思っていたら。
第三階層からはダンジョンボスが出てきました。
これは戦わなければ次に進めませんね。
ということで覚えたての魔法でボスを攻撃。
一撃で倒します。意外と弱い。
ということはまだFランクの範囲内?
Eランクの強さはどれくらいだろう?
と思いながら階層を次々進んでいきます。
そういえば第三階層からはゲートがないですね。どうやらボスがゲート代わりみたいです。
第六階層も余裕でした。
ここは練習用と謳っているから、案外ダンジョン自体がEランク相当なのかもしれない。
と思っていたら第七階層は狭いです。しかしここで赤竜が登場しました。
それなりに手応えはありましたが、難なく倒します。
そして第八階層。
ここにはダンジョンコアが飾られていました。
そこに書かれていた警告を読んでみました。
「ここのダンジョンコアを壊してはいけません。このダンジョンはギルド所有のものです。壊してしまうとダンジョンが消滅します。壊した場合は損害賠償を請求する場合があります。」
・・・クリアできない、というのはそういうことだったのね。
ということでダンジョンコアを壊さないでダンジョンを後にしました。
ちなみに、この部屋には練習用ダンジョンのダンジョンコア以外にも、厳重に宝石が飾ってありました。
これは"真魔石"という名前だそうです。
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ということで、ギルドに結果報告をしにいきました。
「はい、とりあえず練習用ダンジョンに行きましたが、ダンジョンはクリアしませんでした。」
(ダンジョンコアを壊さなかったからね)
「そうなんですね・・・ではギルドカードをこちらに。」
「はい。」
受付嬢の方が確認しています。
「確認しました。あなたの魔術ランクはEになります。」
「ありがとうございます!」
やっぱり練習用だからそんなに強くはなかったのね。
でもE以上と言ったのが気になる。もっと強い方用のダンジョンがあるんだろうか。
とにかく、これで魔法学校へ入学ができるようになりました。
とはいってももう遅いので明日以降ですね。
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帰り道、受付嬢に言われたあることを思い出しました。
「魔法学校に入学するには資格以外にも入学金が必要です」
そうでしたね。魔法学校に行くには資格だけでなく、一定のお金が必要でした。
(そう、ここの入学金、私の手持ちでは足りなかったんです)
結局のところ職を探して、入学金を稼がないといけないですね。
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