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来世でも一緒に  作者: 霜月
本編
2/63



 ……コンコン。コンコン。


 いつもの朝。


 私は扉を叩く音で目を覚ました。

 きっとメイドのアンナだろう。


「お嬢様、お目覚めのお時間にございます」


 薄暗い寝室の中、ベッドの上で体を起こして扉に向けて声をかける。


「アンナね。入ってちょうだい」


 するとアンナが扉を開け、一礼して入ってきた。


 アンナはこの家での私付きのメイドである。

 赤毛の髪をピッチリと結えたスレンダーな女性で、歳は28才。厳しいところもあるが、基本優しく、長女として生まれてきた自分にとってのお姉さんのような存在だ。


「おはよう、アンナ」


「おはようございます、マリアンヌお嬢様。……今日の王都はいい天気でございますよ。今夜は待ちに待ったお嬢様の社交界デビューですからね。絶好の舞踏会日和になりそうでようございました。」


 朝の挨拶の後、寝室のカーテンを開けながら笑顔でアンナがそう言った。




 *




 皆さま、ご機嫌よう。私の名前はマリアンヌ。ピッチピチの18才で、シュヴァリエ侯爵家の1人娘でございます。


 そう、18才!!


 私、昨年誕生日を迎えまして、無事、成人を迎えましたの。そして今夜、王宮で行われる舞踏会にてようやく……ようやく! ようやく!! 社交界デビューを果たすことになったのですわ!!


 ちなみに私、この日のために色々な努力をしてまいりましたの。


 殿方を楽しませるウィットに富んだ会話をすべく、ジャンルを問わずあらゆる本を読み漁り。

 お相手の名前が分からないなんて言語道断ですからね。分厚ぅぅーい貴族年鑑をおやすみ前の絵本よろしく毎晩毎晩読み込んで。

 ダンスで毎日体を動かし、食べる料理はお野菜中心・ハラハチブンメ!!

 バストアップと脚痩せのマッサージを日課にして、私を磨くのが楽しいらしいメイドのアンナに任せていれば、お肌はプルプルもっちり、髪ツヤサラッ。

 ワタシという戦うボディをタイトなコルセットにねじ込めば、立派な侯爵家令嬢の出来上がり!!


 自分で言うのも何だけど、マナーも完璧でしてよ。ニッコリ。



 物心ついた5才頃から座右の銘は『親孝行』。


 シュヴァリエ家は優秀な弟であるユーゴが継ぎ、きっとその将来ますます盛り立てていってくれるでしょう。

 女である私が家のため両親のためにできる最大限の事といえば、より良い条件の殿方と結婚すること……!!


 そのために全力を尽くした約13年。


 お父様、お母様、大変長らくお待たせ致しました。

 私ことマリアンヌは、今夜社交界デビューを無事果たし、近いうちに必ずや、でっかい魚を釣り上げてみせますわ!!!!

※このお話を明朝体で読まれている方へ。

先ほど、文章にダッシュとハイフンと長音が混ざっているとの指摘を頂きました。

すみません、私の方がゴシック体で書いているので指摘を頂くまで気付きませんでした。

あと、デビュタントの表現に関しても変らしい!


早急に確認して修正しますと言いたいところなのですが、如何せん、番外編を執筆中にて余裕がありません。

番外編終了後に確認と修正をしていきますので、それまでは、見逃していただけると助かります。

本当にご迷惑をおかけしております。すみません!


→3月12日に修正済です。

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