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大森林の魔法使い  作者: おにくさま
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十話(あ)

酷く痛む

あの魔法使いに捻られた足がズキズキと

馬は街を飛び出し街道をひた走る

一緒に逃げ延びた者達は皆散り散りになり何処かへ消えてしまった


早く逃げなくては

早く着かなくては

父の

領主の館に

領主の領地に


馬を変え、休まず走れば

館は1日の距離だ

兄達や父の領地に逃げ込むだけなら半日とかかるまい


見ていろ

父の元から巨人兵を連れ出し

兄達の兵を貰い受け

次こそ殺してやる

レーダの街ごと燃やしてやる

火球砲で燃やしてやる

大賢人の技で刃の雨をお見舞いしてやる

メラメラと復讐の炎が胸の奥で燃え上がる


しかし喉が渇いた

足も痛い

追っ手の気配もなく

コレは何処かで休めと天の啓示に違いない


街道外れの小川へ向かおう

そうしよう

例え追っ手が来たとしても彼処なら見つかるまい


道を外れ小川に着くと、馬を休ませ水を飲み顔を洗う

そう言えばこの小川はレーダの街に向かうのだったな

胸糞悪い

そうだ、この小川から毒でも流させよう

それが良い


それにしても足が痛む

賢人の術が切れてきたのだろうか


「捜しました、レル殿」


突然の声にビクリと飛び上がる

振り向けば、白馬に乗り白い鎧を身に纏、仮面を被った者がいた

追っ手かと身構えたが、良く見ればその姿は何度か父の屋敷や王城で見た

王国の剣


姫騎士殿だ


「おお、姫騎士殿か、驚き心臓が飛び出るかと思ったぞ」


「それは悪いことをした」


姫騎士の仮面は目元を隠すものであるのでその口元が笑っているのが見て取れた


「姫騎士殿は何故此処に?」


姫騎士は笑い顔のまま、言ったではないか、レル殿を捜していたのだと言う

ああ、そうか


「父に言われて来てくれたのだな、しかし少し遅かった、卑怯にも彼奴らはおかしな術や宝具の類を使うエルフを雇い、私の兵達は皆やられてしまった、だが安心してほしい!私はもう一戦挑むつもりだ!」


「そうか、間に合わなかったか」


私の話を聞いた姫騎士は残念そうに呟き天を仰ぐ


「いや!まだコレで終わりではない!姫騎士殿も是非お力添えを!このまま捨て置けば奴等はいずれ王国に仇なすに違いないのだ!」


姫騎士は私の言葉を聞いている風ではなく

天を仰ぎ己の仮面に手をかける


「手柄を立てれば、お役に立てば面目が立つかと思ったのだが」


姫騎士は天を仰いだまま仮面を外す


「なに手柄など姫騎士殿ならば如何様にもあげられます、その為にも是非お力添えをお願いしたい!」


姫騎士は素顔を見られる事も気にせず私を見つめ

その瞳は潤んでいた


「さあ姫騎士殿!共に父の屋敷に向かい、陣を立て直しもうひと合戦!」


それにしても、私を見つめる姫騎士の顔は、皆が想像し噂する様な美形でもなければ噂される様な傷も無い

ソバカスが似合う田舎娘の様で

どちらかというと愛嬌のある顔だった


しかし貴族と言わず平民と言わず

姫騎士の素顔など誰も見たなどという話は聞いた事がなく

添い遂げる者にだけその素顔を見せるのだなどと実しやかに噂されてはいるが

それならば私は姫騎士殿と挨拶以外で口を聞くのも初めてではないか


「姫騎士殿?」


姫騎士は私を見つめ、再び、間に合わなかったかと呟いた

なんだ?

何か胸騒ぎがする

良くない予感がする

なんだ?


「さ、さあ姫騎士殿、向かおうではないか」


「悪いがそれは出来ない、それは叶わない」


姫騎士は今や伝説と化した槍を抜き、私に突きつける

何故だ?


「事が起こる前にあなたを打ち、納めるつもりでしたが、間に合わなかった」


姫騎士は何を言っているのだ?


「主人様がいらっしゃったと聞き、諦めで凍りついた胸が熱く高鳴った、お許しを頂ければ再び《村》に帰れると」


なんだ?今、主人様と言ったか?


「若気の至りで、自分を変えられると、外の世界を変えようなどと浅はかな思いで大森林を飛び出した過ちをお許し頂こうと」


今、大森林と言ったか?


「ここは地獄だ、地の底だ、そこに今一条の光が見える」


この槍、見覚えがある

しかもつい先程だ


「なあレル殿」


あの恐ろしい人馬のゴーレムが振りかざしていた魔槍だ

同じ物だ

何故それが此処にある

何故それを持っている


「私のために死んでくれ」


何故私は宙を舞っている

何故体が動かぬ

何故

何故


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