いじめをしているあなたへ③
俺の弟は自殺した。
学校で、いじめを受けていたのだ。
しかし、いじめた本人たちは、いじめを認めなかった。
学校も何かを隠している。
絶対に、真実を明らかにしてやろうと思った。
学校は、生徒全員にアンケートを配り、いじめに関する情報を集めていた。
しかし、有力な情報は得られなかったという。
信用出来ないが。
俺は警察に被害届を出した。
暴行、強制わいせつ、脅迫・・・。
みんな、あの少年たちが、満にしたことだ。
だけど、警察は動いてくれなかった。
"本人が亡くなっている以上、どうしようもない"と。
信じられない。
だったら、警察なんて、何の為にあるんだ。国民の為に動いてくれない警察なんて、あっても意味がないだろう。
俺は、社会を恨んだ。
父と母も、必死に情報を集めていた。
朝、正門の前で情報提供に関するビラを配った。
思いの外、情報は集まらなかった。
それどころか、二人をさらに追い詰める事が起きた。
満をいじめたグループのリーダー、木田孝広の母が、2人に罵声を浴びせたという。
「あなたたちのお子さんが自殺したおかげで、うちの息子がいじめをしていたと疑われて迷惑してるの!
はやく、この町から消えてくださらないかしら!」
そして、ビラをびりびりに破ったという。
信じられなかった。それが、子供を持つ親のすることか!
二人はビラ配りをやめてしまった。
母は、それがきっかけでノイローゼ気味になり、部屋に閉じこもる事が多くなった。
あんなに、明るかった母が。
いつの間にか、我が家から会話が消えていた。
家族が、壊れていくようだった。
全部、あの少年たちが、あの悪魔のような母親が・・・!
何も、悪いことなんてしてないのに、普通に生きてきただけなのに。
それから数週間たち、学校は調査を打ち切った。
「いじめと因果関係は認められない」と言って。
なにそれ? なんなの?
意味わかんないよ。
人が一人死んでるのに、その一言で、おしまい?
ふざけんなよ!
そうだ。
満は、エゴイズムに満ちた大人たちの犠牲になったんだ。
悲しみが、憎しみに変わった瞬間だった。
いじめをしているあなたへ
僕はあなたの事を心から軽蔑する。
他人を痛みつけて喜ぶなんて、人間じゃない。
悪魔だ。社会のクズだ。
どうか、わかってほしい。
新たな被害者が出ないように。