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転生暗殺者のゲーム攻略  作者: 武利翔太
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第二十一話 レッツ鉱石採集

 俺が暗闇から意識を戻すと、見慣れない天井が目に飛び込んできた。

 ここは俺がリスポーンポイントに設定していた、第一層の街中の宿屋である。

 ……そう、第一層の、だ。


 俺は第二層でリスポーンポイントを設定していなかった。

 それは忘れていたわけではない。

 心のどこかで、もうそこらのモンスターに負けるはずが無い、と高を括っていたのだ。

 思えばそのときから慢心は始まっていたのだろう。


「━━クソッ」


 俺は宿屋の壁を殴りつけた。

 悔しい。悔しくてたまらない。

 勝てなかったことがじゃない。いつの間にか驕っていた自分がだ。

 だが、もうそんなことは無い。

 俺を殺してくれてありがとよ、『銀殻(ぎんかく)』。

 いつか必ず俺の手で潰してやる。

 新たな決意を胸に俺は宿屋を後にした。


         ◇ ◇ ◇


 俺は宿屋を出た後、鉱石採掘用のピッケルを購入し、第一層の鉱山へ向かっていた。

 調べてみたところ、装備の最後の素材となる『白閃鉱石』は第一層の鉱山で採取できるらしい。

 おまけにそこの鉱山では金稼ぎに丁度良いモンスターも湧くらしいので、ソイツも狙っていきたいところだ。


 鉱山へ向かう道中、念の為インベントリとステータスを確認しておく。

 『鋼蜘蛛の外骨格』は十個ほど入手できていた。

 これで足りるかはわからないが、あそこにはあまり近寄りたくない。

 足りていることを願うばかりだ。


 ステータスはデスペナルティで大体二割ほど低下していた。

 横にタイマーが設定されているので、放っておけば元に戻るだろう。


 あと、レベルが上がっていた。それも四つも。

 戦っている最中に何匹かスティールスパイダーを倒したが、それでは割に合わない。

 『銀殻』に与えたダメージが経験値判定になっていたのか?

 まあ、上がるに越したことは無いので、スルーしておこう。


 スキルでは【短剣術】と【暴風魔法】が三つ、【格闘術】が二つレベルアップしていた。

 だが、何より驚いたのはそれではない。

 俺のスキルに見慣れないものが追加されていたのだ。



【女王蜘蛛の加護】

能力 スキル【操糸術】を追加

   蜘蛛系モンスター以外との戦闘時にステータス補正

使用制限 パッシブ

獲得条件 『銀殻』グレートマザーに認められる



【操糸術】

能力 MPを消費して糸を生成する

   MPを消費して生成した糸を操作する

使用制限 なし

獲得条件 【女王蜘蛛の加護】の獲得



 ……なんだこれ。いや、本当になんだこれ。

 わりかしイカれたスペックしてる上に、獲得条件が意味わからん。

 『銀殻』に認められるって何? 俺はなんで認められたの?

 ……なんか頭痛くなってきたな。

 もう貰えたから貰えたっていう考えでいくか。うん、そうしよう。


 思考を打ち切った俺の目に、目的地だった鉱山の入り口が映った。

 それなりに長い時間考え込んでいたようだ。

 俺はピッケルを取り出し、同時に購入したヘッドライトを装着して鉱山の洞窟へ足を踏み入れた。


 洞窟の中は、黒鬼と戦った洞窟とあまり変わらなかった。

 だが、あのときとは違い、今の俺はヘッドライトを装着している。

 暗闇で目が視覚情報が役に立たないということにはならない。

 ヘッドライト様々である。

 決して崇めるようなことはしないけれども。


 暫く歩いていると、他と色の違う岩を見つけた。

 詳細を確認すると、『鉄鉱石の鉱床』と表示された。

 なるほど、鉱石はこんな感じであるわけか。

 ぱっと見でわかるかギリギリのラインだな。

 見逃し続けると、なかなかにストレスが溜まりそうだ。


 俺はピッケルを両手で握り締め、大上段から思い切り振り下ろす。

 ピッケルは真っ直ぐに鉱床へ向かい━━ギィンという甲高い音を立てて弾かれた。

 なん……だと……!?


 俺は動揺を掻き消すように、無我夢中でピッケルを振るい続けた。

 その奮闘の末に、約十分ほどで鉱石を一つ手に入れることができた。

 ……いや、流石におかしいだろ。


 気になったので調べてみると、とある事実が判明した。

 なんと、採掘は生産系に分類されるため、STRではなくDEXが補正値となるらしい。

 つまり、どれだけSTRが高かろうと意味が無いのだ。

 おまけにDEXは単なる生産系補正値ではなく、スキルやアーツの熟練度にも補正値がかかるらしい。

 ちゃんと調べておくべきだったな。


 とりあえず今あるEXPのうち6ポイントをDEXに振っておく。

 残りは……STRとAGIに振っておこう。

 ある程度EXP溜めておいて正解だったな。


 俺は再びピッケルを振り下ろす。

 すると、さっきより明らかに大きなひびが入った。

 もう一度振るうと、ひびがさらに大きな亀裂に変わり、鉱床が二つに割れた。

 こんなに簡単に壊せるとは……情報はきっちり調べ尽くしておくべきだな。


 黙々と鉄鉱石やお目当ての白閃鉱石を採掘していると、目の前に一匹のトカゲがいた。

 体長は一メートルほど、全身が金属光沢を帯びた殻のようなもので覆われている。

 この鉱山に湧く金欠対策モンスター、メタルリザードである。


「キシャア!」


 メタルリザードは俺を見るやいなや、弾かれたような勢いで俺に突撃する。

 俺はそれを半身になって回避。

 その勢いのまま旋回し、メタルリザードの胴にピッケルを叩き込んだ。

 メタルリザードは洞窟の壁に叩きつけられ、光となり爆散した。

 やっぱこのくらいじゃもう相手にならないんだよなぁ……。


 俺はメタルリザードが爆散した辺りまで行き、ドロップアイテムを回収する。

 その中に『鋼蜥蜴の眼球』があることを確認した。

 これは鍛冶作業を行うときに使用することで、武器の強化率が上昇するというアイテムだ。

 鍛冶師御用達のアイテムであり、それなりに高値で取引されるので、新人プレイヤーには有り難いのだ。


 その後も鉱石採掘やトカゲ狩りなどを続けた。

 その結果、鉄鉱石は五二個、白閃鉱石は二四個、鋼蜥蜴の眼球は七個手に入った。

 その他にもいくつかのアイテムを手に入れ、懐事情はホクホクである。


 これをメイさんに持っていけば任務は完了。

 非常に満足した気分で、今日はログアウトした。

友人からツッコミが入ったことを解説します。

Q、前話で「衝撃が駆け抜けた」という記載がありますが、ゲーム内における痛覚はどうなっているのですか?

A、一応ゲーム内に痛覚は存在しますが、かなり弱められています。また、痛覚と衝撃は別物として独立しているため、それなりの衝撃を受けています。静電気の実験で腕がドンッ、ってなる感覚を思い出してみたら、わかりやすいかなって思います。


PS.いつか、こんな感じで質問に答えるコーナーとかしてみたいですね。

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