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魔法+魔法は極大魔法!? 〜伝説の大賢者、覚醒無双〜  作者: じょん-ドゥ


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第1話:学園一の落ちこぼれ覚醒する

魔法学校のダンジョン実習

今日はダンジョンの低層階を生徒数人でパーティを組んで

潜る授業だ。

 

普通の学園の生徒にとってダンジョンの低層階は

さほど脅威ではないだろう。

出てくるモンスターもつのウサギか大ネズミ、

出たとしてもせいぜいゴブリンぐらいで

まあ、命の危険は限りなく低い…が…

 

学園一の落ちこぼれである僕にとっては

命の危険を感じるのには十分だった。

しかも…

 

よりによって今日組むのはクラスのリーダーであり

学園きってのエリートでもあり、そして…

僕を落ちこぼれとかいつも罵ってマウントしてくる

そんな嫌な奴とその取り巻きと組むなんて…

 

教師の目が届かないエリアに到達した時、

その嫌なエリート、ブライアンがその目の前にある

次の階層に向かう階段を指さし僕に命令を

言ってくる。

 

「おい、アレン。この階段の下がどうなってるか

 、お前が先に行って見てこいよ。落ちこぼれのお前でも、

 偵察くらいはできるだろ?」

 

周りの取り巻きも、僕の方に視線を向け、なにやら

ニヤニヤと見下してくる。

 

僕は学園の落ちこぼれ…

自分でもその実力は分かっている。

魔力量も低いし、使える魔法も初級魔法が二つに

生活魔法を少し使えるだけ。

ブライアンに逆らったところで勝てるわけもない。

ふぅ、とため息をひとつ吐き

 

「……分かったよ」

 

杖を掲げ魔力を通し短い呪文を唱える。

 

「ライト」


その瞬間杖の先から淡い光が発生し

辺りを照らし始めた。

僕はその明かりを頼りに薄暗い階段を下りていった。

幸い階段の下にはモンスターの気配はなく

辺りを見渡しても脅威と呼べるものは何もなかった。

一通り確認をして階段を駆け上がり、元の場所へと戻る。

 

「ブライアン、下には何もいなかっ――」

 

言葉が途切れた。

誰もいない…

ゴツゴツとした岩肌が続く、静まり返った通路。

いくら見渡しても、ブライアンたちの姿は

どこにもなかった。

 

「……あ。そうか、置いていかれたんだ」

 

ああ、そうか、あいつらの目的は最初からこれだったのか

下の階層を偵察してこい、と騙して、

その隙に置き去りにして逃げる。

恐怖で泣き叫ぶ僕の姿を、後で笑いものにするための

幼稚な嫌がらせ。

こんなことをして何が楽しいのか…

 

今までも色々な嫌がらせを受けてきた。

教師に訴えても学園は実力主義…

ブライアン達には何のお咎めも一切ない。

だんだんと怒りが湧いてくるが…


「……ふぅ、落ち着こう。

 ここは初心者用の浅い階層だ。

 出てもせいぜいゴブリンくらい。

 僕の初級魔法でもなんとかなるはずだ」

 

まずは無事にこのダンジョンから脱出しよう

そう思いながら出口へ歩き出した…

まさか、この場所に「あり得ない存在」が

潜んでいるとも知らずに。

 

ズゥン……

 

突然、地鳴りがし、

通路の奥からむっとするような強烈な獣臭が漂ってくる。

 

ズゥン、ズゥン、ズゥン。

 

不気味な音のする方に杖を向け

光を照らしてみる…っ!?

 

光に照らされ、現れたのは、3メートルを超える巨体。

鉄格子のような角を頭から生やし、

血走った眼球でこちらを睨みつける、

圧倒的な質量のバケモノ。

 

ミノタウロス…

 

「な…んで…っ」

 

思考がフリーズした。

ゴブリンなんかとは次元が違う、初心者用の場所に

絶対にいるはずのない上位モンスター。

人間を噛み砕き、骨ごと貪り食う純粋な捕食者。

こんな低層階にいるわけないのに…なぜ…

ミノタウロスは僕を獲物と認識するとその距離を

じわじわと縮めてくる。

呆然としている場合ではない。

あのミノタウロスが手にしている巨大な斧、

あれが僕に振り下ろされたら…

間違いなく真っ二つに引き裂かれてしまう…

 

恐怖の中、何とか勇気を振り絞り杖を

ミノタウロスに向け、

 

「う、うわあああああッ!

 『ファイアボール』」

 

小さな炎の球が飛び、ミノタウロスの胸元に命中する。

だが、表面をほんの少し焦がしただけだ。

ミノタウロスはたじろぎもせず、さらに近づいてくる。

 

全然効かない、次は…次はどうすれば…

唯一の初級魔法…

それが効かない相手なんてどうすればいいか分からなくなり

完全にパニックになっている僕に


ドンッ!!!

「がはっ……‼」

 

ミノタウロスの巨大な拳によって後方に吹き飛ばされ

ダンジョンの壁に叩きつけられた。


バキバキ、と鈍い音が体内で響き、

肋骨がへし折れる激痛が襲った。

肺の空気をすべて吐き出し、

口からドロリとした鮮血が溢れ出る。

 

幸いなのか不幸なのか、僕の意識はまだ保っていた。

いや、あの鋭い斧での攻撃じゃなかったのが幸運なのか…

それともこんな化け物に遭遇したのが不幸なのか…

 

淡い意識の中でぐるぐると考えがめぐりまわるが

ミノタウロスはその様子を見守るつもりはないらしい…

その手に持つ巨大な斧を両手で天井高く振り上げた

 

ここまでか…ここで…僕は死ぬのか…

あいつらに笑われたまま、何も見返せずに…

死の瞬間。視界が極限までスローモーションになる。

その、絶望のどん底で。

――パキィン。

頭の中で、冷徹で、ガラスが割れるような音が響いた。

 

(……浅ましいな。実におぞましく、未熟な光景だ)

 

脳内に、記憶の奔流が津波となって押し寄せてきた。

あまりの膨大さに精神が焼き切れそうになる。

かつて世界最強と謳われた伝説の存在

『大賢者』の記憶だった。

 

前世の記憶。

大賢者と呼ばれた男の、魂の記憶が完全に覚醒した。

目の前で迫りくるミノタウロスの振り落とされる斧が、

今はただの鈍重な動きに見える。

その鈍重な斧が自分に届く前に

小さく呪文をつぶやいた…

 

「フラッシュ(閃光)」

 

ミノタウロスの目の前に強烈な光球が現れる。

突然の光に驚いたのか振り下ろされた斧は自分の

すぐ横の壁を無意味に攻撃した。

それだけでは終わらない。

直ぐ近くで炸裂した閃光はミノタウロスの目も焼いたのか

手で押さえて苦しそうに暴れている。

 

(現代の魔術師たちは、

  魔法を『足し算』でしか使えない。

  威力の大きい魔法をお行儀よく、1つずつ。

 ……本当に効率が悪いな。

 魔法とは、複数を同時に編み、

 掛け合わせるものだというのに)

 

痛覚が麻痺していく身体を無理やり動かし、

僕はゆっくりと立ち上がった。

恐怖はもうない。そこにあるのは、

すべてを理解した静かな眼光。

 

ミノタウロスから少し離れてから

いまだ苦しんでいる彼に向かって右手をかざした。

魔法を使うための杖はない。

最初の一撃をもらったときにどこかに

吹っ飛んでしまった。けど…

今の僕には必要ない。

 

「『ファイアボール』」

 

右手をかざしたまま呪文を唱える。

通常ならその瞬間に敵に向かって飛んでいくはずの魔法が

僕の右手の前で激しく渦巻いたまま、

ピタリと留まっている。

その状態で僕は続けて呪文を唱えた。

 

「『ストーンバレット』」

 

目の前に留まっている炎の横に

無骨な岩の弾丸が生成される。

 

そして突き出していた右手をぐっと力強く握り締めた。

その瞬間、

2つの魔法が激しく衝突し、完璧に融合していく。

 

炎は岩の隙間に染み込んで凄まじい圧力で圧縮され、

岩は超高熱によってドロドロの流動体へと姿を変えていく。

 

2つの初級魔法が、

交わった瞬間に爆発的な『掛け算』へと変貌する。

さらに、融合した魔力は周囲の環境魔力を巻き込み、

何倍にも膨れ上がっていく。


ボオオオオオオッ!!!

その場所が、昼間のように真っ白な輝きに包まれた。

 

「……極大魔法」

 

初級魔法の面影なんてどこにもない、

そこにあるのは超高熱のマグマを纏った巨大な『隕石』。

それを力強くミノタウロスに向かって放った。

 

「『メテオ・ストライク(隕鉄爆溶弾)』」

 

僕の右手から放たれた極大魔法を受けた

ミノタウロスはその悲鳴を発する事も許されず

姿かたちも残らずただの消し炭となってしまった。

 

後には超高温で溶かされたドロドロのクレーターが

地面に残るのみ…

ちょっとオーバーキルだったかな…


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