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「なに……かんがえてるんだよ……芹」
考えるより先に走り出していた。手を伸ばし、飛びつき、なんとか相手の手首を掴む。
「……お願い、離して珠菜」
「離せるわけないよ……ここまでくるのにどれだけ大変だったと思ってるんだよ……もうリトライできないんだよ……もう、やりなおせないんだよ……」
「どうして私がこんなことしてるのか意味わからないと思うけど、いつかわかるときがくるから、お願いだから離して!」
「そんなのわかりたくないし……わからないことだらけだけど……でもわかることだってあるよ……みんなが何かに苦しんでたこと……それに芹が……芹が……芹が『あいつ』だってこと」




