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大森林の魔法使い  作者: おにくさま
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二十二話(う)

王城謁見の間にはおかしな空気が漂っている


王は王子と摂政を連れ、席につく者一人一人にありがとうありがとうと労う様に声をかける

しかし王は玉座には腰掛けず玉座下に置かれた席に腰掛けていた


そして列席者の目を引くもう一人

国王一堂の直ぐ横に開き直った様に腰掛けるドゥクディモ大公


王は列席者を見渡すと皆揃ったねと微笑み、それでは始めようと開会の宣誓を申し渡す


「こうやって皆揃うのは開戦以来であるから実に半年振りと言うことになる、本当に皆には感謝しかない」


列席者一堂はこれは勿体無いと畏り

ドゥクディモ大公はワザワザ嫌そうな顔をしてみせる


「ここで先ず皆に私の新たな、賴き友人達を紹介したい」


列席者一堂はドゥクディモ大公をチラリと見る


「それでは私の賴き新たな貴族と友人を紹介しよう」


扉が開かれるとドゥクディモ大公が立ち上がり拍手を始め

列席者はお前は何をしているんだと首を傾げる

王はさあ皆もと促し列席者は訳も分からずそれに続いた


「では友人諸君入ってくれたまえ」


白銀の鎧を纏い、此処にいる皆が知らぬわけのない魔槍を掲げた青年が槍を持った男達を引き連れ現れる


その後ろにキッチリと正装をし錫杖を持ったゴブリンが、不思議な鎧を纏ったゴブリン達を引き連れそれに続く


そして弓を担いだエルフ達がその他を見下す様な態度で最後を締めた


「それでは紹介しよう!私の新しいそして賴き新貴族!ヒバナ侯シミン殿、そして我が盟友巌窟王殿、森林王エゴマ殿だ!ああ、巌窟王殿の名は我々では発音が出来んのでな、この場では巌窟王の名で御容赦頂いている」


列席者は驚き呆れ

ドゥクディモ大公は私は知らんと言った顔して見せた


「ヒバナ侯は先の王都包囲網戦でいの一番に私に加勢された姫騎士殿の一番弟子、その活躍は此処に居並ぶ諸君に勝るとも劣らないものであった」


王は貴族達に姫騎士殿が彼の後見だよ、あの槍を諸君は忘れたのかねと笑い、何か言いたいことはあるかねと見回す


「満場一致とは素晴らしい。それでは私は新たにシミン殿の加入ととケシミの復帰をもって四剣の復活を此処に宣言する」


王はドロンの抜けた穴がようやく埋まったよと笑う


「そして巌窟王殿と森林王殿はそれぞれ、先の戦いで御加勢下さり散々に正敵を苦しめてくださった」


「おまえたちのてだすけをしたわけでも、ましてやおまえのけらいになったわけでもない。それをわすれるな」


突然喋り出したゴブリンにあたりが騒めく


「それは我らも同じ事!エルフ王の命があったればこそ賊の征伐に手を貸したのだ!」


エゴマと紹介されたエルフも、さも遺憾であると言わんばかりの態度を見せる


「ええ、勿論ですとも。御二方の仰る通りです。私たちは対等な同盟者、同じ敵に命を狙われる者同士」


王は皆を見回す


「無論私は今後とも聖堂の保護を続けるつもりだ、しかし大聖堂の諸君が何故か私や此方の皆さんを異端聖敵だと決めつける。なので残念な事に私達は己の身を守らねばならない」


王はため息をついてみせ

私事なのだがと続ける


「先日より住まいを借りる正堂派に宗旨替えをしようとおもうのだよ、正堂派の皆さんは私達は異端ではないと仰り我らを保護してくださるとも仰る、ああ勿論諸君は私に付き合う必要はないよ」


聖堂は偉大だからねと王は笑った


「では私もお付き合い致しましょう、私もいつも間にやら聖敵にされてしまい困っていたのです」


それまでだんまりを決め込んでいたドゥクディモ大公がわざとらしく賛同して見せた


「おお!ドゥクディモ!我が旧友!そうかそうか、君もか、それは良かった!」


「何を仰る我が王、我がドゥクディモはあなたと不幸な行違いが有ったが、私とあなたの仲ではないか」


「そうだなフショウ、幼少の砌、大聖堂で共に学んだ仲であったな」


王はわざとらしく涙を浮かべ

嗚呼あの日が懐かしいと大きな声で呟いてみせる


「では私も」


しょうがない、この茶番に付き合うかとの空気を引き裂く声の主に注目が集まる


「おお!レーレン嬢!君もか!嬉しい事だ!」


「はい、このレーレン=レーレン、聖堂の教えを信じてはおりますが、敬愛する王とこの国を愛する心は決してドゥクディモ大公に劣るものでは御座いません」


ありがとうありがとうと王は嬉しそうに頷き、そうだレーレン嬢、貴女も立派な領主になられたのだからお預かりしていた領地をお返しせねばと頷く


「ありがとうございます、亡き父や兄達も喜びます」


「今思えば貴女の御家族も青い石に惑わされ乱心したのだろうなぁ、悲しい事だ、レーダ近辺はフッツとヒバナ侯に預けてしまった、その分は他に用意しよう」


「感謝致します」


「うん、素晴らしい!これで四大貴族久方ぶりの揃い踏みだ」


王の言葉を聞きドゥクディモ大公が私をお忘れでは?とふざけ

君は別格だと笑いを誘う


「素晴らしい事だ、今日はたまたま正堂の方に洗礼の儀式をお願いしてあってね、我ら三人此処で新しく生まれ変わろうではないか」


王の言葉に何人かの貴族が私もと立ち上がり

残る貴族も形ばかりでもとそれに続く


「一人残らずとは!これは素晴らしい!今日は特別に立会いをお願いした方がいらっしゃる、皆も喜んでくれるとおもう」


王の言葉に合わせ、謁見の間の大窓が開かれ

一同が何をしているのだと首を傾げたその時

謁見の間に風が吹き王とドゥクディモ大公、それにゴブリンとエルフが傅いた

ひとり遅れシミンも傅く


訳の分からぬ貴族達

そして王座に座る者がいる事に気づき

それを見て驚いた


「本日は私の願いを聞き届けて下さり誠にありがとうございます」


王は深々と頭を下げ、玉座に座る者に礼を示した


「手早く済ませろ、私は夕食の支度がある」


玉座に座る女は肘をつき足を組み王を見下す


「お手間を取らせます、それでは貴族諸君、紹介しよう。こちらは白の街より白姫の名代としてご来席願った魔法使い、シジュウ様である」


いつの間にかガラスのゴーレムが並び

主の様に座る女は早くしろと手をヒラヒラとさせた


「それでは貴族諸君、立会い人様に粗相のない様にな?」


王は人の良い笑顔を見せ正堂の尼を呼び込み

貴族達はこれから続くであろう聖堂との戦に自分達の逃げ道が無いこと、自分達に選択肢が無いことを改めて実感させられた


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