最終話 エピローグ
―最後に。
僕はこの小説を書きながら思った。「人生」のレールのポイントはいつ分岐するか、いつ合流するか分からない。ただそのルートはそれぞれの「運命」という名の列車によって決められるのだ。そしてこれからもずっと。
「運命」という名の列車の運転士は、キーマンとなってくれる他人がなる場合もあれば、自分自身になることもある。
やっぱり平坦な場所に敷かれたレールの上をただ単に走るのでは面白くない。山があったり谷があったり、分岐路があったり、落ち込んで暗い地下を走ったり、時にはローカル線のようにゆっくり走り、時には新幹線のように速く…そういうのがあるから「人生」というレールの上を「運命」という列車で走ることは面白い。
それと、僕は子供の時に、電車を好きになるきっかけで父親が見せてくれた電車の歌のビデオでこんな歌を覚えている。
「僕は電車、速い電車、だけど一人じゃ走れない〜。」
そう、人生という名のレールの上は一人では走れないのです。様々な人と出会い、様々な体験をし、こうして死という人生の終着駅に辿り着くのだ。僕は、この小説に出てきた仲間たちには本当に感謝したい。
「ありがとう。」
最後になるが、僕が小説の最後に付け加え、彼女の心を再び動かした文はこういうものであった。
「僕は京子という女性と結婚し、とても幸せな夫婦生活を送っていたが突然悲劇は起きた。妻の死後、やる気も生きる気も起きない時に君の夢を見た。きっと私思いの妻が、まだあなたは死んではいけない、もっと生きて欲しいとの願いを込め、一度手を離れてしまった君ともう一度で会わせるためにこの夢を見せたのだと思う。そう、妻を愛しているが本音を言うと僕はそれでも君を忘れていない。またこんな僕でも好きになってくれませんか?」