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大森林の魔法使い  作者: おにくさま
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十五話(あ)

「従兄弟殿の留守を狙う様に大聖堂の使者がいらっしゃったよ」


「なんたる偶然」


「いやはや私も驚いた」



私達の白々しい会話

話は数日前のことだ



「ハンディ王、問いたい事があって参った」


「さて?御聖堂へのお心付けは前年にも増してさせていただきましたが」


「白々しい、田舎町にある救済院に断りもなく聖堂の儀を執り行わせたであろう」


「ああ、何年も前の話です」


「であれば尚の事、何故大聖堂に届け出もなくこじき小屋に聖堂の名を与えた、ハンディ家の名で行われた事は先刻承知しているのだぞ」


「これは不思議な事を申される、王家には大聖堂様より聖堂の保護を申し使っております、私はその使命に従い行いました、それだけです」


「救済院は聖堂の下にあるものだ、ましてアレは聖堂などでは無い」


「聖堂だったのです、使者様、我が王家の怠惰によりそれを見落としておりました」


「清石の事であろう、あの様な紛い物」


「使者様、私がまだ少年の頃見た大聖堂には手のひらほどもある立派な清石がそれは見事に輝いておりました」


「無論、それが天から清くあれと頂いた清石、各地の聖堂にはそのカケラが納められている」


「使者様、アレは天からの授かり物なのでしたか」


「不勉強を装うな」


「いえいえ、これをご覧ください。我が家の蔵の隅に長い間ゴミの類に紛れていたものです」


「これは!コレは!こんなものは偽物だ!」


「はて?青く透き通り硬いが脆い、光にかざせば其処は赤く照らされる。私の知る清石とは確かそんなものでした」


「清石は遥か高みにある山の頂に天が僅かに置かれたのだ!コレはまがい物だ!」


「蔵に清石と書かれ置かれておりました」


「魔法使いに泣き付き造らせたのであろう!でも無ければその様に大きく切りそろえた様に四角くなるものか!」


「私は蔵で見つけただけです」


「愚か者!どうせこじき小屋の清石もその様なまがい物であろう!」


「使者様、確か私が幼い日に読んだ聖典には、大聖堂とは大きな清石を掲げ人々に聖の道を解く所とあったかと」


「その後に光で照らし光で照らされる場所と続いたであろう」


「大きな清石が蔵から出てまいりました、レーダの街からも」


「何が言いたい」


「掲げてみようかと」


「聖堂を侮るか!」


「ああいえいえ、小さくゴミの混じった清石ならば捨て置いたのですが、大きく綺麗な清石なものですから、せっかくだから飾ろうかと」


「それが不埒と言うているのだ!」


「それから使者様、救済院が名乗ったのは聖堂では無く正堂です」


「それが我らを侮っていると言っているのだ!」


「聖堂でないのであれば気にされず捨て置けばいいでは無いですか」


「正堂を名乗り商売をし、禁忌を使うもの達を聖人と崇め、天使の行いすら正しく事と説いているそうでは無いか!」


「商売なら聖堂もしているでは無いですか、天使なら私も見ましたよ、ここで、城が脆いと叱られ消えました、それに貴方様ならご存知でしょう?当家は百代も前に魔法使いに王にしてやると言われ王になったのです。聖堂に即位させて頂いた他王家と同じに扱われては」


「勿論他家より数段低く見ているとも、大聖堂に戻り審議に掛けハンディ家を排斥し他家に切り取り次第を申付ける事もできるぞ」


「何故その様な恐ろしい事を仰られるのかさっぱり分かりません」


「お前は子供の頃からおかしかった」


「これは手厳しい」


「今日はこれで帰る、次に会うときが城下の誓いの場でない事を望むぞ」


「私もです、使者様。折角ですからこの清石をお持ちいただき、大聖堂の皆様でご覧になって下さい、ああどうか心配なさらず、蔵から出てきた清石はそれ一つではありませんから」





「で、私のことが大嫌いな三公国はどんな具合なのだろう」


「三国ともあなたと白の館を打てばあとは切り取り次第のお墨付きを貰うばかりですよ、本隊は各街道を塞ぎ国境の砦を抜け、王都を目指すでしょう、搦め手はレーレン領を抜けて来るでしょうな、まるで内通している様な鮮やかさで、その上、三大貴族は旗色が決まるまでだんまりを決め込む」


「それは怖い、援軍もなく挟み撃ちだ」


「四剣最強と謳われたケシミも次席と言われたドロンも頼みの綱の姫騎士も居ないとあれば、良くて負け戦、普通にやれば壊滅です」


「なんてことだ、私は何としても落ち延びねばな、焦り急ぐあまりレーダの街辺りに逃げ込むかもしれん」


「なんとも心強いお言葉か、王都の運命やいかに」


「其処は王都に落ち延びた従兄弟殿の奮戦次第。運が良ければまた会えるさ」


「なんてことだ、私まで紙の上の文字だったとは」


「伝えなくてはなぁ、王家は負けました、奴らの狙いは貴方様ですと」


「動くでしょうか?」


「動くよ、口先だけの私などよりよほどだ」


「なんと言うことだ、王軍十万をすり潰す事になるとは」


「王都王城も危ういな、そうだ、その時は正堂を仮の王城とするか」


「せめて私の息子も連れて行って下さいよ」


「当然だ、従兄弟殿が居なくなれば次が必要だからね」


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