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ひとりぼっちの世界、たった二人だけの星  作者: 鈴木りんご
プロローグ「ひとりぼっちの世界」
1/51

1話

☆ 


 私はいた。


 私は、いた。


 初めからずっと、私は……ここにいた。


 その頃の私も多くを感じてはいたのだろう。


 しかしそのことを私はほとんど覚えてはいない。


 はっきりと覚えている最初の記憶。


 私の……始まりの記憶。


 それは私の名が呼ばれ、それが私の名だと気がついたときのこと。


 私はそのとき生れ落ちたわけではない。そのときやっと、私は私という存在に気づいたのだ。様々な想いを抱き感じている私がいるということを感じたのだ。


 そうして私は、私が私であることを知覚した。


 いつだってどこにいたって、私は私だった。


 いつでも私は、私が過ごしているその時を「今」と指し示すことができた。


 昨日も私が昨日を過ごしていたときには「今」だった。明日だってそのときを過ごす、明日の私には「今」となる。


 私が過ごす日々はいつだって「今」だった。


 どこにいても私は、私がいるその場所を「ここ」と指し示すことができた。


 どんな名前を持った場所だって、そこに私が存在するときは「ここ」だった。今は遠いあの場所も、私がそこに辿り着いたそのときには「ここ」に至る。


 私がいる場所はどこだって「ここ」だった。


 そう……私は「今」、「ここ」にいる。私は常に「今」、「ここ」にいる。


 それはどれだけの時を経ても、どんなに遠くに行ったって変わらない事実。


 だから私が私を知覚したとき、無限に広がっていた意識は私へと「今」、「ここ」へと収束した。


 私は私になったのだ。


 そして同時に私は私以外の存在を意識した。私を取り巻く私以外の全て。私を中心に無限に広がっていく空間。


 そうして……私の世界は生まれた。

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