十四話(え)
「こんなものだろう」
従兄弟殿と二人、地図に線を引く
「いきなり大きな領地を与えられても上手くいかんだろうしな」
従兄弟殿は私の声に笑った
レーダ家は騒ぎを起こし、兵を動かした咎で罰した
ションベンをしていて一命を取り留めたレーレン=レーは戦から戻ると直ぐに首を吊って死んだ
跡取りが娘一人残っているのだから死ぬこともないだろうにと思ったが死にたければ死ねば良いさ
レーレン領は広さは半分に
収入は三分の一になった
失った兵をの事を考えれば十年は戦などできないだろう
その取り上げた土地のほんの一部をレーダのフッツにくれてやり
後は王家が召し上げる
なに、管理の大変な策源地の面倒を王家が見てやるのだ
ありがたい話ではないか
「いっそ潰してしまえば良いのではないですか?」
従兄弟殿は地図の上にあるレーレンの文字を指でつつく
「頭が良くて血の気も多い女だ、程よく生かしておけばきっと数年もする頃には諸国と結んで大きな戦乱を起こしてくれるさ」
私はレーレンと書いてある文字を指で撫でながら愛おしそうにささやいてみせる
「目指す相手は魔法使いの手下に成り下がった私だ、その時は是非姫様にお力を借りなくてはな?国の一大事だ」
私のわざとらしい嘆きに従兄弟殿はため息をつく
「あなたが王でいれば王国は帝国になるかもしれませんね、それでも私ではここまで残酷に割り切れない、どの道勝っても国は焼かれるのですからね」
「私だって戦は嫌さ、戦となれば寝床で震えていたい。しかし紙の上なら話は別だ、攻めて来るのも焼かれるのも死ぬのも文字と数字だ、私も含めてな」
「そうでしょうね、戦は私に任せておいて下さい、諸侯に睨みを効かせるのも。私にはあなたのように全てを文字だと思う事は出来ないのだから」
「私だって従兄弟殿のように目の前の男や女子供の首を麦刈りの様にやっててしまう事は出来ない、王家と分家とはそう言うものなのだろう」
「そうでしょうね」
「従兄弟殿」
「なんです?」
「帝国の都はどこになると思う?」
「それは私でもわかります」
「そうだな」
二人は白の屋敷と書かれた文字をジッと見つめ笑った




