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大森林の魔法使い  作者: おにくさま
100/100

終話 大森林の魔法使い

奥へ

森の奥へ

私は必死に森の中をかける


当てがあるわけでもない

それでもそれに頼るほかない


私利私欲ではなく願う者はそこにたどり着くという

現に私は幼い日、一度そこに辿り着いている


半日なのか

一日なのか

もう数日なのか

私は時もわからぬ森の中を必死にかけた


足がもつれ

倒れ込んだその時

それはそこに現れた


間違いない

幼い日に見たあの風景

それが眼前に広がっている


私は再び訪れる事が叶ったのだ

魔法使いの国に


奇妙なものを見る目で私を見る人々

私は息を大きく吸い込み

あらん限りの大声を出し叫んだ


「誰か助けてください!私達を助けてください!」




私は不思議な乗り物で現れた一団に連れられ

その乗り物に押し込まれ四角い大きな建物に連れられた


そこには私の言葉を理解する一団がいて私に早く帰れと言ってきた

ここはあなたのいる所じゃないと


だから私はもう一度叫んだのだ

私達を助けてくださいと

魔法使い様に合わせてくださいと


一団は顔を見合わせ首をひねる

私は幼い日の記憶を頼りに魔法使い様の事を伝えると、一団はああと言って私を立たせた


「連れて行ってはやるが会えるかはわからないよ」


一人の男はそう言い

私を連れて先程の乗り物に乗り何処かを目指した


そしてそれは程なくそこにたどり着く

間違いない

私が幼い日、母の病を治す薬を頂いた魔法使い様の御屋敷だった


私は乗り物から飛び降りると門の前に立ち

どうか話を聞いてくださいと何度も何度も叫んだ

私を連れてきてくれた男は呆れたように私を見ていたが

しばらくすると異形の一団が現れ門を叩く

すると門は開き異形の一団は荷車を押し中へと入って行った


男はアレについて行きなよと言い

私はありがとうと答え異形の一団の後に続いた


庭を抜け屋敷の前に着くと、異形の一団は荷車の荷物を並べ出した

果物だ

見たことのない物ばかりだがそれは果物だった


しばらくすると屋敷の戸が開き中から一人の若い女が現れた

間違いない

魔法使い様だ

幼い日に見た魔法使い様だ


私は駆け寄り魔法使い様に縋り付くとどうか私達を助けてくださいと願い出た


魔法使い様は目を丸くし「なにこれ」と呟き異形の一団に話しかけ

異形の一団はさあ?といったポーズをとり

魔法使い様は私をしばらく見つめられた


「あなたの事は何処かで見た事がある気がします」


魔法使い様は私を繁々と見つめ

それにしてもあなたは何?ともう一度仰られた


どうか話を聞いてください

私がそう言うと魔法使い様は聞くのはいいがと言って私を見ると、ガラスの人形がやってきて私を捕まえ小さな小屋に引きずり込んだ


小屋の中は湯が溢れ

ガラスの人形は私にそれで身を清めろと言い出て行ってしまった


私は恐る恐る服を脱ぎ

湯を浴び体を清めた


そして気がつくと着替えが用意されており

それはこの世の物とは思えぬ着心地の物で

再び御屋敷の前に立つと魔法使い様は私を見て身を清めろ言ったでしょうにと言い

一呼吸おいて

思い出しました、あなたは確か薬をあげた子ね、その見た目だとアレから何十年か経ったのかしら?と仰られた


私は覚えて下さっていたのですねと涙を流し再び魔法使い様に縋り付く

魔法使い様は少し嫌そうな顔をされ

また薬が欲しいのかと私に声をかけて下さった


なので私は額を擦り付け魔法使い様にお願いした

どうか私達の村をヒバナ達から助けて欲しいと


魔法使い様は「ヒバナねぇ」と呟き、果実を運ぶ異形の一団を見た


「あなたの言う『ヒバナ』はヒバナでは無いのだけれど」


魔法使い様はそう仰り

私の目を見て何かを呟かれた


「いいでしょう、いつもならば相手にもしませんが明日は久方振りに《館》に主人様がいらっしゃる日です、兄も母達もいらっしゃいます、なので私は機嫌がいい」


魔法使い様はそう仰ると「レーレン」と声をあげる


私は目を疑った

そこには炎が立っていたのだ


「外で己のことをヒバナの末裔と思い込んだ一団がいるそうです、ヒバナは《館》の中にいる、そうでしょう?」


魔法使い様がその様に仰ると炎はそうねと言って笑い、じゃあ少し遊んでくるわと言って消えた


「外の人、あなたの願いは今叶った。今日はこの《館》で休んで行くといい、私は今から母と一緒に主人様や母達の出迎えの支度があるのでこれで失礼する。ああそれから本当のヒバナと言う者はこの《館》の住人の事だ、あなた達からすれば大昔に、ヒバナの王様が大森林に従い《館》の一部になったのだけど、おそらくその時にヒバナと言う言葉だけが外の世界に悪い意味で残ったのでしょう、色々有ったようだし。先ほど果物を運んできた人達が本当のヒバナなのですよ」


話を聞き唖然とする私を置いて魔法使い様は御屋敷の中へと消え

気がつくと私を案内してくれた男が私の横に立ち、あんた運がいいねと笑っていた


「魔法使い様はあまりよその事には興味が無いんだがね、ああ私達ヒバナの末裔はあの方の事を魔法使い様と呼ぶのさ、本当はちゃんとお名前もあるのだけど私達ヒバナにとっては魔法使い様の方が馴染みがあってね」


自分の事をヒバナの末裔と言う男は笑って私にじゃあ行こうと言い

私はしかし村がと言うと、男はレーレンが行ったのだろう?じゃあ今頃その『ヒバナ』とやらは全員バーベキューさと言い

折角だから夢心地を味わってから帰りなと言って私を乗り物に乗せ魔法使い様の御屋敷を後にした


男は祭りの会場の様な所で私を下ろすとなんでも好きなだけ食べるといいと言い

さあ行こうぜと言って私の手を引いた


そこには屋台が並び

大人も子供も人も異形も沢山溢れていた


「アレなんかオススメさ」


男は串焼きの屋台を指差す

言われれば腹はぺこぺこで、じゃあひとつと言うと男は、シャンとフウどっちにする?と言い私が首をひねると可笑しそうに笑い、じゃあ両方だと言ってタレの付いた串と塩が振られた串を差し出した


うまいうまいと串を食う私を見て男は可笑しそうに、そんなにシミンみたいにガッツきなさんなと笑う

私がシミン?と首をひねると男は、うーんと言ってせっかちとか貧乏性とかそんな意味だと教えてくれた


私は金は良いのか?と男に聞く

今日はお祭りでね、魔法使い様の主人様とお母様、それに兄上様に盾の七姉妹が月からいらっしゃる、だから今日は《館》中の店という店はタダ酒タダ喰いさと笑い

お前は本当に運がいいよと言って酒を私に進めた


私は恐ろしく美味い酒に驚きながら男に、月ってあの空に浮かぶ月かいと聞くと、他にもあるのかい?と男は笑い空を見上げた


私が信じられないと驚いたその時

子供がシジュウシジュウと言いながら泣きだし

男が迷子かい?よーしと言ってその子を抱きかかえ、誰かこの子のシジュウを知らないかいと声を上げ、しばらくすると何処そこの誰の子だと言って名乗り出たものがその子を連れていった


「シジュウってのは?」


私が男に聞くと男はママとかかーちゃんとかそんな意味だよと言ってまた酒を飲み

その後も色々な事を見聞きし

色々なものを食べて飲んだ


酔った私は明日の朝お前の村の近くに戻してやると言われ

雲の上の様な寝床で眠りについた


そして眼が覚めると土産だと言って包みを渡され

着てきた服に着替え

男に連れられ森の道を進んだ


男はここでお別れだと私に言う


「いいかい、振り向くかずに十歩歩くんだ。そしたらあんたの村さ」


男の言葉に私はありがとうと答え

ひとつだけいいかいと声をかけた


なんだいと答える男に私は、どうやったら私達は森の中に住める?と聞くと男は笑い、それは主人様が決める事さ、だけどあんたらが諦めなければ叶うよと言ってその気配は消えた


私は言われた様に十歩進むと

そこは勝手知ったる道に続き


その先には私を出迎える村人達が待っていた


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