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私は家に帰りたい  作者: Arisa
Period 1.1
2/36

02 ボストロニック

「おい、そこの君。」

オークらしき魔物が私に話しかけます。

私、魔物の言葉がわかるんです。

これも転生特典でしょうか。


「あの・・・襲わないでください・・・」

「なんだ俺が怖いのか。君は襲わないさ」

「ほ、本当ですか?」

「本当だよ」


「俺はブラジェイだ。種族としてはオークだ。」

やっぱりオークなんですね。というか魔物に名前があるなんて。

「はい、私は高遠絵美と言います。もちろん人間です。私、最寄りの町に向かいたいのですが。」

「エミか。俺はこれから西にあるボストロニックに向かうんだが」

「はい、連れていいてください」


なんと、馬車に乗せてもらいました。

この世界の魔物は人間の敵ではなかったようです。


----


それにしても、私の格好は学校の制服という、異世界としては異色を放っていると思うんだけど、ブラジェイさんは何も突っ込みません。

もしかして衣装が近いのでしょうか?

でもブラジェイさんは明らかに異世界風の服だし・・・謎ですね。


ところで今の時刻はどれくらいなのかを聞いてみました。

「すみません、今の時刻はわかりますか?」

「時刻?街にいないとわからないな。街にいると6時、9時、12時、15時、18時に鐘を鳴らしてくれるんだ」

「はい、ありがとうございます。」

そうですよねー、異世界に時計というものはまだなさそうでね。

でも、24時間制であることは助かりました。

これでいつでもスマホで時計を見れます。


日が沈み始めました。

すると、街が見えてきました。結構大きい街のようです。

「ここがボストロニックだ」

東門から入るようです。


「そういえばこの門で身分証明がいるが、君は国民証かギルドカードを持っているのか?」

「私、国民証もギルドカードも持っていないんですけど。」

「ちょっと待ってくれ。国民証も持っていないということは・・・他国の者か?」

「はい、日本」

そうか、ここは"異世界"だった。

「・・・いえ、言っても知らないほどとっても遠い国から来ました。」

「ニホン?と言ってたな。確かに聞いたことがない。よほど遠い国なのか、いや、敵対していない国でよかった。しかしなぜ・・・」

ブラジェイさんに今までの事情を説明しました。

ブラジェイさん、内緒にしてくれるようでよかった。

先ほどは魔物というだけで警戒してすみません。中にはいい魔物もいるんですね。


「・・・そうなるとここのお金も持っていないのか?」

「はい・・・」

「それなら俺が通行料を払う。生活のためにはお金がいるが、君は何か金目のものはあるのか?」

「はい、一応」

私は財布の紙幣や小銭を見せました。ブラジェイさんは小銭に反応したようです。

「貴重な金属を持っているな。ギルドカードを作るときにギルドでこれを売ればいい。そうすることで当面は生活できるお金になるだろう。」

思わぬところで小銭が役立ちました。

「すみません。ギルドに行けば誰でもギルドカードを作れるんですか?」

「そうだ。俺もギルドに用があるので、せっかくなので案内しよう」


東門で、ここでブラジェイさんは私の分の通行料も払ってくれました。

さてと、ボストロニックに到着しました。


やっぱり結構大きい街ですね。

それにしても、これにはびっくりです。

なんと、普通に魔物と人が共存しているんです。

オークみたいに話せる種族がほとんどですけど。


しかも人種も様々です。

私みたいな人間はもちろん、エルフやドワーフも。

なんなら魔物と人の混合種(ハイブリッド)と言える魔人も。

人間の肌の色も様々で、白人や黒人、私みたいな黄色人種も。

(あ、私の肌は日本人としては白いほうですよ!)


そして気づいたこと。

服装や容姿が性別に全く関係ないことでした。

例えば女性だと思っていた方が男性だったり、その逆も然り。

普通の日本人の感覚だったらおかしいと感じると思います。

まあ、私は・・・私のお下がりの服をよく着てた弟のおかげもあり、"女装男子"には慣れていますから。


そして人間のみなさんかなりの割合で脱毛しているんです。

体毛がある人をほとんど見かけませんでした。

この街の人は若く見せるなど肌の手入れをきちんとしていますね。


コーン、コーン・・・

鐘が鳴りました。

スマホの時計は・・・18:00。

とりあえずは時刻調整しなくても大丈夫そうですね、


----


「ここがギルドだ」

ギルドの建物大きいですね!


まずはギルドカードを作ります。受付嬢に作りたいことを伝えます。

受付嬢の方はドワーフの女性でした。

「では、あなたの名前をこちらに書いてください。」

見たことがない文字。でも私は即座に理解しました。これも転生特典?

そして私の名前を、見たことがない文字ですらすら書いていきました。

「はい。コーエン・エミさんですね。あとは住所をこちらに書いてください」

「実は住所がまだ決まっていないんですね」

「承知しました。後で住居を探してくださいね。これで登録する内容は以上です」

「あの、本当にこれだけなんですか?」


「そうです。ここは性別も人種も、なんなら種族も一切関係ありませんので」

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