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プロローグ
きゃぁああーーー!!!
うわぁぁ!
やべぇ! 逃げろ!! 刺されてる!!
警察! 警察! だれかっ! 助けてーー!!
おい!! 救急車呼べ!!!!
周りの多くの人たちが逃げ惑う中。
私は自分の腕の中でかたく目を瞑り浅い呼吸を繰り返す彼に必死で声をかける。
「せんぱいっ!! 先輩!! いやだ、目を開けて!! ……誰か助けて、先輩が!! ……ッ……お願い! 死なないで!! 先輩っっ!!」
手で必死に押さえても、指の間からドクドクと血が流れて服の染みを大きくしていく。
手のひらに感じる温かい血の温度に対して冷えていく彼の体温に、私の心も冷えていく。
嗚呼、お願い神様。彼を連れて行かないで。
もう私を、1人にしないで――――。