03 職業
さて、次はお金です。
手持ちの硬貨を買取査定します。硬貨としてではなく金属として、ですが。
その結果が出ました。
「はい。査定結果ですが、合計100ゴールドです」
この国では1ゴールドが1万円、1シルバーが10円という感覚です。
さてと、受け取りだけどこの世界の貨幣はどうなんだろう。
ゴールドという名称からすると、やっぱり金貨かな?
「すみません、売却分のお金は金貨でのお支払いですか?」
「確かに金貨はあります。」
やっぱり異世界でお馴染みの金貨です。するとそれなりに嵩張るのかな?
「しかし、直接金貨での支払いはしていません。まずは口座にお支払いです。」
口座?口座・・・銀行か。まさかの銀行があったとは。異世界ながら近代化している部分もあるのね。
「あのーすみません、ここに銀行の口座を持っていないんですが」
どちらにしても銀行口座は日本のものしかありません。
「銀行とはなんですか?」
そうですよね。銀行はないですよね。では口座とは一体なんだろう。
「どちらにしても安心してください。口座はギルドカードとセットで作られています。セント・ライズ王国で代金を支払う時は、そのギルドカードを提示することで口座から代金が引き落とされます。」
つまり、日本でいうSuica・・・かなと思いましたが、どちらかというと海外でいうタッチ式デビットカードの方が近いです。
「そうなると、この国以外ではお金は使えないということでしょうか。」
「そうですね。なので他国に行く場合など、口座残高の一部を金貨に変えることも行っています。ただギルドカードとしては世界中で身分証明書となります。」
やっぱり国外は金貨になるのね。でも私はとりあえず国から出ないからいいか。
そして住居探しや職探しもあります。
あ、もしここに学校があって、金銭的に学校に入れるならここの学校に入ってもいいかもしれない。
どちらにしてももう遅いので、まずは宿に泊まろうかと思います。
受付嬢の方に宿を案内してもらいました。
そこそこのお金で泊まれる、そこそこの宿でした。
それにしても宿の客もいろんな方がいます。
西の"マルス帝国"から来ていたり、世界各地の温泉を目指しているような方もいらっしゃいます。
さらに、私はここでカルチャーショックを受けました。
ここにいる多くの人が野菜しか食べていません。
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さて、個室に入りひとりになった私は着替えるために裸になりましたが・・・・
なんと、体型は転生する前と全く同じでした!
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コーン、コーン・・・
鐘が鳴りました。朝ですね。
スマホの時計は・・・6:00。
完璧に24時間制ですね!
さて、今日もギルドに寄ります。
次は住居探し。
こちらも、そこそこの金額でいいアパートを発見しました。
地理的にはどボストロニックの真ん中からちょっと北寄り。
この街は壁を丸く囲っているような形ですが、繁華街は南側にあるのでちょっと中心部から離れている感じ。
アパートの居室を契約!
とりあえずは安心。
アパートの家賃はそれなり・・・ですね。
やっぱり所持金が心もたないので職探しを先にして、学校は後にしよう。
ということで次は職探し。
いろいろありますねー。
そういえば。
異世界ものでお馴染みの「冒険者」が見当たらないのでギルドの受付嬢に聞いたところ、この国では新規の冒険者登録は受け付けていないとのこと。
単純に冒険者が飽和状態なこともそうだけど、そもそも「需要があまりない」ためです。
ちなみに他の国ではギルドで冒険者登録を受け付けています。
後で知りましたが、セント・ライズ以外の国では魔物は人類の敵で、私たちの国のように、魔物は人との友好を持っていません。
他国の冒険者というのは魔物を倒すことを主目的としているのです。
(なんか複雑です。)
・・・受付の机で色々求人票を見ている私。
隣の席に、ドワーフの男性とエルフの女性、お二人とも高齢と思われる方が座りました。
私は話を盗み聞きしました。
「実は農業を継いでくれる方を探しているのだ」
「そうですか、わかりました。事業継承ですね。農業を行いたい方とマッチング処理をかけます」
農業か・・・。
農業なんて、泥臭いしイメージしかありませんでした。
なので、正直農業はやりたくないですね。
さて、求人票を色々見ましたが、募集のきているほとんどの職業が魔術ランクF以上が必須でした。
(神様が「この世界には魔法がある」と言っていましたし。)
農業などはランクGでもできるようです。実際私も・・・Gなのです。
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一旦職探しはやめて、学校を探しましょう。
普通の学校の他に、この世界には魔法学校があります。
魔法学校なら魔術ランクも上がるだろう、そう考えました。
ということで、ギルドの受付嬢に魔法学校について聞いてみました。
「魔法学校ですか・・・実はですね、魔法学校というのは、この攻撃魔法などを主体に学ぶところです。そのため魔術ランクはE以上、つまり生活魔法+αが必須ですね。」
「ということは・・・生活魔法はそこで教えないんですか?」
「その通りです。ただ、生活魔法は本来ならこの国では14歳までに教わるものなのですが・・・。」
14歳までに?私は教わっていない。これは異世界転生したせいでそもそもの知識に入っていなかったからだ。
「すみません、生活魔法を習っていないんです。ところで魔術ランクGというのは・・・」
「やっぱり。魔術ランクGは生活魔法を取得していないことを指します。Fであれば最低限の生活魔法を習得していることになります。うーん、図書館にはありとあらゆる魔法の使用方法が掲載された魔法書がいくらでもありますので、まずは図書館で魔法に関する本を読んで習得し、それを実践してみてはいかがでしょうか。」
意外な事実。
ということでギルドを出て町の図書館へ。
「図書館もでかいです!」
私は図書館にあったさまざまな魔法書を読み、生活魔法を習得しました。
なぜ本を読んだだけで魔法を習得できたか?どうやら魔力適性度がとてつもなく高いようで、みたものをすぐに吸収できるようです。
それに、私は魔力がかなり多いようです。
これも転生特典ですね。
生活魔法が本を読んだだけで習得できたので・・・せっかくなので図書館にある他の魔法書・・・攻撃魔法や防御魔法などなど、いろんな魔法の魔法書をできるだけ全て読んでみました。
これで1日潰れました。
夕方になり生活に必要なものを一式購入し、新しい住居へ。
もちろんその中で服もたくさん買いましたよ。
でも、かわいい服はたくさん見かけたんですけど、ブラやショーツといった下着をこの街では全く見かけないんですよね。
うーん。
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さて、新しい住居・・・新しい生活環境で生活魔法を実践してみました。
でもランクは上がらない。なんで?
(それはそうだよね。だってギルドの人に見てもらわないと)
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