第19話 追放鑑定士と新たな剣
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俺がベッドから起き上がってしばらくしてから、フェードラが「んぅ……」と声を漏らしながら目を覚ました。
目を覚ましたフェードラが隣のリリアと少し離れた所に座る俺を交互に見るので、安心させるために事実を伝える。
「フェードラが寝惚けてこっちのベッドに潜り込んだみたいだから、俺はベッドから出た。それだけだからな、安心してくれ」
「……そう」
納得したのかしていないのか、フェードラは頷いた。
そして、ベッドから出て、俺の隣に座る。
「……ねえ」
「なんだ?」
「怒らないの? 私、勝手に単独行動して、罠に引っ掛かって、二人を危険な目に遭わせたのに」
「そうだなぁ……フェードラが怒って欲しいなら俺は怒るし、怒って欲しくないなら俺は怒らないよ」
「……?」
俺の言葉に、フェードラが首を傾げる。
そんなフェードラを見つつ、続ける。
「俺は昨日の事を、フェードラが悪いとか思ってないよ。危ない目に遭わせやがってこの野郎、とも思わないし、迷惑を掛けられた、なんて認識もしてない」
「……でも、私は……」
「フェードラが言いたい事も分かる。フェードラが一人で動いて罠に掛かったのも、本当の事だ。でも、フェードラはまだダンジョンに潜るのが一回目だったんだ。多少のミスは目を瞑るべきだし、それに……誰が悪いかで言ったら、俺だって悪い。フェードラを一人だけ離れた場所に放置して魔石採取に集中してたし、罠についてももっとよく伝えなかったからな」
「…………」
今のは全て俺の本心だ。
俺の本心をありのまま伝えても、まだフェードラは納得できないらしい。
多分、自分で自分を責めているのだろう。
俺はフェードラを慰める意味を込めて、フェードラの頭に優しく手を置いた。
「もしフェードラがまだ後悔しているなら、次は無いようにしてくれ。ついでに言うなら、次にダンジョンに潜る時は、もっと俺たちと連携を取ってくれ。……それで、いいか?」
「……そう」
フェードラは目を逸らしながらも、俺の言葉にハッキリと頷いた。
その事を確認すると、俺はフェードラの頭から手を離し、眠っているリリアを起こしに行った。
フェードラの一件によって、俺はまたも剣を失ってしまった。
俺がもっと冷静で落ち着いて対処できていれば、剣を置いたままフェードラを助けに行く事も無かったのだが……そこは後悔しても仕方無い。
失くしてしまった以上、新しい剣が必要になる。
「へいらっしゃい! ……って、またレイか。最近は来るのが多いな」
「まあな」
ベルが鳴った音を聞き付けた親父が、店の奥から表に出てきた。
親父は俺の姿を見て驚いた後、その傍に居るリリアとフェードラを見て、呆れた様子の溜め息を見せた。
何故なら……。
「……なんでそんな、くっついてるんだ?」
「……いや、俺に言われても……」
俺の両腰には、リリアとフェードラがしがみついているのだ。
リリアは前からだったのでまだしも、フェードラまでこうなるとは想定外だった。
暑苦しいから離れてくれないかと言ったところ、フェードラは「リリアだってくっついてるんだし、いいじゃない。それに、離れてまた前みたいになったら……」と、不安そうに言ったのだ。
あんな出来事の後では、流石のフェードラも不安なのだろう……と納得した俺は、そのまま街を歩いてここまで来たのだ。
「まあ、それはともかくとして……新しい剣が欲しいんだけど……」
「は? 新しい剣? 一昨日買ったばっかりだろ?」
「……それが、失くしちまって……」
俺が頬をポリポリと掻きながら言うと、親父はカウンターを叩きながら叫んだ。
「はぁ!? 失くした!? つい一昨日の話だぞ!? 何してんだ、お前!?」
「ははは……悪い……」
叫んだ親父に対して、俺は平謝りする事しかできなかった。
丹精込めて作った剣が折られ、その僅か二日後に失くされれば、誰だって怒鳴る事しかできなくなるだろう。
しかし優しい親父は、大きな溜め息を一つ吐いた後、俺の事を許してくれた。
「はぁ……仕方ねぇな。次は、折ったり失くしたりすんなよ?」
「……肝に銘じておく」
「そうしてくれ。……で、他の二人は何も無いのか? 剣のメンテ……は一昨日やったか。流石に嬢ちゃんたちは、それぞれの武器を失くしたりしてないよな?」
「「…………」」
親父の問いに、二人は同時にコクリと頷いた。
すると親父は、こちらに視線を送ってくる。
「おいおい、奴隷の二人と比べて、こっちの主人ときたら……」
「…………」
耳が痛い。
リリアは奴隷じゃないんだが……なんて揚げ足取りを思い付いたものの、しても意味が無いだろう。
親父は再び溜め息を吐いて俺を揶揄するのを中断すると、奥に消えて武器を取りに行った。
それを見て俺が俯きながら溜め息を吐くと、リリアが背伸びをして俺の頭に触れた。
「大丈夫だよ、レイ。私はレイがどんなにダメでも、一緒に居るよ」
「……リリア。気持ちは嬉しいけど、別に俺は落ち込んだりしてないから」
俺が落ち込んだと勘違いしたリリアは、俺の頭をゆっくりと撫で始めた。
落ち込んでいる事を否定した俺を見て、フェードラが溜め息混じりに呟く。
「今のは誰がどう見ても、落ち込んでたように見えるけどね」
「……ムキになってるところも、可愛いよ、レイ」
「……もうなんでもいいよ」
リリアとフェードラに好き放題言われた俺は、諦めて二人の好きにさせる事にした。
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