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大森林の魔法使い  作者: おにくさま
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三十七話

勝利の丘に獣人を見物に行ったスズ姫様はその光景を見て渡り鳥みたいと言って笑う


だがヒバナ侯は笑ってはいられない様だ

もう首が回らないと周りに漏らしているらしい


私を脅す様にして滅んだ国の土地を手に入れ、そこに幾度も調査団を送っているそうだが金銀財宝は出て来ても目当ての銅や鉱山は中々見つからぬらしい

どうやら魔法使い様に大きな借りを作ってしまったらしいが


さてさて

私は知らんよ?

まあ戦さ場を作ってやっても良いが

あまりあの小僧に多くの土地や鉱山を与えたくも無い

しかし破産されて破れかぶれになられても困る

嗚呼、優しき王として幾ばくかの銅を手配してやるか

今あの小僧に干上がられては困るからな





まず六万もの獣人を暮らさせる家がない

獣人は我らの様な家には住まないとはいえ木の下で丸まっているわけでは無い

屋根と壁は必要だ

ウジイエが住まう屋敷も


食い物はワンワン殿から後払いでカリカリと言う獣人の好物を分けていただいたからしばらくは良いが

第一獣人に仕事が出来るのか?


そんな悩み苦しむ私に白姫様からお呼出がかかった

取り立ての催促だろうか





収穫の季節は間も無く終わり

木枯らしが雪を呼ぶ


私は茹でた豆を食べながらシミン君を待った

先日主人様よりこっそりワンワンの尻拭いをしてやってくれと頼まれたのだ

主人様の願いとあれば断るはずもない

私はパクパクとサヤから取り出した豆を食べながらリンが連れて来たシミン君を座らせた


「必ず御用意致します!どうかもう暫くのお待ちを!」


とが閉まるなりシミン君は床に這いつくばり声を枯らしてどうかどうかと泣きついて来た

何だか知らないが面倒くさい


“ワンワンの事でしたら私が黙らせます”


シミン君はありがとうございますと床が擦り切れてしまう程頭を擦り付け

それがまた面倒くさい


“その上で話があります、おかけください”私はシミン君を座らせ豆を勧めた


「豆ですか、炒り豆をよくおやつ代わりに食べていましたよ私も」


シミン君は豆を器用につまみ口に運ぶと旨いなぁと驚いていた


“私はスープに浮かぶ豆の数を数えて指より多いと喜んでいた事を思い出します”


騎士の家に産まれたシミン君にはこんな事言われても分からないだろうなと思い

彼の顔を見た


「これは失言でした」


シミン君はあの村のことをどこまで信じてくれているのだろう

上辺だけ謝っているのだろうか

まあそれは良い


“私の主人様は大変お優しい方です、私は主人様より貴方を内密に助けてやれと言付かりました”


私の言葉を聞くシミン君は身を正しこれは慈悲深いと畏まった


“まず【難民用テント】と言うものを欲しいだけ貸し与えます、頑丈な布でできた家だと聞きました”


シミン君はこれはありがたいと喜びコレで雪の季節をこせるとホッとしていた


“次に今食べているその豆を雪解けの後に植えなさい、土地という土地を耕し、そして季節が黄金を迎え収穫の時が来たならば当屋敷に運びなさい、持ち込んだ豆の重さの半分の量のカリカリかフニフニと交換しましょう。だだし交換比率は毎年此方が決めます”


私は主人様様より預かった【品種改良】とか言うこの地でも実ることのできる様に手を加えられた窓の外に積まれた豆の袋の山を指差した


驚いたことに実はこの豆がカリカリやフニフニの正体なのだそうだ

まあそれはシミン君には内緒だけど


気がつくとシミン君は怖い顔で私を見つめ是非やらせていただきますがと言って下を向き言葉を続けた


「どうか今からの言葉は戯言とお流しください、その上で申し上げますが姫様は金の流れを白札で握り嗜好品の類を独占し、その上私達に農奴をせよと仰られる。笑顔の王も恐ろしいが表情一つ変えず奴隷になれと仰られる貴女はその何倍も恐ろしい」


その物言いに少し腹が立ち

言い返す


“あなた方は作り私達が買い上げる、それのどこが奴隷なのです”


シミン君は冷めた様に笑い

なんとお優しいと言って言葉を続けた


「ただこれだけを作れ、他の物はいらん。これこそ農奴仕事です、百姓はあらゆる作物を育てるものです、私は開拓地でそれを見ました」


“あなた達は開拓民ではないでしょう”


「ええ、己の土地を他人のために耕す事を開拓とは言いません」


“主人様の申し出が不満なのですか、ならばここまでです”


「いえ、これは間違いなく御慈悲です、ただ今の私にはそれに飛びつくしかないのです、ですからどうぞ私の言葉は愚か者の泣き言と流してください」


“主人様は寛大な方です、お許しくださるでしょう”


私はそれでは私からひとつあなたに問いたいとシミン君を見据えた





耳を疑うとはこの事だ

私は三度白姫様に問い返し

どう返答すべきなのだと頭を抱えた

お世辞を述べれば良いという感じではない


白姫様はこう問われたのだ


自分は美しいか?

可愛らしいか?

女としてどうだろうか?

身分ではなく一人の女として魅力的かと


なんなのだ?これは

密かな想いを告げられた雰囲気出ないことは確かなのだが


美しいかと問われれば勿論お美しい

その磨かれた様な肌、なびく様な御髪

どれを取っても文句がない


可愛らしいかとと問われれば勿論これも大変可愛らしい

不思議な事を申されたかと思えば少女の様な事をされる姿は大変可愛らしい


女としてと聞かれれば、もし貴方が町娘でも目を引いただろう


女としての魅力は分からない

それは人それぞれなのだから


私は拙い言葉でそれを伝え

白姫様はそうですかと少し気落ちされた様子だった


もし私の目が節穴でないのならばアレは恋煩いというやつだ

はたして白姫様の心を射止めた幸運な男は誰なのだろう


一番に思いついたのはワンワン殿だが同じくらいの速さでそれは無いなともう一人の私が答えた

しかし姫様は街中をふらふらとされることも多い

そうなるともう私には分からない

大体私は自分と領民の事で手一杯だ


白姫様の事は忘れどうやって獣人に畑を耕させるかを考えなくては





主人様は先日カラスの親子と楽しげに話しをされていた

大きくなったね

かわいいねと


もし私に子が産まれたら同じ様に可愛がってくださるのだろう

私のことも褒めて下さるに違いない


ああ主人様は私にお子をくださらないだろうか


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