第二話:牛鬼、対峙
外は相変わらずの豪雨のまま、風も吹き始めてきたようだった。 雨と高い風の音が、作りの甘い小屋を激しく叩く。時折吹き込んでくる隙間風が、祇音の背を撫でるが、眼前には暖かく燃える火があるのだからさほど苦ではない。それと共に徐々に乾いてきた着物も、ようやっと本来の役目を取り戻しつつあるようだった。
けれど体温を取り戻してきた体に、溜まりに溜まっていた疲労はより存在感を増してくる。 気の抜けない山越えで思いの外、消費した体力と気力の回復を求めて、頭を擡げてきた眠気に祇音は欠伸をかみ殺した。
「……まるで餓鬼だな。」
その様子を見て皇が飛ばしてきた皮肉も、ぼぅっとした頭では何処か遠くに響いて聞こえて、反射的につこうとした悪態も上手く言葉にならないまま、口の中にくぐもった。
合わせて笑う鎧の声も、今はまるで子守歌のようだった。
寝て良いような状況でないことは把握しているも、しかし予想に反して、一向に現れる気配がない牛鬼相手に緊張感を張り続ける事も出来ない。
或いは先程小屋に引いた結界が効いているのだろうか。 祇音はそう思いながら、今すぐ床に横たわりたい衝動と必死に戦った。
「眠気覚ましに、今回この山にいる牛鬼の話をしようか?」
目をこする祇音に鎧がそう尋ねる。
今の祇音にはとってはそれすら眠りを助長しそうではあったが、聞いておいて損はない話だと小さく頷くことだけして答えた。
鎧はそれを確認すると、含み笑いを浮かべた顔つきで、「それじゃあ」とこの山に住まう牛鬼について語り始めた。
「この山に牛鬼が出没するようになったのはごくごく最近の話でね。 どうやら以前にも牛鬼が出たことがあるみたいで、その時に偶々通りかかった僧侶がその霊力でこの山の祠に封印したらしいんだけど、その祠がどうやら壊れてしまったみたいなんだ。」
鎧の柔らかな口振りは、どうにも妖の話をするには適さないようだ。
そんな的外れな感想を頭の隅で思いながら、祇音は鎧の話に自分なりの解釈を付け加えていくことで何とか意識を保とうと試みた。
祠が壊れたというが、或いは時を経て、牛鬼を封じ込めていた僧侶の霊力が弱まってしまったのかもしれない。
よくある話だ、と祇音はこくっと首を前へ傾けた。 端から見れば頷いているのか 今にも寝そうになっているのか判断し難い様に、鎧が話ながら苦笑を零したのが目の端に映った。
それでも鎧は話を止めることなく、続きを繋げる。
「被害にあったのは二人だけ。 この山のすぐ麓に住む猟師の夫婦でね。 今日みたいに秋雨が強かった夜に、外で飼っている猟犬が吠え立てているのを不審に思って、戸をあけたらすぐ目の前に牛の面をした鬼が立っていたんだって。」
猟師は直ぐにそれがこの山に封印されていたはずの牛鬼だと悟ったそうだ。
おどろおどろしい紅の身体に、天を突かんばかりの巨体。 鬼のような風貌で立ちふさがるそれに感じた恐怖は一体如何ほどのものだったのか。
まるで喉が張り付いたように声が出せず、あげたはずの悲鳴すら引き攣ったように息を吸う高い音しか奏でなかった。 眼前の牛鬼がその鋭い爪で、猟師と後ろに庇っていた妻を引き裂こうとしたときに、猟師は村に伝わっていた牛鬼避けの呪を思い出したそうだ。
祇音はそこまで聞いたところで、睡魔と格闘しながら記憶の海から引っ張り上げたそれを口ずさむ。
「石は流れる、木の葉は沈む、牛は嘶く、馬は吼える……だったっけ。」
「そうそう。 どうやら僧侶が念のために、村人に教えておいたのがずっと伝わっていたらしいね。」
「――随分と奇妙な呪いだな。」
皇がそう言うと、「そうだねぇ。」と鎧は悠然と笑った。
「……現実と逆のことを言うと、牛鬼から逃れられるの。」
祇音が落ちそうな瞼を必死にこじ開けながら会話への参加を試みる。 そうして眠気を堪えていると僅かに鎧が首を捻った。
「まあそう考えると、前半は兎も角、後半部分は逆とは言い辛いけど――まあ、そういう"呪"なんだろうね。」
或いは何かの祝詞や真言が訛った末に残っている一節なのかもしれない、と祇音はぼやけた頭の隅で考える。 尤もこればかりは幾ら考察を巡らせたところで真偽が明らかになるはずもなく、「……それで」と祇音は鎧に先を促した。
「ああ、話が逸れたね。 兎に角、猟師がそれを唱えると牛鬼は直ぐに姿を消した。」
「……つまり、被害とはいっても出会っただけ、というわけか?」
「そうだったら良かったんだけどね。」
鎧は肩をすくめた。
祇音はそこでようやっと、やや醒め始めた頭を無理矢理叩き起こそうと首を横に振り――それから、低い声で言った。
「あてられた、のね?」
無言で首肯する鎧を見て、 祇音は深い溜息をついた。
皇だけが一人、その会話の意味を捉えきれなかったのだろう。 説明を求めるような視線を向けてくるのに、祇音はゆっくりと口を開いた。 眠気のせいで所々言葉が途切れてしまう。
「牛鬼っていうのは、強い気を持った妖……なの。 一目出会って、その気にあたっただけで病んでしまう人も少なく、ないわ。恐らく――その猟師夫妻は、牛鬼に出会ったせいで身体を、病んでしまったんでしょ……。」
「そうなんだよね。 まあそういう実害もあったから、これまた偶々通りすがった僕が牛鬼退治を頼まれたわけなんだけど……。」
「見事に失敗したというわけか。」
笑いながら言葉を濁した鎧の後に、皇が無情にも彼の言葉を繋げる。
面目ないと鎧が頬を掻き、 祇音は大きく欠伸をした。
そんな風に、静かに時が流れていった――その時だった。
***
それはまるで嵐の前の静けさであった。 一瞬、雨の音も風の音も全てが止み、囲炉裏の炎が燃えさかる音だけが室内を支配した時。
ああ来るな、と思った瞬間――バキバキバキッと周囲の木々がなぎ倒されるようなそんな大きな音がした。
眠気に支配されていた祇音の頭も、それを聞いてさすがに覚醒し、皇は替え笛袋から銀の杖を取り出して隙無く構える。 鎧だけは始終のんびりとした様子でそれでも、その手にはしっかりと錫杖が握りしめられていた。
呼応するかのように牛鬼の腕が封じられている箱が五月蠅く騒ぐ。
何とも形容しがたい号哭が辺りに響き、地を這うような低いそれが祇音の耳を貫き、揺さぶる。 あらかじめ魔除けの結界を張り巡らした小屋に牛鬼は入ることが出来ず、迸る怒りが山を震わせた。
特に何かを打ち合わせるまでもなく、ただまるでそうと決まっていたかのように最初に小屋を飛び出したのは皇だった。 それに鎧が続き、最後に祇音が開け放たれた戸口を出ると、そこには巨大な鬼がそびえるように仁王立ちしていた。
何度見ても不気味で、まるで地獄からの死者のようだと祇音は思う。
頭から伸びた角は鋭く空を突き、剥き出しの赤い皮膚は何かが蠢くように時折波打つ。 地に立つ二本の足には剛毛が生え、一本一本が太い針のようだ。牛というよりは猪に近い鼻面の長い顔にやけに発達した犬歯が伸びては、凶暴で凶悪な印象でもって見る者を圧巻させる。欠けた右腕すらも牛鬼の圧倒的な存在感を殺ぐことは出来なかった。むしろその歪さが牛鬼の凄みを増しているかのように、祇音は記憶にあったそれよりも幾分も恐ろしく見える姿に顔を引き締めた。
案の定というべきか、最初に牛鬼が目につけたのは本来の敵であるはず鎧ではなく、黒真珠を持つ祇音の方だった。
そうなることは折り込み済みの祇音は動じることない。 祇音と牛鬼の間に立つように皇が杖を構えた。
「――殺して構わないんだな?」
視線は前に向けたまま、皇が祇音に確認する。 祇音は小さく頷いた。
「幾ら私でも、妖そのものを拾い上げる事は出来ない。」
「そうか。」
皇はそう応答するやいなや、大地を蹴る。 濡れてぬかるんだ足下に不安げな様子は一切無く、月明かりも届かぬ暗闇の中に躊躇する素振りもない。横になぎ払った鋭い一線は、確かに牛鬼の胴体を捉えた。 己の何倍もありそうな巨体を易々と腕力一つで吹き飛ばす。 鎧が細い口笛を吹いた。
「やるね、彼。」
と感心したように囃す鎧の足を、祇音は無言で後ろから蹴り上げた。
「いいからさっさと、真言唱えなさいよ。 元はといえばあんたの依頼でしょうが。」
「うわ、祇音ちゃんらんぼ……ああ、真言――うん、真言ねぇ」
鎧は一瞬何故か困ったような表情を浮かべたが、直ぐに気を取り直したように前を向き、牛鬼の方に錫杖を向けた。
牛鬼は皇に応戦し、咆吼を上げる。 先程の攻撃はやはりさほどの損傷も与えられていないようであった。 鋭利な爪が皇の体を引き裂こうとするが、彼は少しだけ身を躱しそれを避ける。 爪は大地を大きくえぐる。
「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前」
一言一言に合わせて、まるで空に線を描くかのように鎧が錫杖を動かしていく。 しゃらんと遊環が鳴り響く音と共に、宙を突くように錫杖を前へと突きだした。
"九字"と呼ばれる真言である。
あらゆる魔を払うそれは、極めて簡潔なものではあるが術者次第では強力な伏魔の力を持つ。
しかし鎧のそれは、牛鬼の動きを止めるまでには至らなかったようだ。 あまり力がない山伏なのか――祇音は内心首を捻りながら、懐から札を取り出した。
その間にも、皇は牛鬼への攻撃の手を休めなかった。 人の域を軽く超えているような動きで、重い一撃で巨体に与え続ける。しかしそれでも牛鬼は痛みにうなり声をあげるだけで、倒れる素振りすら見せない。宙を切るような素早い牛鬼の腕を、皇は完全に避けきれなかったようだった。 被っていた深編み笠が真っ二つに割れて、落ちる。
皇が小さく悪態を吐いた声が祇音の耳に届いた。
「極て 滞無ければ 穢とはあらじ 内外の玉垣 清浄と申す!」
祇音が札を宙へ投げると、それらは意志を持つかのように牛鬼の体に張り付く。
そこでようやっと牛鬼の動きが一瞬止まる。 皇がその隙を逃すはずもなく、銀の杖は牛鬼の目を貫いた。 痛みにのたうち回り、がむしゃらに腕を振り回す牛鬼から皇が一歩後退する。
「……百々目鬼とは大分違うな。」
皇はそう言いながら、剥き出しになった萌葱色の瞳で転がっている深編み笠の残骸を見た。 祇音は「そりゃあそうよ。」と眉を寄せた。
「力の背景が違いすぎるわ。 百々目鬼は所詮一人の人間が生んだ妖、牛鬼は自然そのものが生んだ妖だもの。」
「銀も大して堪えていないようだ――この前の祝詞は効かないのか?」
「あんな長ったらしいものあげても、精々追っ払うかちょっとの間身動きをとれなくさせるかぐらい。 割に合わないわ。」
百々目鬼の時のように、山神の力を借りた祝詞を唱えたところで祓い切れない。 何故ならば牛鬼が此処にあり続けると言うことは、山神自体が牛鬼の存在を認めていることに他ならないからだ。
神は常に人の味方であるわけではなく、あくまでも神は神なのだ。 正しい手順をふめば人に力を貸し与えるが、自然が生んだ――即ち神が生んだ存在に等しい牛鬼を消し滅ぼしてはくれない。
勿論山神以外にも、他の神の力を借りる祝詞や真言を唱えれば牛鬼を倒すことは出来るが、どちらにしても多少の時間を要するし、力の消耗も大きい。
祇音一人ならばそれでもそれを使うしか無かったが、幸いなことに今は皇が居る。
完全に戦力外認定をした鎧を尻目に、祇音は皇に言った。
「牛鬼は祝詞で祓おうとするよりも、力業でねじ伏せるのが一番なのよ。」
「どうすれば良い。」
「首をはねる。」
その言葉に皇が僅かに眉を寄せた。 視線は牛鬼の太い首に注がれている。
「あの身体は見かけ以上に柔らかい。」
「打撃が通りにくいってこと?」
「ああ……この武器では、少々骨が折れそうだ。」
祇音は思わず、耳を疑った。
百々目鬼の時を含め、何十人かの夜盗に襲われた時でさえ、この男は不敵にその眼光を輝かせるだけで、自信の無い素振りなど一度も見せたことが無かったのだ。
皇は強い。
その強さを目前で見てきた祇音はそう確信を持って言うことが出来たが、その皇を持ってしてもこの牛鬼を倒すのには少々手こずるというわけか。
やはり狩り損ねた手負いの牛鬼というのは厄介だ。 祇音は覚悟を決めた。
「ならいいわ。 やっぱり祝詞を唱える。 倒れたらまたこの前みたいに運んで。」
「――いや、骨は折れるがやってやれないことはない。」
「出来るの?」
祇音は素早く皇に尋ねた。 そうしている間にも牛鬼は徐々に目を潰された痛みと、片目のみの視界に慣れてきたようだった。 闇雲に周囲の木々をなぎ払ってはのたうち回っていた動きが収束を見せ始めている。
そうすればまた此方に狙いを定めてくる。
「あの男がいなければ迷い無く取っていた手段だ。」
そう言って皇が見やった鎧は、最早黙って二人のやり取りを見守っているだけだった。 そして視線は何故か祇音達を通り抜け、山からの覗く地平線の向こうを捉えている。
皇は小さく舌打ちして、祇音に言った。
「祇音、一滴だ。 血を飲ませろ。」
「っ……あんた、まさか吸血鬼になるつもり!?」
「力ずくでねじ伏せるのが一番だとお前が言ったんだろう。 吸血鬼になればあんな首、一瞬で噛み千切ってやる。」
言葉の意味を悟り、祇音は一瞬躊躇して、鎧の様子を窺った。 相変わらずあらぬ所に視線を向け、完全に皇と祇音に任せきりの無責任さについては、最早何も言うつもりもなかった。
祇音は素早く思考を巡らせる。
よく分からぬ鎧の前で、皇の正体がばれてしまうことはあまり芳しくない事態ではある。 しかし皇が吸血鬼になったところで、その纏う空気と瞳の色が紅に変化する程度なのだから、鎧程度の術者ならば恐らくは何も気がつかないであろう。
片目を失った牛鬼は、その分の力を取り戻そうと当初と同様、祇音へと真っ直ぐ向かってくる。
既に一瞬の猶予もなかった。
「分かった。」
祇音はそう言って、袖を捲った自分の手首を皇に差し出し、皇がそこに唇を寄せようとした時だった。
「あ、昇っちゃったかぁ。」
呟くような小さな声が鎧の口から零れる。
鮮烈な光が地平線から登り、雲を裂いた。 その瞬間、牛鬼の体はまるで光に溶けるかのように僅かな咆吼を残して、宙へ霧散していく。
あっと言う間の出来事であった。
「……どういうことだ。」
皇は掴んでいた祇音の手首を離し、鎧に問い掛ける。
彼はへらり、と気の抜けたような笑みを浮かべて、今まさに空へと顔出した日輪を指差した。
「妖は基本、逢魔が時から夜に力が強まるんだよね。 牛鬼なんか特にその傾向が強い。」
「……つまり裏を返せば、日が昇っている間は活動できないのよ。 全ての妖が必ずしもそうというわけではないけど、牛鬼は力が強い分、"制約"が強い妖なの。」
祇音がそう言葉を続けると、皇が忌々しそうに眉間に皺を寄せた。
白っぽい朝日が徐々に空を染めていく。 何時の間にか雲は何処かに消え失せて、夜中降り続いていた雨はその痕跡を大地に残すばかりであった。 横から差し込む光に深編み笠を脱いだ皇の赤銅色の髪が輝き、高い鼻梁が顔に影を作る。
鎧が態とらしく驚いた素振りで、声を上げた。
「ひーくんは南蛮人だったんだね。 道理で大きいわけだ。」
「その呼び名は止めろ。」
皇はほんの僅か厭そうに顔を歪めながら、 真っ二つに割れた深編み笠を地面から拾い上げた。
それが無ければ一目見て特徴的な面立ちを隠すことが出来ない。 さりとて、もう被ることも出来ないであろうそれを皇は溜息を吐きながら、何処かに投げようとした。
あ、と鎧が短い制止がそんな皇の動きを止める。
「捨てないでいいよ。 今、編み直してあげるから貸して。」
鎧はそう言って皇の手から深編み笠を取ると、祇音の方に首を捻って「髪の毛を数本くれないかな?」と尋ねた。
「別にいいけど……どうするつもり?」
不思議そうに尋ねる祇音に、鎧がひらひらと手を振った。
「いいから、いいから。 僕、手先は器用なんだ。」
言われるが儘に抜いて手渡した祇音の髪と笠を持ち、鎧はそのまま小屋に戻ると、囲炉裏の傍に座り込む。
胡座をかいた足の上に深編み笠をぴたりとくっつけるように置いて挟むと、その細かい編み目に今度は祇音の髪を織り込んでいった。
鼻唄交じりに動かす手は淀みなく、まるで何か幻術でも見ているかのように二つに割れていたはずの笠がみるみる内に元のように合わさっていく。
凄いわね、と思わず感嘆混じりに祇音が零すと、「今回、役に立ってなかった分ね。」と鎧は笑った。
まあそれもそうかと思う祇音をよそに、鎧はあっと言う間に編み上げた笠を僅かに背伸びして皇に被せる。
若干亀裂のような細い筋が見えるものの、皇の顔を隠すにはそれでも十分過ぎる程だった。 皇はそのまま周囲を睥睨するかのように、ぐるりと見渡す。
「……若干山猿臭いが、仕方ないな。」
「あんた、はり倒すわよ。」
祇音は胸の前で拳を握りそう言いながら、ちらりと鎧の方を窺った。
倒し損ねてはいるが、仮にも牛鬼の片腕をもぎ取ってきた男。 にも関わらず、あの程度の力しかないというのはどうにも納得がいかなかない。
柔和な黒茶色の瞳が祇音の視線を交わると、彼はふわりと笑い、祇音を見返した。
(……まあ、たまたまってこともあるか。)
気の抜けるような鎧の笑みを見ていると疑うことすら馬鹿らしくなって、祇音はそう結論づけると、再び襲いかかってきた眠気にふわぁと大きく欠伸をした。