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最初に父とユーゴが降り、次に母が2人のエスコートを受けながら降りた。そして私も同じように2人にエスコートされて馬車から降り立つ。
「……まぁ! すごい人ですわね!」
王宮はすでに着飾った貴族たちで溢れかえっていて、大変なことになっていた。
社交シーズンになるとウチの屋敷でも夜会が開かれ他の貴族を招待する。
侯爵家ともなると、毎回多くの貴族が出席し、それを完璧に取り仕切る母をそれはそれは尊敬したものだったが……。さすが王家主催の舞踏会と言えよう。ウチの屋敷で行われるものとは比べ物にならないほどの人の数だ。
「行こうか、エレオノール」
「ええ。あなた」
そう言って父が腕を出すと、母が笑顔で応え、腕を絡めた。
優雅に歩き出した両親の後ろ姿を見送った後、隣を仰ぎ見ると、シュバリエ侯爵家嫡男としての仮面をつけた弟と目が合う。
「それでは、姉上。私たちも行きましょうか」
(ふふ。普段は姉様って呼ぶのにね。……さぁ、いよいよだわ。私も気合いを入れ直さなくては)
「ええ。よろしく、ユーゴ」
ユーゴが差し出してくれている腕をとり、私たちも揃って歩き出した。
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「――――今宵は皆も楽しんでくれ。それでは舞踏会を始めよう」
国王陛下の挨拶が終わると、会場中から拍手が湧いた。
楽団が音楽を奏で始める。
それを合図に上位貴族からダンスを踊り始めた。
「マリー、私たちは先に両陛下へのご挨拶よ」
「さあ、行こうか」
「はい。お父様、お母様。では、ユーゴ、また後でね」
社交界デビューを迎える令嬢は陛下への謁見が許されている。
まだ謁見が許されていないユーゴとは離れ、父と母に連れ添ってもらい、私は陛下たちの元へと向かった。
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「ああ、シュバリエ侯爵! よく来た!」
両陛下の前へ通される。
まず、父と母が並んで立ち、その少し後ろに私も立つと、国王陛下から声をかけられた。
ここオルレアン王国の国王であるマティス陛下は今年で28才になられる。
王族特有の黒髪を後ろに流し、よく晴れた日の青空のようなライトブルーの瞳が美しい。
類稀なる治政の才を王太子の頃から発揮され、その爽やかな美貌も相まって、若き賢王として国民から絶大な支持を得ておられる方だ。
その隣で微笑んでおられるのが、王妃のイネス陛下だ。
輝くプラチナブロンドにアメジストの瞳をお持ちの華やかな雰囲気のある美人である。すこしタレ目なのが愛らしい。
4年前に第一王子をご出産されているが、とても一児の母とは思えぬ若々しさとプロポーションだ。
元は西に隣接するルーセル国の公爵家令嬢で、マティス陛下が正式に立太子される前、隣国へ留学された際に出会われ、マティス陛下の強い希望でご婚約・ご結婚されたと聞く。
王宮では両陛下の仲睦まじいご様子が度々見られると父が言っていた。
「国王陛下、王妃陛下、この度はお招きいただきまして、ありがとうございます」
父がそう言って一礼し、母も隣で美しいカーテシーをとる。
「面を上げよ、そう堅苦しくせずともよい」
マティス陛下が爽やかな笑顔を浮かべて言った。
「シュヴァリエ侯爵夫人、久しいな。元気であったか」
「はい。おかげさまで。マティス陛下もイネス陛下もお元気そうで良かったですわ」
「そうかそうか。そう言えば、母がそなたに会いたがっていたぞ。イネスも話がしたいそうだ」
「シュヴァリエ侯爵夫人! お久しぶりね! シーズン外だと中々お会いできないから寂しかったわ!」
イネス陛下が少し拗ねた顔で母に話しかける。
「夫人主催のお茶会はとても素敵で人気だから、本当はそちらに出たいのだけれど。今は王宮の外に出る時間がとれなくて……。今度こちらで行うお茶会に招待してもよろしいかしら?」
「もちろんですわ。私も娘をきちんと紹介させていただきたいですし、ありがたく受けさせていただきます」
「嬉しいわ! きっとよ!」
「相変わらずイネスと夫人は仲が良いな。嫉妬してしまう」
「全くですな」
マティス陛下の言葉に父が頷いて同意を示す。
「ところで陛下、娘を紹介させていただきたいのですが」
「ああ、今夜が社交界デビューであったな」
父の言葉を受け、マティス陛下が私に視線を移した。
「マリアンヌ、こちらに」
父に呼ばれ、私も前に出る。
「国王陛下、王妃陛下、お初にお目にかかります。シュバリエ侯爵が娘マリアンヌでございます」
そう言って、私がゆっくりとカーテシーをとると、マティス陛下が満足そうに頷いた。
「うむ。よく来た、マリアンヌ嬢。見目もよいし、…美しい所作だな。シュヴァリエ侯が自慢するのもよく分かる。これは会場中の男たちが放っておかんだろうな」
「勿体ないお言葉、ありがとうございます」
(国王陛下に褒められた! 社交辞令だとしても嬉しい!)
いくらマナーの講師や家族に褒められていても、どこか不安があったが、こうやって身内以外の人から褒められると、本当に大丈夫なのだと思えて安心する。
それが国王ともなると別格だ。自信がつく。
「新たな華の誕生だな。……シュバリエ侯も心配であろう。それに、私は諦めていないぞ。その時はよろしく頼む」
「……まだ言っておられたんですね。私は娘を信じておりますので、私はもう娘の意思に任せますよ」
ニヤリとするマティス陛下に、父が呆れたような笑顔で答える。
なんの話をしているのだろうか。
「なるほど。だが私の直感は当たるのだよ。……さて! 私たちだけで、そなたたちを独占する訳にはいかんな。マリアンヌ嬢も、今夜は是非楽しんでいってくれ」
チラリと会場を見たあと、マティス陛下が楽しそうに言った。
その陛下の言葉を最後に、私たちの謁見は終了したのだった。
すみません、私のフワッと知識の影響で、イネスの呼び方があやふやです。
一応色々と調べたのですが、これでいいのか不安でして、…詳しい方がいらっしゃいましたら教えてもらえると助かります。
読者様頼みで本当にすみません。




