ホットケーキと執事
完璧でちょっと意地悪で。それでいて、お嬢様大好きな執事と。
一生懸命なんだけど、空回り。可愛くない態度になってしまうお嬢様。
そんな二人のお話しです。
雛乃まいん、二作目です!
ここは、一条の館。あたしは朝から台所にこもっている。
「……あんっまた失敗だわ」
オーブンを開けたら、またもうもうと、黒い煙。そしてホットケーキも、炭……。これで15回目だわ。
「……何処がいけなかったのかしらっ」
イラつくっ!
「…お嬢様、桜子お嬢様?」
「…何よ?って有栖川!?」
キャー!
「何で有栖川が此処に!?」
「何で、では有りませんよ。今朝からピアノに刺繍、絵画のレッスン、全てお休みされて。探しましたよ」
う。
「だっだって、今日は特別な日だから……」
「フム。それならば、私が作りましたよ?ホットケーキ」
「あたしが作らないと意味ないのっ!」
だから、シェフにも断ったんだから。そう言うと、有栖川。
「……その愛らしさに負けました。作り方ですが、ホットケーキは、オーブンではなく、フライパンで焼くのですよ」
意地悪な笑みを浮かべて、答えた。
「えっ!」
有栖川のこういう笑顔、好きじゃない。ちなみに有栖川夏樹はあたしの執事で、家族。両親が海外にいるあたしの保護者で。そして、あたしの好きな人……。気になる人だったりする。