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クロワッサン3万個

塔の階層が4階に相当する頃、二人は2個目の宝箱を見つけた。リーヴィアが言った。


「ねぇ今度はエルザが開けてみてよ!」


「どうして?」


「あまりレアな物が出なかったとしてもさ、開ける前まではやっぱりドキドキするじゃん?その楽しみを私だけが味わうのはずるいかなぁって。」


「確かにそうね...。」


エルザは小声で言った。


(まあ、宝箱を開けなくてもいつもリーヴィアにドキドキしてるんだけどね...)


「...?エルザ...?」


「ううん、何でもない。私が開けるわ。」


「え...う、うん!」


エルザは宝箱を開けた。中には清らかな水色の液体が入った瓶が入っていた。


「エルザ、これは...?」


「これは...魔法薬ね。MPを少量回復させる薬」


「MP?」


「生物が持つ魔力、MPって言われてるんだけど、人が魔法や特技を使う時それを消費して発動するわ。ただ生物が保有するMPは限られているから、回復手段が欲しいってことね。薬草同様に価値自体はそれ程高くはないけど、冒険家によく使われるアイテムね。」


「そうなんだ...私は特技や魔法を使えないから関係ないけどエルザには必要なアイテムなのかな。」


「現時点ではそう言うことね。でも、多分リーヴィアも使う時が来ると思うわ。」


「えっ...何で...?」


「世界には不思議な武器、防具があってね、装備するだけで特技や魔法が使えるようになる物もあるのよ。今はまだ手に入れてないけど冒険を続けていれば必ず出会うはずよ。」


「へえ〜そんな便利な物があるんだ。」


二人は魔法薬を手に入れ、探索を続けた。


二人は時折襲って来る魔物をリーヴィアの勇者の剣で追い払いながら探索を続けていた。


「エルザってどんな魔法が使えるの?」


「う~ん...そうねぇ...一つ一つの魔法の規模は小さいけど、色々な魔法が使えるわよ。例えばアナライズって魔法を使うとその物の詳細情報、付与されているスキルなど色々わかるわね。」


エルザはつい先ほど手に入れた魔法薬と、元々自分が所持していた魔導書を取り出した。魔導書は真っ白なページしかなかった。


「例えばこの魔法薬にアナライズを使うとこんな感じに解説してくれるわ。」


エルザがアナライズを発動させると真っ白の魔導書のページが光り始め、文字が現れた。


初級魔法薬

生物の魔力を少量回復させる薬。

3ヶ月前に製造

製造者、ケルナイト


「こんなかんじね。」


「わあ!すごいね!」


「ありがとう。」


お礼を言い終わるとエルザは魔導書をしまった。


「素朴な疑問なんだけどさっきのケルナイトってどんな人なんだろう」


「う~ん、多分商人の名前ね。持ち物がいっぱいな冒険者が商人から買ったものを宝と交換したんでしょう。」


「ドラマがあるんだねぇ。」


リーヴィアは感心していた。


二人が氷の塔六階を探索していると、鍵が掛かっている鉄の扉を見つけた。


「大きな扉だね。」


「そうね。ただならぬ大きさね。」


「これもしかしたら宝物庫じゃない?」


「その可能性はあるわね。」


エルザは続けた。


「ただこの扉はそう簡単には開きそうにないわねぇ...鍵か何かで開けるほかなさそうね。何か手がかりが掴めたら戻ってきましょう?」


「そうだねぇ...」


二人は探索を再開した。


塔七階を探索していると、この塔に入ってから3個目の宝箱を見つけた。


「それじゃ...開けるね...。」


リーヴィアは宝箱を開けた。

宝箱の中には動物の毛皮で作られたフードのような被り物が入っていた。


「ちょっと調べて見るわ。」


エルザがアナライズを発動させた。魔導書には次のように記述してあった。


毛皮のフード

大賢者レクシエルの術式が組み込まれている毛皮の被り物。これ一つで寒さをほとんど凌ぐことができる。

装着時、氷耐性80%増加する。


「大賢者!?嘘でしょ!?」


エルザは目を丸くして驚いた。


「そ、そんなにすごいものなの...?」


リーヴィアが尋ねた。


「ええ、間違いなくすごいものよ...。」


エルザは続けた。


「大賢者の所有物、術式の加護を受けている物はとにかく希少価値が高いわ...。国に献上するだけでも高額な謝礼を頂けるわね。そうねぇ...あのイケメン店主のクロワッサン3万個分ぐらいかしら...。」


「3万個!?!?」


「実用性が高いと判断されれば更に価値は上がるわね...。」


「へえぇ〜...見た目は普通の被り物だけど、そんなに価値があるんだ。」


「ええ、あっさり出ちゃったけど非常に珍しいものよ。」


「...素手で持っちゃって良いのかな?」


「まあ、無くさなければ何してもいいんじゃない?」


リーヴィアは頷き、毛皮のフードを手に入れた。


「せっかくだし、被ってみたら?」


「うん、ちょっと被ってみるね。」


リーヴィアは毛皮のフードを装備した。

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