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大森林の魔法使い  作者: おにくさま
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遡って三十九話(う)

第二次聖堂戦争

聖堂と諸国は異教徒にあちらこちらを譲ってまで兵を集め、王国に攻め寄せて来た


全ての国境

全ての街道

田舎道の一本まで埋め尽くし


森を焼き払い

ゴブリンを追い立て

しかも聖堂諸国は決戦を望まず

そこら中で小さい戦さを幾百も起こす

大勢で見れば国力に勝る聖堂諸国がコレを繰り返す限りこちらは火消しに走り回るしかない


などと言えばさも苦戦したかの様に聞こえるだろう

いや勿論苦戦はした


まず白姫様のお力をお借りできないのだ

それに何者かに聖地大青山山頂を焼き払われた聖堂と諸国は怒りに燃えていた


だが奴らはやり過ぎた

王国の森に火をかければ誰が怒り狂うか

王国に向けゴブリンを追い立てればどんな事になるか


エルフは五百年ぶりに軍馬を仕立て聖堂との戦を宣言し

全てのエルフに弓を取れと号令を発した

弓の腕だけで言えばエルフは我らの三倍の距離から十倍の精度で射ってくる

その上、奴らは白姫様から魔法の弓を頂いている

聖堂の兵達は見ることも出来ぬ様な距離から百発百中の弓を浴び続ける羽目になったのだ


そして私は遺憾ながら怒りに燃えるゴブリンを率いる事になった

彼らはやられたらやり返す

日が沈めばゴブリンの天下だ

備えていたところでどうにかできるものでもない

白姫様の御屋敷の様に夜も昼ならばまだしも、松明や限られた光石で闇夜を全て照らせる訳もない

闇夜にありとあらゆる物陰からゴブリン達が攻め立て

朝日とともに引き上げる

コレを毎晩続けてやった


勿論朝日とともに敵は騎馬を並べて引くゴブリンを追う

だが私の二つ名はゴブリン侯だけでは無い

引くゴブリンと入れ替わる様に獣奇兵が襲いかかるのだ


ウジイエに選ばせた暴れ者百

大人しい者百

戦に興味がない者百の計三百から成る獣奇兵

これらに敵と味方の見分けを覚えさせ

三人一組で暴れ回らせた


訓練された三人の獣奇兵は十人の騎士に匹敵する


ゴブリンが攻め

騎士が押し返し

獣人がそれを追い散らし

兵が獣人達を押し留める


もはや戦場は我慢比べの様相を呈し

私も虎の子の騎士団を差しむける機会を逸してしまっていた


王家はそのタイミングを待っていたかの様に、日々すり減る敵も味方も無視し

あの恐ろしいストーンゴーレム軍団を敵地奥深くまで殴り込ませたのだ


最初の標的にされたのは聖堂側ソリディモの城だった

王のストーンゴーレムは全てを無視して敵地を駆け抜け

その巨体から繰り出す暴力でソリディモの城を破壊し尽くしたのだ


賢人も騎士も兵も率いぬゴーレムだけの軍団

もはや訳がわからん


王家ご自慢の新しいストーンゴーレムは今の所分かっているだけで四十二体

その半数ほどでソリディモの城に殴り込み、そこを更地にしてしまったのだ


まるで白姫様の御屋敷のゴーレムではないか

いやアレに比べればまだストーンゴーレムは可愛いのだろうが


そして戦線には何の意味もなく城を破壊されたソリディモの兵達は浮き足立ち足並みが乱れた

その後も王のストーンゴーレムは休む事なく次また次と城を破壊して周り

戦場ではなく国を荒らしてまわられる恐怖に聖堂諸国は耐えられなくなっていったのだ


城を崩され

城壁を街を倒され

街を踏みにじられ

それを無人のゴーレムが次々と


聖堂諸国は国境から次々と兵を引き、街や道の護りに回り

荒れ果てた城や街を見ては震え

もう辞めてくれと和睦を申し出た


それでも聖堂は聖戦を声高に叫び

破門をチラつかせ諸国を煽ったのだが

ハンディ王が次のストーンゴーレムの目標は全てを通り越し大聖堂かも知れぬと言って回るのを聞き、手のひらを返し、諸侯は聖敵供に存分にその力を示したと言って兵を引かせ、戦さを収めた


いくつかの聖堂諸侯はそれを機に聖堂を棄て王国に降り

王国はその版図をまた一歩広げるに至った


地図でみればまだまだ聖堂諸国は王国の倍ほどの版図を持つが

そこから森を引き、ゴブリンなどの鬼達の版図を引けば王国より幾らか大きいだけになる


全く笑ってしまう

三公国との戦さから十年も経たぬうちにコレだ

国のあちこちで王子の代に王国は帝国になっていると皆口にするが

王があと二十年健在だとすれば

いや?二十年も必要か?


私の事をすっかり忘れたレーレン嬢のお話では戦さ場に立つストーンゴーレムの他に五体の新しいストーンゴーレムが王城に控えているらしい

全部で四十七体

貴族達に下げ渡した古いストーンゴーレムが九十九

もとより貴族達が抱えていたストーンゴーレムが百八

つまり王は四十七体で二百七体のストーンゴーレムを


いや、違うな

王城にいる五体だけで二百七体のストーンゴーレムに打ち勝てるのだ


しかし今はそんな事はどうでも良い

なんせ我がヒバナ領に暮らすゴブリンがついに十万を超えたのだ

人間も増えてはいるのだが

今や王国にどれ位のゴブリンが住んでいるのか皆目検討もつかないが、そのほとんどが白の街かヒバナ領への移住を希望している

出来ればその全てを私が受け入れたいのだが


この度の戦さで幾ばくかの土地を恩賞として頂いたがこれでは足りない

もちろん世間で言われている様に私がゴブリンに入れ込んでいるわけではないし

ましてやおばばが私の育ての親などと言うこともない


私は私のために

私の夢のためにゴブリンを獣人を受け入れているのだ

その為なら王国だって滅ぼしてやるさ


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