とりぷるたっち
「...!動きが変わった!」
コンヒューズプラントは自身の持つ、巨大な花の頭をこちらに向けた。
向けたと同時にまるで爆発が起きたように、周囲に花粉を撒き散らした。
「...ッ!範囲が広い!」
エルザは腕で顔を覆った。
「うぅ...風で吹き飛ばされそう...っ!!」
リーヴィアは必死に踏ん張った。
「これを吸い込むと混乱になる...ようね!」
ディアーヌは踏ん張りながらもすでにオートアナライズを発動させて、相手を分析していた。
花粉を放った後、コンヒューズプラントは花を持ち上げ、元の体勢に戻った。辺りの草花は吹き飛ばされ、大木が折れ曲がっていた。
「みんなっ...大丈夫?」
ディアーヌは皆の安否を確認した。
「大丈夫でーす!」
「私も...大丈夫です...、ドレイミーさんは...?」
全員辺りを見渡した。ドレイミーが前方に倒れていた。
「...ッ!ドレイミーさん!」
エルザが呼びかけた。
すると、ドレイミーはすっと立ち上がった。
「ドレイミーさん!大丈夫ですか!?」
「んっ...エルザ...さん?。」
「良かったぁ...ドレ...」
手を横にしたと思うとドレイミーは突然、くねくねと踊りだした。
「...?ドレイミーさん...?」
「あれ...?なんで私踊ってるんだろう...?」
ドレイミーは踊り続けた。
「これは...。」
状況を理解しようとしているエルザに向かってドレイミーは全力で走り出した。
「しまったっ!!今のドレイミーさんは混乱状態に...んっ...///」
ドレイミーはエルザの胸を優しく触った。
「か...か...体が勝手に...!」
ドレイミーは必死に抵抗したが身体の自由が効かなかった。
「ドレイミーさんっ!!気を確かに...あぁっ...///」
ドレイミーはリーヴィアの胸も優しく触った。
「ぐぅっ...!ダメっ!止まらないっ!」
「ドレイミー!今すぐ治っ...あはああぁぁん...///」
ドレイミーは最後にディアーヌの胸を優しく触った。
「お、お、黄金体験...!じゃなくて!早く混乱を解かないとっ!!このままじゃ埒が明かない...。」
「はぁ...はぁ...はっ!蔦攻撃が来る!皆さん!しゃがんで下さい!」
いち早くドレイミーから開放されたエルザがディアーヌ、リーヴィアに呼びかけた。
直前で全員攻撃をかわした。蔦は明後日の方向に伸びていき、パーティーの後方に位置する大木を折った。
「はぁ...はぁ...あれ?ドレイミーさんは...?」
ドレイミーを抱きながら攻撃を躱したエルザは、そばにいたドレイミーがいないことの違和感に気づいた。
「んっ...///あぁっ...///ドレイミー...貴方...あぁはん...///意外と肉食系なのね♡でもそういうの...私...すきよ♡」
ディアーヌはドレイミーに捕らわれてしまい、えっちな状況になっていた。
ドレイミーの意識は朦朧としていた。
「ディアーヌさん!」
「キュア!」
エルザが状態異常回復魔法を唱えようとするが、コンヒューズプラントがすかさず蔦を伸ばし、詠唱を邪魔した。
「くっ...隙がない!」
「私が囮になって、攻撃を惹きつけるよ!」
リーヴィアがそう言うと前へ出て相手の攻撃を誘った。
「エルザはドレイミーさんの混乱を治すことだけに集中していいよ!絶対にエルザに攻撃させない!」
リーヴィアは続けた。
「それになんだか最近、自分でも驚くぐらい動きが俊敏になってきたんだよね...私、意外と運動神経あるかもしれない!」
「...今はそれしか方法がないわよね...ごめんね、リーヴィア、お願い!」
「任せてっ!」
リーヴィアはコンヒューズプラントの注意を惹き、蔦を紙一重でかわす。
エルザはキュアを唱え、何とかドレイミーを回復させた。
「うぐぅ...ここは...?」
「やったわ!ドレイミーさんを回復させたわ!」
「やったね!エルザ!」
「...!まずいわ!リーヴィア!逃げて!」
「?」
コンヒューズプラントは花をこちらに向け、既に花粉放出の構えになっていた。
「そんな...もう再装填が完了したの...?」
瞬く間に花粉爆弾が放出され、辺りは吹き飛び、花粉の粉塵で満たされた。
「んっ...なにが...どうなったの...」
エルザが目を覚ますと、森は大量の花粉の粉塵の影響で黄色く見えていた。
辺りを見回すと倒れているドレイミーとディアーヌの姿を目視した。
「うっ...ドレイミーさん...ディアーヌさん...。」
エルザは立ち上がった。
すると自身の体の異変に気づく。
「...身体が...勝手な方に...。」
エルザは2人のいる方向とはまったくの逆方向へ歩き出した。
「うっ...花粉を吸い込み過ぎた...。混乱状態に陥っているわ...。やられたわ...。」
コンヒューズプラントはゆらゆらと蔦を操り、しっかりとエルザの方向へ狙いを定め、鞭のように放った。