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大森林の魔法使い  作者: おにくさま
9/100

九話

いないいない!

レーダの街にあいつが使用人だなんて信じてる奴なんて

大体、使用人が使用人連れて歩くか?

最初の頃なんか見上げる様なゴーレム連れて出歩いてたんだぞ?

木人や鉄人なんかあれ見ちまうとオモチャだよ

王都にストーンゴーレムっていうバケモノの軍隊が居るらしいけどその手合いだぜ、あれ

街の大店がせっせと集めた流れ騎士がなんかの拍子に喧嘩売ったけど

本当に相手にならないってやつだったぜ?

剣は何回か叩きつけたら折れたし

騎士は子供みたいに転がされて


それとスズの世話してるシジュウ

あの会うたびに双子だとか六子だとか言ってるおばさん

アレも普通じゃ無い

スズのやつは1人で出歩いてるつもりらしいけど

いつも物陰にフード被った背の高いオンナが付いて回ってるしよ


まあアレだ

シジュウ達は特別な教育を受けた貴族のなんかだよ

賢人とか騎士とか隠密とか

大店も3日と開けずにシジュウの所に通ってなんかやってるしよ

まあウチもだけどな

その点はシジュウ様様だ

今じゃ4人の大工と3人の見習い雇う親方だからな、ウチのおっさん



まあ聞きなよ

これは私の見立てだ

なんせあいつと1番の付き合いの私の見立てさ

スズは王族かその辺りが身分のよろしく無い女に産ませた子供だな

だから自分のこと使用人って言うんだよ

それで人目を避けてどっか田舎の小さな屋敷かなんかで暮らしてたのよ

だから変な事知ってるかと思えば何言ってんだか分かんなかったりすんだよ

大体、海のレンクルに住んでて山のレンクルで魚を売って暮らしてたって

もうちょっと考えようぜって話だろ?

まあ閉じ込められてた屋敷でそんな妄想でもしてたんだろう


まあそれでお許しが出たんだろうな

スズのやつはここに来たばっかりの頃はひどく痩せてたから病気患ってたかも

多分それもあって呼び出されたんだろうな

スズの言う事を私なりに読み解くとだ

あいつは突然やって来た迎えの馬車に連れ込まれて

窓も閉め切ったままあのお屋敷まで有無を言わさず連れてこられた

そこであいつが《あるじさま》って呼んでる奴に引き合わされたって流れだ

貴族の類が外に作った子供とかにご主人様って呼ばせるアレだよ


後は聞かなくても分かるだろ?

買い物は金貨

服は縫い目が何処にあるのか分かんねえし

毎日違うもんを着てる

髪飾りや宝石も曜日で変わるんだぜ?領主のバカ息子達でも出来ねぇ贅沢だよ

それに白磁を木皿みたいに使ってるし

フウの所の妹がそれを割っても安物だって言って怒りもしない

飲み物は一々賢人の術で冷やしてるし

あいつの言う《お勤め》だって飼い犬の世話と皿洗いだけだぜ?

後はシジュウに読み書き習って、あいつの主人にお茶出して終わりだって言いやがった

それを5日やったら小遣いもらって次の日は休みと来たもんだ


小遣いの額?

知ってるけど言えねえよ

言ったらシジュウの奴が飛んで来て私の舌引っこ抜くに決まってるからよ


シジュウの顔?



知ってるよ?

普通に見たし

スズと沢遊びに行った時について来たんだよ

いや驚いたぜ?

スズは喜んでたけどな

なんか木こりを十倍洒落た感じの格好して

いつもの布で顔を隠してなくてさ

良いのか?って聞いたら下衆に見られるのが嫌なだけだっていってたぜ

私たちは良いんだと

スズの遊び相手だから我慢してやるって言われた

割と沢遊びを楽しんでたことの方が驚いたけどね



館の主人?

いや、見たことないね

スズは優しい奴だって言いながら頬染めて

その度にフウがヤキモキしてるからな

そりゃとんでもない金持ちだろ

わざわざ屋敷ぶっ壊して

そこに小さめの館立てて

夜にゃ代官なら3日で破産するくらいの量の光石で敷地全部を一晩中てらして

何してんだかしらねぇけどガラスの建物おっ立てたからな

スズが着てたスカートの柄も見たことないし

全部の貴族の柄知ってるわけでもないしスズのために新しく作った柄かもしれないけどよ

スズの上着に縫い付けられていた金糸の紋章も王家とは違ったな

多分スズを一代貴族にでもしてやるんだろ

それにあの数のゴーレム

いくら持ってんだよな



ゴーレムもヤバいけどシジュウもだぜ

シジュウに手を出したスリは全員返り討ち

ヤクザ者は絡む前に睨まれて逃げ出す

市場でウロついてるチンピラに聞いたんだよ、あの女の何がそんなに怖いんだって

チンピラが言うには、あいつは遠くからチンピラを見て指差すんだとよ。そんでその指の指す辺りがチクっとして血が滲んでくるんだと、そんでシジュウが唇を動かす、そしたら聞こえてくるんだと《次は貫く》って

まあ貫かれた奴は喋れねえから本当にやるのかは知らねえけど

あの屋敷に忍び込んで戻った来た盗人なんか1人もいないからな


いや、いたな、盗人じゃないけど

フウの妹が扉開いた隙に入り込んで

結局スズの取りなしで許されて

結局みんなして庭を見せてもらっただけなんだけどな

沢遊びの時なんか魚取りやったらあいつがぶっちぎりの1番さ

まあ水の上歩くのは卑怯だとは思ったけど

あいつ賢人だな、アレは

獲った魚?食ったよ?

1番でかい魚捕まえたのはスズだったけどシジュウの動きが怪しかったぜ?


他に?

うーん

ああ、つい最近フウの妹が熱出して死にかけてな

医者ももう祈るしかないって

まあ彼奴ら何時もソレだけどな

フウが夜中にお屋敷まで行ってシジュウに泣きついたんだけど、そんな事知らねぇって追い返されちまったんだと

その後も門の前で妹を助けてくれって叫んでたら今度はスズが来て話しを聞いてくれて、シジュウに治すように言ってくれたらしいんだけど、あの女、じゃあ連れてこいとか抜かすんだと

とても無理だから来てくれって泣きついたら、行きたくないからコレを飲ませとけって薬を出して来て

それ持って帰って飲ませたら次の日の朝にはケロッとして朝飯食ってたんだと

そんなもん持ってんならとっとと出せよなぁ?


他に?

んー

ああ、スズな、あいつ信じられないくらい目がいいんだよ

あの木の下のあの花のあたりで休もうとか言うんだよ

コッチはどの木だよって距離で

んでその木まで行くと有るんだよ

花が

笑えるぜ?


それと運動神経も割といい方だな

彼奴が乗ってる銀輪ってのをしってるか?

スズがスイスイ乗ってるからちょっと借りて乗って見たが、ありゃなかなか難しいんだぜ

フラフラしてとても乗れたもんじゃねぇ

あいつはそれを曲芸みたいに乗りこなすし

しかもチョット練習したら直ぐに乗れたってよ

沢遊びの時も石の上軽業みたいに飛んでたからな


あとはあんたも知ってるだろ?

嘘つきおばさん

スズの親だか叔母だかって言って遊び歩いてる奴

あいつさ、本当にスズの身内らしいぜ

スズから聞いたから間違いねえよ

スズにたかって暮らしてたのが、あいつが居なくなって困って追いかけて来たってトコだな

スズは落とし胤から貴族になっちまったからよ

追い返すシジュウが渡した手切金で遊び歩いてるってのが真相さ



ところで今度はコッチが聞きたいんだけどよ


あんたどこの御家中?







白のお屋敷のお嬢さんかい?

たまに来て買い食いしてるね

いい子だよ

ああ、1人で来るけど

それは気づかないフリをしてやらないと御付きの人が可哀想さね


うちの商売かい?

良くなったよ

救済院とそこに出入りする人らの分が毎日売れるからね

救済院にはエルフの猟師を紹介したんだけど

ダメだね彼奴ら

気が向いた時しか働きゃしないからね

結局私らが全部やってるよ


救済院の事かい?

白のお屋敷から沢山寄付を受けてね

今じゃ御聖堂と見間違うよ

子供達はツギハギのない服着て

朝晩には尼様が子供達に教えを説いて聞かせてるって

それと街の大店とそれに連なる店が一斉に寄付を始めてね

白のお屋敷の人の勧めらしいけど

彼奴らのやる事だからね

それに彼奴ら一斉に領主様への心付けをやめたって言う話さ

代官が困ってたよ、このままじゃ税もどうなるかって

税と言えば、王都じゃこの前の天使降臨騒ぎのせいで崩れた城を直すための税の取立てだってねぇ

良かったよレーダが王領じゃなくて


そうだ大店だったね

沢山木人と流れ騎士を集めて

街じゃ領主様への謀反の企てじゃないかって専らの噂だよ


白のお屋敷は王様のお墨付きでレーダで我が物顔だしね

何をするにも代官に届けもしないし

領主様への挨拶もまだどころか行く気もないって話さ

代官なんか王都の使者に文句があるんならお前胴の上に違う首を置くって脅されたって言うし

領主様の末のご子息は白のお屋敷に相当頭に来てるってもっぱらの噂だよ

それに国外れの領主が王様に突然攻め滅ぼされたって言うじゃないか

あんな騒ぎになっちまうのかね

とにかく早い話が街の真ん中に住んでる連中はみんな大店と一緒に白のお屋敷へ鞍替えしたって事だね

御聖堂は我関せずで代官は領主様と街の間で板挟み


白のお屋敷の主人?

見た事ないね

噂じゃ王族の類いらしいよ?

紋章?

いや、見てないね

王族にしても隣国の方かもしれないしね

お供?

外に出て来るのはお嬢ちゃんの御付き位だね

外から見る分にゃ10人以上は居るみたいだよ

全部女みたいだね

その代わりゴーレムがウジャウジャ居るよ

うーん、お嬢ちゃんに聞く限りじゃ何十体も居るみたいだねだけど流石にそれほどじゃないんじゃないかね

お嬢ちゃんの御付きだってありゃ只者じゃないね

ただ、あの人らの事を悪くは言えないよ

娘の命の恩人だからね



だからもうこれで話は終わりだよ








スズですか?

友達…です


始めてね見たのは、白のお屋敷の御触れが出た日です

凄いものが見れるって騒ぎだったんで妹と一緒に見物に行ったんです

はい、ゴーレムが壁を壊しては新しい物に取り替えていました

それは凄かったですよ


その時、チラッと

真っ白な服を着て

髪は今より長かったです

あと、脚がチラッと…

何でもないです…


直ぐにゴーレムが見物人の前に立ちはだかって隠してしまったので、その時はそれだけでした

妹はお姫様かなって言ってました


え?もう良いんですか?







はい、それはそれは徳の高いお方です

私のような下賎の身に機会を与えてくださいましたから

救済院で暮らす者は皆感謝以上の気持ちを抱いています


私も尼様や皆と同じく白のお屋敷の主人様へ一度感謝の言葉を捧げたいのですが、お屋敷の方がその必要は無いと仰られ

それにお屋敷のお声掛けで多くの皆様が私共に施しを下さるようになりました

大工の皆さんのおかげで建物は見違えりましたし、子供の中から何人かが見習いとして働かせてももらえています

食べ物を子供たちが奪い合うことも少なくなりました

作っていただいた釜で焼いたパンを売ることも始めました

もちろん貧民街の真ん中に有りますからそれなりの値段ですし御恩返しの意味も有りますから必ずお金を頂くわけでも有りません

外に働きに行かなくても良くなり、その分裏の畑も随分と広く手入れも行き届きました

今年の収穫は今までとは比べものにならないでしょう

いつかは私たちが食べてもまだ売るほど実る畑にしてみせます


ええ、それが白のお屋敷の方との約束なのですから

もし叶うなら私は縫物を仕事にしたい

救済院は人を救う為の

道を示す場所だと

私がそれを成し遂げたい


貴族様だけが人ではないのです








ああ、確かに店主様は人を集めてるよ

騎士が30人ほど

木人も同じくらい集めたね

それに鉄人も


金かい?

まるで惜しくないみたいに溜め込んでたぶん使ってるぜ


それとあの噂だがね

あれは本当だ

真金を手に入れたのさ

白のお屋敷からね


分かるだろ?

真金だ

権力の証さ


考えてみな

もし店主が真金を戴いて、私こそが領主に相応しいなんて声高に主張したら

分かるだろ?

それが本物なら王様も認めるしかないし領主の所の騎士達もどうして良いか分からなくなっちまう

新しい大貴族様の誕生だ



そうなったらあんたはどうするね?


今の主人と心中するかい?










よう、飯たかりに来たぜ

あ、チョット待てよ

スズ呼んで貰う前にあんたに話がある


領主があんたらの事本格的にかぎ回り始めたぜ

安心しな、言うなって言われた事は喋ってねぇよ

あんたらウチの金蔓だからな

あんたが本当は魔法使いのゴーレム使いだなんて、彼奴らには言わねぇさ

あんたは双子だか六子だか言ってっけど、本当は1人が自分そっくりの人形をいくつも動かしてるなんて事を考えたことも無いね

沢遊びの時にフウの妹にせがまれて空を飛んでみせたことも川の水を切り取ってみせたことも

手をかざしただけで何も無いところに火を起こしたことも

何一つ喋っちゃいない


あ、その火で魚焼いて食った事は喋ったっけ

まあ良いや

あんたがその気になりゃ空飛んでぶった切って焼き殺せる事なんか私にゃどうでも良いことさ

フウの妹の恩人だし

ウチのおっさん元請みたいなもんだしな

私にとっちゃあんたはスズの所の偏屈な行き遅れだよ


なあ

コッチは腹割ったんだ

だからさ


この街で揉め事はやめてくれ









美味かったかい?

じゃあまた来ておくれ

そうだ、ウチの坊主がお嬢ちゃんは何時も俺のいない時に来るって嘆いてたよ

いや本当さ

また遊んでやっておくれ

気をつけて帰りな




さて

あんた、ちょっとコッチへ良いかい

あんただよ

全くそんな変装で良く御付きが勤まるね

どうせ他にも誰か見守ってんだろ?

ちょっと話があってね


領主の末のバカ息子があんたの所を嗅ぎまわってるよ

この街を自分のもんだって勘違いしてるからね、あのバカ


私らには私らの繋がりがある

街の女がその気になりゃ私達から隠せるモノなんか無いさ

バカが痛い目みようが大店が取って代わろうが私らには関係ないからね


あんたにゃ娘の恩がある

だからあんたの事はあのバカには歪んでしか届かないようにしてもらった

あんたらの事は調べれば調べるほどあんたから遠退く


あとはあんたの方で何とかしておくれ


それと次からお嬢ちゃんに銅貨を持たせてくれないかね










領主の御子息は今日明日にも事を起こします

あまり我慢強い方ではありませんからな


救済院の方は大丈夫でしょう

あそこに手を出すのは御屋敷と私共を懲らしめた後でなどと考えている事でしょうから

真金様、もしよろしければお手伝いさせていただきます


ええ、そうでしょう、要らぬ事でした

派手に歓待されると良いでしょう


そして私はこの街を

あなた様方は安らかな日々を


それではまた



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