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大森林の魔法使い  作者: おにくさま
58/100

蛮族の花嫁

目が覚め、する事もなく部屋を見渡した


特別な日になると言われても実感がない

リヨには今日は休んでいいし明日からも暫く休んで良いと言われている

フウの奴も店は暫くゴブリン達に任せ休むらしい


私は21になった

まだスズの屋敷じゃ酒は飲めないが

もう一端の大人だ

そんな私にフウが、借金を返すと同時に僕と所帯を持ってくださいと言われ

おうと答えてしまって


それを知ったおじさんやかあちゃん

フウの両親にリン

それにスズが遂にその時が来たとばかりに騒ぎ立てやがる

こっちだって待ちに待ってたてぇの


式は盛大に正堂であげるなんておじさんが言うもんだから、いや私正堂の教え信じてねえよと言って断ろうとしたら、尼さん達が正堂長のお子さんのアレなら構わねぇって言いやがって

アレって何だよ


そんでスズに泣きついたらじゃあウチでやりましょう、そうしましょうってシジュウ呼んで勝手に段取り始めやがって

正堂よりはましかと思い

コッチももう好きにしてくれって感じで

シジュウはニヤニヤ笑いで一つ貸しだとかぬかすし

もう頭が痛ぇ


スズからは前祝いだって新しい白家を用意されて

いや流石にこれがタダってのは問題あるだろうと言うと、二階建白家の試作品だから問題ないって言われて

それはそれで大丈夫かよって思うけど



そんなこんなで引っ越しも終わり

フウと荷物を並べ

お互いを見て笑っちまった

何でこんな事になったのかねって


フウにお前のスズの事好きだったんだろう?私で良いのか?って聞くと

お姫様に憧れちゃったんだよって笑い

そりゃ女の言うセリフだぜと私も笑った


一緒になったら何か変わるのかねと私が呟くと

子供が出来るよとフウが笑い

私がおじさんは正堂長と結婚してねえよ?と言うと

フウはきっとそのうちまたスズに怒られるよと笑った


まあ子供はさておき

怪しげな医師の助手と怪しげな酒屋の主人

お似合いじゃねえか

私たち




一人の朝飯を済ませた頃

スズの屋敷から迎えがやってきた

ヒバナが正装して【どうりん】とか言う動く小部屋でお迎えだ


式の前日はそれぞれ別に寝起きするもんだと言われ、フウは実家に戻っている

今頃フウの所にもシミンが迎えに行ってんだろう


迎賓館につくと直ぐに風呂にぶち込まれ支度部屋に通された

そこにはキイがいて

お前を蛮族一の花嫁にしてやるとか言って私を化粧台に座らせた

私からスズへのせめてもの抵抗で、式の出席者は身内だけにして貰ったからおめかししても仕方ないんだけどな


化粧を済ませドレスに袖を通し

姿見を見せられる


何だよ

随分と美人さんが居るじゃねえか



ノックがあり

スズと毛玉はが入って来た


スズは私を見て飛んで喜び

毛玉は今日の立会いを任された、ちゃんと資格も持って居ると訳の分からん事を言い

私はとにかく頼むぜと言って毛玉に手を差し出した

すると毛玉は首を振り

嫁入りのドレスに袖を通した女に触れて良い男はお前の父と婿だけだと言ってカッコつけやがった

犬じゃなきゃ男前だなこいつ


茶を飲んで一服をして居ると時間だと言われおじさんが入って来た

父ちゃんはとっくの昔に死んじまってるから

まあコレで良しとしますか


私の手を取るおじさんに

あんたもケジメつけろよと耳元で囁き

うるさいと言われちまう


おいおい

何であんた泣いてんだよ


おじさんに手を引かれ

正堂のガキやゴブリンのチビにドレスの裾を持たれ

大広間の戸が開くと一斉に花びらが舞った

世界中から集めたみたいな花が敷き詰められ天井からはヒラヒラと花びらが舞降る


おいおい

身内だけって言ったろうが

いつから王様が私の身内になったんだ?

それに正堂の連中も勢揃いじゃねぇか

ゴブリンのばあさんも昼間なのにまあチビ達連れて

ヒバナにテイとキイにリヨ

それにセン

屋敷の奴ら全員集合じゃねぇか


私がフウの横に立つとおじさんは人目もはばからず声を出して泣いて

かあちゃんに付き添われて

恥ずかしいなあ


立会人の毛玉がこほんと咳払いをすると皆が静まり

シジュウを引き連れたスズがやって来て、シジュウから何かを受け取ると私達の前に立ってそれを差し出した


「蛮族シャン、蛮族フウ、古式にのっとり己が中指を示せ」


偉そうにこの毛玉


「ほれ」


私は毛玉に中指を突き立てフウもそれに続いた


「蛮族らしい」


毛玉は苦笑いをし

では己が中指に永遠の愛を示せとぬかしやがった

ナンノコッチャと思うと

スズが目をキラキラさせながら私の中指に金色に輝く指輪をはめた

あのお喋りが黙ってるなんて珍しいな何て思って居ると続いてフウの中指に銀色に輝く指輪をはめる


「では契りを」


私は打ち合わせで言われた通り、フウの手を握り口付けをした

勘違いすんな

チュッとだぞ?


「二人の契りは主人様の拳である私が見届けた、その指輪のごとく二度と離れぬ二人であれ」


ナンノコッチャと思い中指の指輪を見ると、それは見事に絡み合った金銀のストライプに変わっていた


「では蛮族、精々幸せになれ」


まんざらでもない顔でこちらを見る毛玉

私はいつの間にか私よりデカくなっちまったフウの肩に手を回し

こいつらに初めて会った時のように言ってやった


「おう!まかせとけ!」


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