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転生暗殺者のゲーム攻略  作者: 武利翔太
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第五十五話 テンションが上がった後は大体現実を直面するイベントがある

読んでもらったらわかると思いますが、前半が晃生視点、後半が蓮也視点となっております。

前書きの説明が無くてもわかりやすい視点切り替え表記を考えるべきだろうか。

あと、晃生視点書いてる時ちょっと楽しかった。

 俺は蓮也と同時に扉を蹴破ってデブゾンビに突撃する。

 周りのことを一切考えてない突撃だが、俺に寄ってきた取り巻きゾンビは蓮也がハンドガンで迎撃した。

 きっちり脳天一発、それも俺にはかすりすらしないように弾道を見切ってる。

 銃はあんまり得意じゃないって言ってたのによくやるよなー。

 今度FPS誘ってみよっかな?


「おっと今はそれじゃねえな」


 蓮也がザコ狩りなら俺の仕事は大ボスのデブをぶちのめすこと。

 蓮也に譲ってもらったからにはやり遂げねーとな!


「そんじゃ早速いってみよーか!」


 UIを操作して俺はスナイパーライフルを構える。


「よーく狙ってぇー……BANG!」


 初手のスナイパー、弾数は三発しかないけどここで切る意味はある。

 走りながらでもこの距離なら外すわけがない。

 スナイパーライフルから放たれた弾丸はまっすぐデブの頭に進んで……そのまま弾かれた。


「んなぁ!?」


 距離あるとしてもスナイパーヘッショだぞ、何当たり前みたいに受けてんだバカエネミーが!!

 しかも怯んだようにも見えねーし!

 これより火力ある武器ショットガンしかねーよ!


「これもう接触ブッパとかしかねーんじゃね?」


 そこそこの時間やってみてわかったが、この『アンデッド・ガンマン』は結構リアルさ重視のゲームだ。

 弾道の重力による変化もあるし、距離による威力減衰もある。

 銃自体を弄くれない以上、火力を上げるには近づくくらいしかやれることがない。

 シューティングゲームだってのに格ゲーにする気かよ。


「ま、俺はどっちでも大歓迎だけどな!」


 俺は走るスピードをさらに上げ、武器をスナイパーからハンドガンへと変更する。

 それによって自身の攻撃範囲内に飛び込んできたプレイヤーを返り討ちにするために腕を振り上げる。

 見た目通りの高火力高耐久、それなら速度は並以下って相場は決まってる。


「んな速度じゃ見て避けるなんざ朝飯前なんだよバカがぁ!!」


 振るわれた腕を頭を下げて回避。

 低い姿勢を維持したまま短い両足の膝に弾丸を撃ち込んでやる。

 そんな巨体で足が貧弱な見た目なら、足が弱点ですって教えてるようなもんだぜ!


「はい膝ァ! 膝ァ! 攻撃はすっとろい! はい膝ァ! あっ、弾丸尽きた! リロードの間に蹴りで膝ァ!」


 フハハ、遅い遅い!

 その程度じゃハエも殺せねーよバーカ!!


「ヴォオ……」


 俺の必殺技“トニカクヒザヲナグール”が効いたのか、デブゾンビが初めて呻きながら膝を着いた。

 ほーう、よっぽど堪えたと見える。

 お詫びに敵に対して弱点の頭を近づけるってことがどれだけ愚かか教えてやろう。


「全力ブッパはなぁ!! ゲーマーの必修科目なんだよぉ!!!」


 ハンドガンからショットガンに持ち替え、デブゾンビの頭にゼロ距離で散弾をぶち撒ける。

 ショットとスナイパーは単発式、リロードにはそこそこ時間が掛かる。

 だからここは持ち替える。

 そっちのほうが幾分か早いし、隙を作らずに攻めたてることができる。


「オラオラオラァ!! 蜂の巣になりやがれ!!!」


 ショットガンからスナイパーへ。

 スナイパーからハンドガンへ。

 全ての銃を撃ち尽くしたら顔に蹴りを入れてリロードしてもう一周。

 弾丸と筋肉の連打はかなりのダメージを与えていた。


「ハッハー! このまま攻め潰して━━」


「ヴォゴォオオオオ!!」


「うおあぁ!?」


 弾丸の切れ間、ショットガンからスナイパーへと切り替えるほんの一瞬で、デブゾンビが身体を持ち上げ、思い切りショルダータックルをかましてきた。

 うえ、なんか両手首と両足首がブルブルする。

 あー、ダメージってこんな感じで伝わるのか……ってそんな場合じゃねえ!!


「こなくそ……ぶっ飛べ!」


 震えていて動かしにくい腕を無理矢理動かしてスナイパーを顔目掛けて放つ。

 だが、震えていた腕では照準がズレて顔に当てることが出来ず、ちっとだけ腕を掠っただけだった。

 その隙にデブゾンビは距離を詰め、俺の身体を手で掴み、そのまま持ち上げた。


「クッソ……離せ!」


 身体をよじって拘束から逃れた腕で蓮也から渡された鉄パイプでぶん殴るが、大したダメージにはならない。

 何度か殴ってみてもやっぱり効いてるようには見えない。


「あぁー……詰みってやつかこれ」


 持ち上げられてるせいで足をいくら動かしても反応しない。

 右手はデブの手に包まれてるから動かせない。

 左手の鉄パイプでもダメージは与えられない。

 完全な八方塞がり……詰みだ。

 こんな状態の英語あったよな……なんだっけ、ヘッドコック? いや、間違ってることだけわかるわ。


「ヴォヴォヴォヴォヴォ……」


「あ? なんだ笑ってやがるのか?」


 キモチワリー笑い声だな、限界化してる優希といい勝負……いや、これ以上言うと俺の命が危ないからやめとこ。


「まあ、詰んでるやつを見ると気分が良いよな。確かにわかるよ」


 例えば詰んでることに気づいてないやつが勝ち誇ってるとか最高に笑える。

 どういうことかって? そんなの━━


「━━俺も同じ気持ちだよ」


 ━━今この状況に決まってんだろ。


 ドパン、という肉が飛び散る音。

 そんな音と共に……デブゾンビが膝から崩れ落ちた。


「お疲れ様……蓮也」


 ヒラヒラと俺が手を振ると、蓮也は明らかに顔を顰めた。


「何がお疲れ様だ、このアホ。勝つとか言っておきながら尻拭いまでさせやがって」


「アッハッハ、悪かったって」


 いやー、イケると思ったんだけどなー。


「まあ、勝ったからいーじゃん。多分その部屋入って目的のアイテム手に入れたら終わるぜこのゲーム」


「え、マジで?」


 俺は蓮也に頷く。

 探索型だと思ってたらガッツリアクションタイプだったからな。

 この手じゃ脱出までさせることは少ないし、目的のアイテムゲットしたらエンドロールだろ。


 デブゾンビが奥で守っていた部屋を開けると、中にはいくつかの机があった。

 そこを探索してみると、“ゾンビウィルスの資料”とわかりやすく銘記されているファイルがあった。


「これ……だよな?」


「むしろこれ以外だったらどれだよ」


 他の見てみろ、役に立つわけねーのばっかだぞ。

 おまけに一個は研究してたオッサンの日記だからな。


 蓮也がそれを手に取った瞬間、ウィンドウが開いて壮大なエフェクトが流れると、視界が暗転した。

 やっぱこれで終わりか……


「楽しかったなぁ」


 やっぱり友達とのゲームが一番楽しいや。


         ◇ ◇ ◇


「ゲームクリアおめでとうございまーす!」


 『アンデッド・ガンマン』をクリアしてブースから戻ってきた俺と晃生を迎えたのは受付のゾンビメイクお姉さんだった。

 ブース内やゲーム内の洋館が暗かったこともあり、目が光に慣れておらず、まだシパシパする目を擦りながら俺たちは話を聞いていた。


「いやー、お疲れ様でした! 完全制覇したのはお客さんで三組目ですよ! あ、こちらクリア商品になります!」


 そう言って渡されたのは、俺達が戦ったデブゾンビを精巧に再現したフィギュア……通称“二〇分の一ジャック君フィギュア”だった。

 渡されたフィギュアが二〇センチくらいなので実際のデブゾンビは四メートルくらい……まあそのくらいだったか。

 ちなみにジャック君の名前はあのデブゾンビの元になった被検体の名前であり、黒幕の科学者の実の息子らしい。

 一時間くらいで終わるゲームの敵キャラの背景をそこまで重くしたのかも、なんでコイツのフィギュアを作ろうとしたのかも、何もかもが謎である。


「ありがとうございました! またのお越しをお待ちしておりまーす!」


 ゾンビメイクお姉さんのその言葉を背に受けて俺達はその場を後にした。


「いやー、なかなか強烈だったな!」


「ゲームよりもあのお姉さんと貰ったフィギュアのインパクトが強すぎたけどな」


「うーん、それはそう」


 特にあのお姉さんはまだいいとしても、手元にあるジャック君フィギュアは問題だ。

 これどうしよっかな……家に飾ったら永遠とコイツが頭の中に残り続けるぞ。

 姉貴の部屋に忍ばせておくのは……いや、バレたら問答無用でブチ殺されるわ。

 ……とりあえず後で考えるか。

 まずは春香と優希と合流しよう。


「晃生、春香に電話かけてくれ」


「今やってる……あ、繋がった。あー、俺。今どこ? バッセン? そんならどこで合流……は? え、今どういう状況? おーい? いやちょ待て……切りやがった」


「………何が起きた?」


「いや、俺も何が何だか……とりあえずバッセン来てくれって言われたんだけど」


 春香が何も説明しない、か。

 珍しいことではあるが晃生の言うとおりなら何かしらトラブルが起きたのかもしれない。


「まずは行ってみよう。そうじゃないと何もわからん」


「それもそうだな。急ぐぞ!」


         ◇ ◇ ◇


 そんなわけで俺と晃生は走って春香と優希のいるバッセンへ来たわけだが……


「おーい、春香」


「……………」


「おーい、春香ー? 目を合わせようなー?」


「…………………………何よ」


「足元にある大量のお菓子とクソデカぬいぐるみは何かなー?」


「……つい、カッとなっちゃって……」


「いつも俺に自重しろって言ってるのはお前だよな~~~~~???」


 春香が晃生に怒られるという非常に珍しい光景を見ることになった。

 ……これもどうしよっか。

『アンデッド・ガンマン』の裏側(別名:春香のやらかし事件簿)

二人と別行動になった後、春香&優希でバッセンへ。

経験者の春香が運動能力皆無の優希に教えるという形でバッセンをそれぞれ満喫。

頭悪めガラ悪めのDQNども「下手くそが一区画占有してんじゃねーよwww」

春香「はぁ???」(ガチギレ)(春香バッターボックスへエントリー)

優希「あっ」(DQNに憐れみの目)

全力バッティングで二〇本中一六本をホームラン

DQNども戦慄

優希DQNにわずかばかりの同情

春香「誰が下手くそだって? これに懲りたら二度とここに顔出すんじゃねーよ、カスども」

DQNども涙目全力逃走

優希DQNに合掌

春香称賛、店からホームラン景品を一六本分渡される

春香困り果てる


以後は本編のとおりです。

春香は小学校まで野球部に所属しており、辞めた後もちょくちょくバッセンに来てバッティングの腕を上げていき、今では狙えば大体ホームランには持っていけます。

ちなみにゲットした景品はバッセンにいたちびっこ達にプレゼントしました。その時蓮也はジャック君フィギュアを押し付けよう(プレゼントしよう)としましたが、全員に断られました。

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