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転生暗殺者のゲーム攻略  作者: 武利翔太
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第五話 未知との邂逅

 昨日の出来事。

 良い人に会って、武器を買ってもらって、ゴブリン相手に無双してたら、なんかヤバそうなスキルを手に入れました。

 

 ……改めてみるとわけわかんねぇな、これ。

 完全ノンフィクションでも理解できないことってあるんだなぁ。

 まあ、俺がこの世界に転生したのもわけわかんねぇし、意外とあるのかもな。

 いや、いくら現実逃避したって現実は変わらない。

 いい加減目を背けるのはやめよう。


 まずはステータス割り振り。

 残ってたポイントもあるし、レベルが上がるごとに貰えるしでそこそこ溜まってるはず。

 ひとまず、ステータス画面を開くが……


「EXP十二?」


 レベルが一つ上がるごとに一ポイントで、余っていたポイントを合わせても十一。

 二桁になったときのボーナスかなにかだろうか。

 まあ、多い分には悪いことは無いし、深くは考えないでいいか。


「さあて、どう割り振るか……」


 まず最優先はSTRとAGI。これは確定。

 けど、STRは武器である程度は補強できるから少し削ってもいいかもしれない。

 他に上げなきゃいけないのはMPとINT。

 まだ【風魔法】のレベルは1だし、練習のためにも多めに割いたほうが良さそうだ。


 最終的にAGIに四、MPとINTに三、STRに二ポイント割り振った。

 もうポイントは残ってないけど、戦えば溜まるから問題無し。

 

 今俺は前と同じゴブリンの棲家に向かっている。

 スキルレベルやレベルを上げるんだったら、あそこが一番効率がいい。

 そうこうしていると、ゴブリンの群れを発見。

 アイツらは群れじゃないと動けない習性でもあるのか?

 ただでさえゴブリンはキモいのに、群れはそのキモさに拍車がかかる。

 運営さーん! どうにかなりませんかー!

 さて現実逃避はこれくらいにして、魔法を試すか。


 魔法の使い方は攻略サイトで調べた。

 まずは使う魔法のスキル……俺の場合【風魔法】を発動させておく。

 これは魔法を使う前提条件で、なにかを消費するとかいうこともない。


 次に当てる対象に狙いをつける。

 手をかざしたり指を突きつけたり、自由なポーズで狙いをつける。

 別にポーズを取らなくても狙いがつけられればなんでも大丈夫。

 俺の場合は構え無し。前世の名残りで暗殺するときに構えで狙いがバレないようにするためだ。


 最後にアーツの名前を読んで発射の合図にする。

 一応サイトに書いてある通りにはしたが、ぶっつけ本番のため成功するかはわからない。

 まあ、習うより慣れろの精神でやっていこう。


「〈ウィンドバレット〉」


 発動すると、俺の目の前に薄緑色の球体が現れ、それは狙い定めたゴブリンへと飛んでいった。

 球体はゴブリンの眉間に吸い込まれるように迫り、ゴブリンは大きく仰け反り、そのまま光と化した。

 狙いもドンピシャ、完璧な成功だ。


 〈ウィンドバレット〉は魔法スキルに最初に与えられるバレット系と呼ばれる魔法の一つ。

 威力は低いがMP消費が少なく、連射できるのが強みの『威力より手数』を体現したような魔法である。


 他のゴブリン達は何が起きたのかも理解できていないのか、慌てふためいている。

 すぐさま残りも〈ウィンドバレット〉で狙撃して、全滅させる。


[熟練度が一定に達しました。【風魔法Ⅰ】が【風魔法Ⅱ】にレベルアップしました]


 お、レベルアップ。アーツの追加は無しか。

 【剣技】はレベルが偶数になるとアーツが開放されたが、魔法は奇数なのか?

 まあ、そんなことはともかくなかなか使い勝手はいい。

 俺にとって数少ない遠距離攻撃手段だし、もっとレベルを上げたほうが良いな。

 俺はレベルを上げるため、新たな獲物を探しに行った。


         ◇ ◇ ◇


 ゴブリンを手当たり次第殺しながら森を探索すること一時間、【風魔法】はもうレベル六になった。

 レベルは上がっていないが、新しくアーツも手に入れたし、戦力的にはそこそこ上がってると思う。

 もう少し森を歩こうかと思っていたが━━


「……なんだこれ」


 俺が見つけたのは洞窟。

 高さ五メートルほどの岩壁や妙にツヤツヤとした石など、漫画などに描かれる洞窟そのものと言えるだろう。

 

 ━━それがちゃんと山についていればの話だが。


 何を隠そう、この洞窟なんと地面から生えているのだ。

 しかも、外から見たら後ろはすぐに行き止まりなのに、中を覗くと明らかにそれ以上の奥行きがある。

 まるで空間かなにかがねじ曲がっているようにしか見えない。

 何を言ってんだと思うかもしれないが全くの事実である。


 これはダンジョンだ。

 といっても、次の階層に上がるためのダンジョンじゃない。

 前に調べてわかったが、この階層には階層を上がるための通称『ステップダンジョン』と呼ばれるもの以外にもダンジョンがあるらしい。

 そのダンジョンをクリアすると、ユニークアイテムというなんかすごいアイテムが獲得できるとのこと。

 しかし、それに見合った難易度にはなっているそうだ。


 これは間違いなくダンジョンだろう。

 そうじゃなかったら、なんのためにこんなもん用意するんだって話だしな。

 これもユニークアイテムが取れる可能性はある。


 けれど、俺のレベルはまだ一〇。

 何をすることもできず、ただ死に戻るということも考えられる。

 デスペナルティは所持金の一部のロストと三十分間のステータス低下。

 正直まだまだ始めたばかりの俺には少々重い。

 文字通りのハイリスクハイリターンだ。


 だが、何故かはわからないが、俺の心はある一つの感情が渦巻いていた。

 俺はこの感情の正体を知っている。

 これは高揚感。平たく言うなら━━ワクワクだ。

 駄目だな、前世のことは忘れたつもりだったんだが……強敵の前の高揚感だけは忘れられないらしい。


「虎穴に入らずんば虎子を得ず……だったか? さて、覚悟を決めるか」


 そう言って、俺は洞窟へと足を踏み入れた。

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