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来世でも一緒に  作者: 霜月
本編
4/63

Side アドルフ



 どうも、皆さん。


 私の名前はアドルフ。シュヴァリエ侯爵家現当主である。

 ちなみにピチピチの39才だ。


 普段はここオルレアン王国と、東に隣接するアナトールとの国境にある領地を治めている(所謂、辺境伯というやつである)のだが、今年の社交シーズンの始まりに合わせ、現在は家族で王都にある屋敷にて過ごしている。


 今回はちょっと私の家族紹介したいと思いこの場をお借りした。少しお付き合い願いたい。


 まず、私には3人の家族がいる。

 愛する妻エレオノールに、娘のマリアンヌ、そして息子のユーゴだ。


 妻のエレオノールは、美しいブロンドの髪に若草のような明るめのグリーンの瞳をした美しい女性である。

 時に厳しくも慈愛に溢れ、女主人としてしっかり屋敷を切り盛りしながらも2人の子どもを育ててくれていて、惚れた弱みもあり、正直、頭が上がらない存在だ。


 次に紹介するべきなのは長女のマリアンヌなのだろうが、……ちょっと置いておいて。


 先にその弟のユーゴについて話そう。

 ユーゴは私譲りのダークブラウンの髪に妻譲りのグリーンの瞳をしている。

 真面目で頭も良く、社交界に出れば他家の令嬢が放っておかないであろう甘いマスクをしている。この辺はきっと私に似たのだろうな。ハハハ。

 今はまだ王都にある学園の寮で過ごさせているが、来年に卒業を控えているため、最近になり本格的に帝王学を学ばせている。少しずつではあるが奴の中にも次期当主としての責任感が生まれてきているのだろう、締まった顔つきになってきた。

 とにかく将来がとても楽しみな自慢の息子である。


 そして最後に紹介するのは、この物語の主人公である娘のマリアンヌだ。


 マリーはなぁ……。


 私が言うのもなんだが、我が娘ながら少し変わっていてな。


「決めましたわ、お父さま! わたくし、おっきくなったら、ぜったい、いい条件の男の人とケッコンして、お父さまとお母さまの役に立ってみせますわ!」と、5歳の時に急に言い出したのには驚いた。


 そこは「お父さまとケッコンする!」ではないのか娘よ……と、頭の中が真っ白になったのを今でも覚えている。


 そしてその頃からだ、娘が、自分磨きと称して何かに取り憑かれたかのように様々な努力を始めたのは。


 太らないようにと大好きだった筈の甘い食べ物を我慢し。

 足などに出来たマメや筋肉痛に耐えながらマナーやダンスをその小さな体に叩き込み。

 空き時間にはありとあらゆるジャンルの本を読み込んで、スポンジの様に頭の中へその知識を吸収していった。


 10才の頃に、過去10年分の貴族年鑑を読破し、中の情報をソラで言えるようになっていたのには驚いたものだ。


 何故そんなに必死になって頑張るのかと聞いたこともあった。

 私は侯爵としてちょっとやそっとのことでは揺るがない地位にいるし、私たちのために無理に条件優先の結婚をしなくてもいいのだと話をしたこともあった。


 しかしあの子は、「私はとにかくお父様とお母様に親孝行がしたい。女である自分は爵位を継ぐことはできないし、なによりユーゴもいる。何も持たない自分は、努力して、できるだけ良い家に嫁ぐぐらいの事しかできないから」と言うのだ。


 だがしかし。

 私の気持ちとしては。


 ただでさえ、これでも若い頃はイケメン侯爵と言われ社交界でブイブイいわせていた私が、一目惚れして押しに押して押し倒した(ちゃんと合意の上です)愛妻エレオノールとの子なのだ。


 可愛くない訳がないのだよ!

 目に入れても痛くない存在だ!


 妻に似て、大きくパッチリとした瞳。

 妻に似て、小さめながらプックリした唇。

 妻に似て、真っ直ぐで手触り柔らかな髪。


 ちなみに。

 髪の色も瞳の色も私譲りのダークブラウンである。

 あ、あと、鼻筋がスッと通ってるところが私に似ているとエレオノールが言っていた。嬉しい。


 正直、他所になんてやりたくない。


 無理に親孝行なんてせずとも、我が子なんてものは無事に産まれてきてくれただけで、ただそこに居てくれるだけで有り難い存在なのだと、あの子が分かってくれる日は来るのだろうか。


 ……。


 誰に似たのか、中々頑固だからなぁ。


 っと。

 ちょっと家族を紹介するだけのつもりが熱く語ってしまったようだ。


 とにかく、まぁ、あれだ。


 何故あの子があんなに『親孝行』にこだわっているのかは分からないが、親にとって、『子どもが幸せになること』こそが『親孝行』になるのだと考える私は、せめて嫁いで行ってしまうのなら、心から愛する人と幸せな結婚をしてほしいと願うしかないのである。


 だから、……今夜の社交界デビューがちょっぴり嫌なのはマリーには内緒だ。

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