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陰と陽、普と腐

男の娘にショタコン、腐女子に腐女子。ろくなヒロイン候補居ないなこの小説。




あの後レイスに飯を奢ってもらい、めちゃくちゃ遠慮もせずに食った、顔が引きつっていたが、食欲は止まることはなかった。悪かったとは思ってる、後悔はしてない。キリカは緊張しながらパスタをモソモソ食べてた。可愛い。

今は食い終わりレイスが帰っていったところだ。

もう二度と奢りたくないっす…とか呟いていたが気の所為だろう。



「いやー、食った食った。腹がはちきれそうだ」


「ハンゾー、少しは遠慮しなよ…」


「奢るって言ったのは向こうだからな、それに腹が減っていたから仕方ない」


「まあ二日感何も食べずに寝てたからね…」


「そういえば...トイレとか誰がお世話してたんだ...?」


「だ、大丈夫だよ!あんまり見てないから!ボクよりかなり大きいとか思ってないから!」


「いや、お前かい!!別に男同士だから良いけどな…見られて困るものついてねえし…」



そんな、下世話な話をしながらこれからパーティで泊まろうとしてる宿に向かう。そういえばなんて名前の宿だっけ?



「う、うん。確か《銀猫亭》って宿だったよ、リンネさんもおすすめしてたし、多分大丈夫じゃないかな」



あのショタコンがおすすめか...何か怖いな本当に大丈夫か、変な宿じゃないだろうな。



「ちょっとややこしい人が店主だけど安いしご飯も朝と夜付いてるからって言われたよ?」



うーん、よっぽど変人じゃない限り大丈夫だろう。そんなこと気にしてたら冒険などできないからな。



「えっと、ここを右に曲がって...あ、あった!あれだ!」



あぁ、わかりやすいな。銀色の猫の看板が貼ってある。なんだ、普通の宿じゃないか。小綺麗だしこれなら全然泊まれるぞ。



「あのー!すいませーん!ここに一週間ほど宿泊したいんですけどー!」



リンネがちゃんと声を出せてる。成長したんだな。お兄ちゃんは嬉しいぞ。



『また謎のお兄ちゃん設定出てきましたね』



お、天使ちゃん、レイスに奢ってもらってたとき『いいなぁ…美味しそうだなぁ…』って言ってた天使ちゃんじゃないか!



『えっ!?またオンにしてましたか!?』



いや、勘だよ。カマをかけただけ。その反応を見るに本当に言ってたな。



『だ、騙しましたね!天使であるこの私を騙すとは最低です!地獄に落としますよ!?』



おお、中々辛辣だなぁ…確かに俺は何人もの人を斬り殺してきた、だから天使ちゃんが落とさなくても勝手に地獄に落ちるだろうよ。



『あっ...その、そんなこと考えて言ったわけじゃなくて...あの...』



なんて嘘ぴょ〜ん!地獄になんか誰が行くかっての!全力で世界の果てまで逃げてやるぜ!



『なっ、やっぱり最低です!絶対に地獄に落ちますからね!』



天使ちゃんに落とされるなら本望だよ!どうせなら、踏みつけながら軽蔑した目で落としてくれよ?



『変態さんですね…気持ち悪い...』



ありがとうございます!ありがとうございます!



「はいはい...聞こえてるっての...」



あ、来たようだ。女の人の声だな、店主はどうやら女性のようだ。この人がややこしいって言われてた人か。



「で?一週間だっけ?部屋は空いてるけど金はあるの?」



た、態度悪!ほんと、どんな女だコラァ!面見せろ!


.....美人じゃねーか!ぜひ夜のお相手を!



『手のひら返し早いし、ガラ悪いし変態ですねハンゾーさん』



大丈夫だ、俺は全然考えてること外に出してないから。俺はクールなキャラで通してるからな。



『クール(笑)』



おう、笑うのやめーや。別に面白いとこないだろ!いい加減にしろ!



「あっ、はいちゃんとお金はあります」


「ふー、仕事増えるのやだなんだけどなぁ…けど金は欲しいし…」



駄目人間だ!けど赤髪でストレートな長髪、目の下の泣きボクロ。そして豊満な胸。けだるげな表情が色気を演出してる。顔は最高だな、顔は。あと身体も。だけどあの駄目人間ムーブが全てを台無しにしてる。



「じゃあ一番奥の角部屋ね、変なことはすんなよ、あと部屋汚すな」


「し、しないです!男同士ですから!」


「詳しく聞こうか」



おっ、流れ変わったな。めっちゃ目をギラギラさせながらさっきの気だるさなど微塵も感じさせない動きで身を乗り出してきた。おい、この感じ、まさかこいつ...貴腐人だ!天使ちゃんと同族の人だ!



『あそこまで堂々とは私もできないですよ〜?』



うるせえ、堂々としようがしまいが、腐ってる妄想を繰り広げてるのは変わらないんだ。認めろ。あと俺で妄想はするな。それ以外なら許してやるから。



「いけ好かないカップルが来たと思ったらまさかの展開。で、どういうご関係で?」



「た、ただのパーティメンバーです!」



「え〜ほんとに〜?ほんとに〜〜?」



「し、しつこいですよ!」



「少なくとも君はそれ以上...もがもがっ!」



「わー!!わー!!やめてください!やめてください!」



キリカが店主を押さえつけている、力強さを感じるな、これを離したらボクは死ぬ!って顔だ。地獄絵図だな。



「ぶはぁっ!言わない!言わないから!ちょっ、離して、死ぬ!」



「ふぅー!ふぅー!言ったら許しませんからね!」



「わかったわかった、もう答えを言ってるようなもんだけど。あと、色々私の方で勝手に妄想するから好きなように部屋使っていいよ。汚してもオッケーだから」



「ぶっ飛ばすぞ」



おっと、思わず本音が出てしまった。だが、キリカも頷いてるし、この反応で間違いないだろう。



「え、まさか、そんな」



あ、言いすぎたか?謝った方がいいのかこれ、俺悪くないよな?



「ドS鬼畜キャラキター!まさか、まさかベットであんなことやこんなことをこの子に言わせてるの!?どうなの!答えて!」



ヒエッ、魔王より怖い。凄い至近距離で目をギラギラさせながら言ってくるぞこいつ!頭おかしいんじゃねえの!?あ、睫毛長い。



「俺は聞き分けの悪い奴は嫌いなんだけどなぁ?」


「だ、だってこんなこと、出来ないよぉ」


「やれたらご褒美をやる、これなら出来るだろ?」


「ご、御褒美?」


「あぁ、甘やかしてどろどろに蕩けさせてやるよ...」


「ぁぁあ...やります…ご主人様...だからご褒美を...」


「あぁ、だから舐めろ、俺の足を」



『フゥーーーーーー!!やりましたーー!!ハッピーエンド!〜完〜』



天使ちゃんは頼むから座ってて。

信じられるか?ここまで全部妄想を張本人に見せつけてきてんだぜ?演劇付きで。精神がガリガリ削られていく音がする。



「ちょ、ちょっと良いかも...」



ん?何か言ったかキリカ。俺は全然聞こえなかったけどな!全然聞こえなかったけど、二部屋にしないか!身の危険を感じるんですけど!



「あぁ、最高だ...ここまでリビドーを刺激されたのは初めてかもしれない...部屋に戻って話を練らないと」



フラフラと奥の方に消えていく店主。待て、聞き捨てならんことが聞こえた。俺達が小説にまとめられるって聞こえた。おい、嘘だろ。



この後少しして俺達を題材にしたであろう

『ドS美少年とドMオトコの娘』という本が本屋に並び、伝説的人気を博すことになるのだが、それはまた別の話。







「おーい、ケンマさーん」


居た、我らが勇者パーティのリーダー、勇者ケンマだ。相変わらずイケメンだけど何故か異性として意識したことは無い不思議な人っすねー。



「お、レイスじゃないか。どうした?」


「いや、ちょっと面白い話があって。聞きたいっすか?」


「面白い話?仕事か?」


「違うっす、冒険者に面白い子が入ってきたんすよ。どうせなら皆にも聞いて欲しいんすけどね」


「なら、もうすぐ帰ってくるから待っておこうか。」


「ただいまー!」


「...ただいま」


「うっす、帰ったぜー」


おっ、帰ってきたようだ。多分皆気に入ると思うんすけどね〜。ハンゾーくんのこと。


「おかえり、マイ、キョウカ、イリキ」


「おーっす、今日の晩飯は猪だぜ!めちゃくちゃでけーのが出たから倒して他の奴らにも分けてきた!」


「ビックボアよ、あまりこの時期にいない筈なんだけど」


「すっごいデカかったよー!」


「あ、私今日は晩ご飯いらないっす」


「何、彼氏でも出来た?」


「キョウカさん、分かってて言ってるっすよね…」


「確認しただけよ、そんな怖い顔しない」



ふん!私は一生先輩一筋っす!ていうかここに居る人は全員そうっすから!イリキさんにしか恋人が居ないっすからね。ケンマさんも何故か恋人を作らないっすからね、何でっすかね?



「まあ取り敢えずそこら辺の話も晩御飯のときにしよう」



そう言って食器や飲み物を浮かせるケンマさん、相変わらず器用なことするっすねー。私はクセの強い魔法しか使えないっすから羨ましいっす。



「じゃあ焼いていくわね」



今日はキョウカさんが調理担当か、楽しみっす。いつもオシャレで美味しい料理を作ってくれるっすからね。



「ふんふーん、楽しみー♪」



マイちゃんはいつも楽しそうにしてて癒されるっすねー。五年経って容姿がさらに磨きがかかってる感じがするっすね。




「はい、ビックボアのローストとハンバーグよ。果物で作ったソースがあるからそれをかけてね」



は、早いっすね、作るの。いつミンチにしてハンバーグにしたんすか。



「パンは朝作ったやつがあるから、それと一緒に食べましょ」



美味しそうっすね、私はもうお腹いっぱいっすけど。



「じゃあ」



「「「「いただきます」」」」




「レイス、面白い話って何?」


「あぁ、それなんすけどね」


「面白い話?」


「あぁ、レイスが面白い話をしてくれるらしい」


「ほーん?それは期待だな」


「ハードル上げないでほしいっす。それでですね、今日も冒険者ギルドに救援しにいってたんすけどね」


「そういえば行ってたな」


「はい、それでワーウルフの群れが現れて一人の男の子が仲間の子を逃がす為に取り残されてたんすよ」


「ほう、男気があるやつじゃねえか。最近じゃ珍しい」


「その子を助けに行ってたんすけど、行った時にはワーウルフのボスを倒して、倒れてたんすよね」


「へぇ、中々有望な子だね。けど、ワーウルフのボスって巣から出てこないんじゃなかったっけ?」


「まあその話も引っかかるんすけど、その子がですね、その後二日ほど意識が無くなりまして」


「ええ!?大丈夫だったの?」


「今日行ったらピンピンしてたっすよ」


「良かったわね」


「えぇ、そこで私はイタズラでうちのパーティーに入らないっすか?って聞いたんすよ、将来有望そうなんで」


「駄目だぞ、そんなことしてからかったら」


「誰にでもは聞かないっすよ、というか初めて私も言いましたし」


「それで?なんて言ったんだそいつ」


「『俺は俺のこと仲間と思ってねえやつと冒険する気はねえよ、二度と勧誘すんな』って振られちゃったっすね」


「へえ、イイなその子」


「そうっすよねー!それで、あともうひとつ気になるところがあって」


「なに?」


「先輩にそっくりなんすよ」


静まり返った、あんなに賑やかだった食卓が、まるでお通夜のように。


「レイス...あいつはもう死んだんだ、他人にあいつの姿を投影したりするのは…」


「別にそんなんじゃないっすよ。ただ、単純に似てただけっす」


「それにしたって不快だわ、あの人の死をやっと乗り越えていこうってときにそんなこと」


「乗り越えてって、それってつまり苦しいから忘れたいだけじゃないっすか?」



あぁ、思わずキツい言い方をしてしまった。私は少し盛り上がればいいかと思っただけだったのに。



「何ですって…!」


「キョウカさんは狡いっすよ、いつもかっこつけてる振りして逃げてるだけっす。そんな人に先輩のことどうこう言われる謂れはないっすよ」


「おい、よせって」


「もう、やめようよぉ...」


「ふざけんじゃないわよ!私だってアンタみたいにのほほんと出来たならどんだけ楽だったか!けど、どんだけ忘れたくても最後のあの人の顔が忘れられない!焼き付いて、消えないのよ!」


「そんなの...私も一緒っすよ!!いつまで経っても私は変わってない!いつもいつも先輩の背中を探してる、気を紛らわせようと困ってる人をたすけても、一番大切な人を、私は助けられなかったんだから!」



「やめろ!!!!」



ドンッ!と机を叩く音が聞こえ、目が覚めた。私は何を言ってるんだろう…



「二人とも、言いたいことはわかる。けど、こんなことしててもあいつは...カムイは喜ばない、今の状況で仲間がもう一人消えたなんて冗談じゃ済まない」


「ごめんなさいっす…キョウカさんも、ごめんなさい...」


「別に、大丈夫よ私も言い過ぎたわ…」


「今日はもう寝よう、皆疲れてるだろう」


そう言ってケンマさんは自分の部屋に戻るよう皆に促した。その後、眠気に耐えられずに私は寝てしまった。




「もう、勇者パーティは限界かもしれない、皆カムイの居なくなった心の穴をどうしても埋められずにいる。責任を感じたヤヨイも行方不明になってしまった…俺がリーダーで本当に良かったんだろうか…教えてくれ...カムイ…」





再開の日はまだ、遠い。


勇者パーティの皆は同棲してます、イリキさんは恋人の家に泊まったりしてますけど。

あと、名前が出てきましたね。



黒髪のイケメン→ケンマ


ロリ系妹→マヤ


金髪の乳でか女→ヤヨイ


赤髪筋肉達磨→イリキ


クールビューティ→キョウカ


そして、主人公の本名も判明しましたね。


ハンゾー→カムイ



はい、しりとりですね。

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