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転生暗殺者のゲーム攻略  作者: 武利翔太
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第三話 新たな出会い

テストやら試合やらでの投稿遅れ、謎の四、五話の投稿ミス、本当に申し訳ございません。

三話分ではありますが、二作品の今後の投稿については五話の後書きに書いてあるので是非ご覧下さい。

 ゲームを始めて二日目。

 学校が終わってから夕飯や風呂、明日の準備などを済ませてゲームを手に取る。

 晃生にゲームを始めたことを伝えると、『俺らは三階層にいるから早く追い付けよ』と言われた。

 『アナザー・ワールド・オンライン』では現在三階層まで実装されているらしく、それぞれの街にあるダンジョンのボスを倒すと次の階層に進めるそうだ。

 俺は一刻も早くアイツらに追い付くためにも全力でやることを改めて決意し、ゲームにログインした。


        ◇ ◇ ◇


 これからすべきことは早急なレベル上げだ。

 ボスを倒すのはどう考えてもこのステータスでは不可能。

 武器や防具を買うにしても、金が無いからろくなものが買えない。

 金を稼ぐためにもモンスター討伐にいそしむとしよう。

 まさか、ゲーム内でも金欠に悩まされるとはな…。

 

 まずは掲示板で依頼を選択する。

 いち早くレベルを上げるならホーンラビットは適さない。

 探し出して、奇襲して、また探して……とするのは効率が悪すぎる。

 理想を言うなら弱くて、場所がわかってて、いっぱい群れてるやつ。


「まあ、そんな都合のいいやつがあるわけないか」


 期待はせずに掲示板を眺めていると、いいものを見つけた。

 


『ゴブリン討伐』

近くの森の奥地にゴブリンが大量発生。

正確な総数は不明。

討伐数一体につき二〇〇ゴールド。

期限・討伐制限無し



 あったよ、都合のいいやつが。

 現実は小説より奇なりって言うし、なんかの巡り合わせってのはやっぱりあるんだな。

 まあ、この空間を現実と捉えるかは、意見が分かれるところだろうが。

 よし、依頼はこれに決定っと。


 さて、早速……といきたいが、まずは武器がやっぱりほしい。

 というのも、前世で俺が使ってたのは短剣。

 剣も使えなくはないが、どうしても感覚が変わってくるのだ。

 幸い依頼は期限も制限もないため、買えなかったとしても武器を買うだけの金が貯まったら、武器を買ってまた行くということもできる。

 

 だが、一つ問題がある。

 俺は━━武器の買い方を知らない。

 それどころか、ゲーム内で買い物をしたことすらないのだ。

 おまけに武器を買う場所も知らない。

 建ち並んでいる建物は看板みたいなものは見当たらないし、何処にも地図はない。

 一応ゲームシステムに『マッピング』という機能はあるが、それに表示されるのは一度行ったことがある場所だけ。

 ウロウロして探すのもなんだし、誰かに聞くのがいいか。

 できるだけやり込んでそうな人……なんか強そうな人に聞こう。


「あの、すいません」


 俺はその時目の前を通ったなんか強そうと思った人に反射的に声をかけた。


「ん? 私ですか? なんの御用で?」


 声をかけたのは、黒と白が入り混じった髪の男性。

 その人は初期装備のTシャツジーパンの上に簡素な金属製の鎧をつけ、腰に刀を()いていた。

 正直なところ、あまり強そうには見えないが、俺は俺の直感を信じることにした。


「えーと、実は……」


 俺はその人に武器がほしいこと、武器が買える場所を知らないこと、また、ゲーム内での買い物のシステムがわからないことを伝えた。


「つまり、それを教えてほしいということですかな?」


「はい、無理な理由があるなら断っていただいて大丈夫です」


「いや、構いませんよ。私のオススメのお店を教えましょう」


 この人の名前はディールというそうだ。

 ディールさんはとても親切に売買のシステムや金銭取引の注意を教えてくれた。

 今はディールさんの案内のもと、オススメの鍛冶屋に向かっている最中である。

 俺が普通に歩いても、気を抜くと離されそうになる。

 このことからおそらくディールさんのAGIは俺よりも高いことがわかる。

 この時点でただ者ではないことは確かだろう。


 しばらくすると、レンガ作りの建物が並ぶ中、ポツンとある木製のお店に辿り着いた。

 ディールさんは扉を数回ノックして、声がしてから静かに扉を開いた。

 俺もそれに続いて入店する。

 店の内装はまさに鍛冶屋という感じだった。

 薄暗い照明、壁一面に掛けられた武器、ところどころに飛び散った金属片となかなかに男心をくすぐる。

 もっとも、俺は前世でこれに近い光景を何回か見ているため、特にこれといった感動は無い。

 

「いらっしゃー……ってあれ、ディールさん? 何? 武器になんかあった?」


 店のカウンターから顔を出し、ディールさんに声をかけたのは、長い黒髪の女性。

 なんだか眠そうな目をして、タバコを咥えている。

 ちなみにゲーム内でのタバコは人体になんの影響もないただのオシャレアイテムらしい。


「いや、刀は何の問題もありません。今回は別件ですよ」


「その後ろでキョロキョロしてる子?」


「その通りです」


 俺はいきなり俺の話題が出たことにビックリして、思わず背筋を伸ばす。


「彼はアレン。武器がほしいそうですが、始めたばかりで買い方がわからず、困っていたので連れて来たんですよ」


「ふーん、何がほしい?」


 と、言われるが、よくわからない迫力に怖じ気づく俺に、すかさずディールさんが助け舟を出してくれた。

 

「アレン、彼女はメイ。ゲーム内でも屈指の生産能力を持つプレイヤーです。こんな見た目ですが、優しい人ですよ」


「こんな見た目言うな」


 ディールさんによって多少は緊張がほぐれた。

 なんかこんなんで緊張するものおかしいのかもしれないがな。


「あの……短剣がほしいんです。できれば同じ大きさのが二本」


「短剣かぁ……在庫にあったと思うけど……」


「あ、でも━━」


「では、在庫にあるなかで最も良いものを二本。値段は問いません。私が出しましょう」


 お金は払えないと思うので値段を教えてください。

 俺がそう言おうとすると、ディールさんがとんでもないことを言い放った。

 

「ディールさん!? ダメです、俺が払いますから」


「いいんですよ。若人への支援は先達の仕事です」


 その後、何度も自分で払うと言うが、ディールさんは頑として譲らない。


「厚意に甘えな。その人一回言ったら何言っても曲げないよ?」


 決め手はメイさんのその一言。

 最終的に俺が折れる形となり、短剣二本を買ってもらうことになった。

 ちなみに会計をチラッと盗み見ると、二十五万ゴールドとかなりのお値段だった。

 ディールさんはそれを軽く出していた。

 ディールさんマジで何者なんだ……。 


 渡されたのは赤と青の二本の短剣。

 詳細確認というディスプレイが現れたので、なんの迷いもなく、YESを押す。



【紅炎の短剣】

ステータス補正 STR+25

能力 【炎刃】【飛刃】

   【蒼氷の短剣】と同時装備時AGI+20



【蒼氷の短剣】

ステータス補正 STR+25

能力 【氷刃】【飛刃】

   【紅炎の短剣】と同時装備時VIT+20



【炎刃】

能力 相手を状態異常〈火傷〉にする

使用制限 クールタイム一分



【氷刃】

能力 相手を状態異常〈凍傷〉にする

使用制限 クールタイム一分



【飛刃】

能力 剣系の攻撃を飛ばす 二〇%ダメージ低下

使用制限 クールタイム三分



 確認の結果、相当ヤバいということがわかりました。

 もはや、ヤバいの一言で済ませていいのかわからないくらいにヤバいです。

 現在語彙力が低下しております。


「どうです? 気に入りましたか?」


 しきりに武器を眺めている俺にディールさんが話し掛ける。


「いや、気に入るもなにも……本当にいいんですか?」


「何度も言いますが、先達は後輩の面倒をみるものなのです」


 ディールさんはニコリと微笑む。

 良い人だ。

 武器屋の場所さえわかればと、ダメ元で聞いたのに、こんなことになるとは……。


「そうですか……いずれこの借りは十倍くらいにしてお返ししますんで」


 これはある意味俺の意地だ。

 借りっぱなしは性に合わないし、何より気分が悪いのだ。


「……ふふっ、楽しみに待っていますよ」


 俺がそう言うと、ディールさん少し驚いたような顔をして、また楽しそうに笑った。

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