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大森林の魔法使い  作者: おにくさま
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十話(お)

スズを連れ大大都の飛行場へ降り立つ

シジュウ様よりの密命を帯びて

スズは大大都が誇る飛行場を見てあっけにとられている


“《島》の飛行場も驚きましたが此処はその何倍も有るのでしょうか?”


なに⁈


「《島》に行った事があるのか⁈」


“ええ、シジュウ様に連れられて”


うむ、これは運命と言う物か


私は田舎者丸出しで、いちいち珍しがるスズの手を引き中心部へと向かう連結車へと足を運ぶ


“これはなんです⁉︎これが動くのですか⁈道からはみ出たりはしないのですか⁈”


連結車は専用の道を行くから心配ないと言い席に座らせる


“《島》で乗った動輪も驚きましたがこれは言葉になりません”


スズは車窓に流れる物を端からアレはなんだと聞いてくるので面倒臭くなり、眼に映るものは全て家か店屋だよと言い、スズは成る程と納得してくれた

多分理解はできていないと思う


大大都中央で連結車を乗り換え若者の街へ向かう

スズはシジュウ様が用意された服を着て来たのでかろうじて街に溶け込んで入るのだがどうにも格好がお上品すぎる


「さて、昼食前に私がお前くらいの頃足しげく通った店があるから見てしまおう」


スズは頷き私の手を握り直すと不意に立ち止まった


“テイ、それは何年まえですか?”


「私はまだ3桁だぞ?」


何故かスズの表情が曇る


目的の店に着く

家族連れも多く

かと言って若者が少ないわけでもない

取り扱う品も地味でもなく派手でもない

シジュウ様より目的の為ならば出血も厭わぬ覚悟を持てと言い使っている


「さてスズ、まずは見て回ろう」


どの様な人種にも対応する品揃えだ

目くらましには持って来いだ

スズはちゃんとした丈のスカートも有るのですねと安心した様に笑う

この田舎娘は膝下丈でも拒む様な頑固者なのだ

ましてや私が夏場の流行り物で着飾るに至っては、頼むからそれで出歩かないでくれと言って来た程だ


まあそこはあの僻地だ

仕方のない事だ

しかし主人様にお仕えする者が

いやいや、主人様がお許しなのだからこれ以上は不敬だ

などと考えているとスズに裾を引かれる


“テイ、値札の意味がわかりません”


成る程、字が読めるとかではないな

これはわからんかもしれん


「1着ならこの値段、1度に3着ならこの値段になるのさ」


スズは理解しかねると言った顔になる


“1枚ずつ二回買う値段と、1度に3枚買う値段が変わらないではないですか、皆騙されています”


それはアレだオマケみたいな物だと言うと、それでは1度に2枚の人はどうなるのかと聞かれ、3着目を選べば良いんじないか?と答える


スズはおかしな所ですねと難しい顔をした


季節も黄金に変わるのでスズに色々と季節にあった物を進める

せっかく来たのだしシジュウ様にお許しもいただいているからと

スズも少しずつ乗り気になり、マネキンか着ている服を仕切りに眺める


「私が選ぼうか?」


アレヤコレヤと決めあぐねるスズに声をかけると、スズははいと答えた後に私を見て口ごもる


「安心しろちゃんと考える」


赤も終わりが近い

今日はお前が嫌う格好もしていないだろうと言うがスズは私のスカートのスリットを指差す


「コレはお洒落だ、見せているのではない」



いくつか試着などさせながら一揃えと言わず選んでカゴに入れる

スズも随分と乗り気で選んでいる


“テイ、コレは?”


「ああ、ストッキングだな、破れ知らずと言う意味だったかな、とにかく薄くて頑丈で暖かいタイツだよ」


せっかくだから買っていこうと進める

スズはウンウンと楽しそうに頷き

物は私が見繕った


頃合いだな

自然な流れだ

スズもなにも疑うまい

流れる様にたどり着いたのだ


「おや、ここは下着売り場だな、今年の流行りなどどうだろう?」


そう

これこそが大本命なのだ

場合によっては私の首が飛ぶ

シジュウ様は先日の茶会の席で私がスズに酒を飲ませようとしたことを許す条件として、スズのあのおかしな下着だと思い込んでいるものを私にどうにかしろと言われたのだ

しくじれば恐ろしいことになる

そんな私の心中など御構い無しにスズは顔をしかめる

なに、今の一言は撒き餌

此処からが勝負


「ああ、そうか、好みではなかったな。それではこれなどどうだろう?お前の好みだろう?大大都でも流行っているぞ?」


私は本命を偶然を装い手にとって見せた


“まあ、ちゃんと有るのですね”


スズは少し短いけど手触りも良いと乗り気だ

いきなり下着売り場に来たのならこれも渋ったろうが

流れと勢いがついた今ならスズは流される


「今日は初めてだしな、私が誘ったのだ、払いは気にするな」


私はそう言ってスズが手にしている下着と同じモノを色が違うとかたくさん買ったほうが特だとか何かと理由をつけてカゴに叩き込む


“テイ、ありがとう。この下着は何ていうの?”


私は笑顔で


「ボクサーパンツだよ」


そう答えこれが本命で有ることを隠すため次へと進む


その後スズは囮の本繻子で出来た下着や肌着を見て目を丸くし

着はしないけどなどと言いながら寝間着をカゴに入れていた

上々だ

私が自分用にスパッツやレギンスを手に取るとスズが私にもと言い

言っておくがコレは下着ではないぞと言うと目を丸くし首を捻りながらもスパッツをカゴに入れていた


最後にお前達耳なしは年頃になると乳房が膨らむからと言ってカップ付きの肌着を見立ててやり、会計へ向かう

金額はこの店の売り物の価格を考えれば一桁間違えたのではと言いたくなったが、数が数だ

自分の首がこれで繋がったのだから、なにもたかいことはない



両手に買い物袋をこれでもかと下げ

遅めの昼食

流行の喫茶で人気の大きなピコラを頼み二人で食べる

スズにピコラの意味を聞かれたが、私が生まれる前からあるもので、よくは知らないが生地の上にチーズと具材をのせて焼いたものは大森林の何処でもピコラと呼ぶよと答えると納得していた

気に入ったのなら御屋敷で作ってやろうか?と言うとスズは嬉しそうにしていた


“ところでテイ”


「なんだ?」


“テイはお肉も食べるのですね”


スズはピコラの上に乗る薫製肉の細切りを指差す


「ああ、私の父は耳なしとの混血でな。家で父が肉を食べていたのでそれほど抵抗はないよ」


母も魚はたまに食べていたな、などと思い出す

たまには実家に顔でも出すか



スズを連れ雑貨屋をのぞき

何かと悩むスズに声をかける

友人にお土産を選びたいらしい


「それなら形に残るものはやめておけ、外の者に何かを与える時は皆そうしている」


スズはそうですかと言うと自分の物だけを選び、ノドが渇いたと言うので噂の氷菓店に出向き、器から溢れそうに盛られた氷菓のサンデを楽しんだ

そこでもスズになぜサンデと言うのかと聞かれ、サンデとは方言で休日という意味だから食べたら休みの日みたいに楽しいからじゃないかなと適当な事を言ってみた

スズは本当に楽しいと笑い

私も首の心配がなくなりとても楽しい



夕食には戻る様にと言われているので、そろそろ帰るがまだ何か有るかと聞くとスズは本が見たいと答え、近くの書店をのぞいた

スズはしきりに何かを探すのだがそこそこ大きな店なので見つけられない様だ

私が何を探しているのかと聞き、スズの説明はあまり要領を得なかったが、見当をつけ年頃の女子向け雑誌をいくつか見せてみるとコレですと喜び、私が手にとった束をそのまま会計へと持って行った


スズは帰りの飛行場で土産物を買い

私たちは家路へとついた


御居館に戻るとシジュウ様がお出迎い下さる

スズは自慢げに服を広げシジュウ様はせっかくだから明日にでも着てみるといいとお声をかけられる

遂にモノが下着に至るとシジュウ様は大変喜ばれ、これは良い、よく似合いそうですとスズを褒めちぎる

スズは少し恥ずかしそうに、では今夜からと言って袋に戻してしまう

その後も雑貨屋で買ったアクセサリーや文具などを眺め

スズは本屋で買った雑誌を並べ嬉しそうにシジュウ様に見せる

テイに選んでもらいました、読めぬ字は教えて下さいという姿は年相応に愛らしいものだ


だがシジュウ様は一冊の雑誌を凝視し

無表情に私を睨む

何事かと雑誌をに目をやる


血の気が引くとはこの事だな

本当に適当に選んでいたから

言い訳をせねば


シジュウ様は一冊の雑誌を手に取るとスズに、この本、私にもらえませんかと笑顔で仰り

スズは笑いながらシジュウ様もお好きなのですねと笑う


やめてくれ

その言葉は色々と良くない


「テイ、疲れたでしょう」


シジュウ様が笑顔で私に声をかける

その手にした雑誌には、美しい女とたくましい男が描かれ

見出しにはこう書かれている


ハウトゥーセックス

あの男の子を宿すテクニック

頭で考えるな子宮で感じよう


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