表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放鑑定士は、真の力で才能の原石だけを拾って最強パーティーを作る  作者: しぃ
第1章 追放鑑定士と新たな仲間たち
18/22

第16話 追放鑑定士たちと包囲網

 ブックマークして下さった方、ありがとうございます! 励みになります!!

「渦巻く風の精よ、鋭き刃を二つ顕現せよ。逃れ得ぬ軌跡を描き、標的を断罪せよ。風の(デュアル・)双斬撃(エアスラッシュ)


 フェードラは、俺たちを取り囲んでいるゴブリンに対して魔法を放った。

 一番手前に居た二体のゴブリンが、風の刃によって首を刎ね飛ばされる。


 ゴブリンの数はまだまだ大量に居る。

 ゴブリンはじわじわと包囲網を狭め、俺たちを殺そうとしている。

 魔法使いであるフェードラの攻撃速度では、ゴブリンによって作られた肉の包囲網を突破する事はできない。とはいえ、俺は武器を持っていないため、援護する事もできない。


「……チッ、やるしかないか……」


 武器の無い俺が戦闘に参加するための方法は、二つ。


 一つは、素手のまま戦う事。

 攻撃力は限りなく低いし、むしろリスクの方が大きい手段だ。


 もう一つは、ゴブリンの武器を奪う事。

 奪う事に成功すればいいが、その奪う行為自体にリスクが大きい。武器を拾っている間に、ゴブリンに嬲り殺しにされる可能性が高いからだ。


 しかし、どちらかをやれと言われれば、後者を選ぶ。そして、今はどちらかをやる必要がある場面だ。


「ちょっ、何する気!?」


 動こうとした俺を見て、フェードラが発狂にも似た声を上げた。


「武器を奪うだけだ。無理はしない」

「奪うだけって……アンタ、死ぬ気!? あそこに突っ込んで床に落ちてる武器を拾うなんて真似、できるはずないでしょ!?」

「まあまあ」


 サッと行ってサッと拾う。それぐらいできなければ、冒険者などやってはいけない。


 タイミングは……フェードラが魔法を放った直後か。


「フェードラ、相手を打ち上げるような魔法はないか?」

「あるにはあるけど……詠唱は長いし、消費する魔力も多いわよ?」

「頼む、それを使ってくれ」


 その詠唱の間は、素手でゴブリンを遠ざける必要がある。


 悩む暇も惜しいのか、フェードラは何かを言おうとして中断し、詠唱を始めた。


「蒼穹を駆ける風よ、万象を巡るその力を今ここに」


 フェードラが詠唱を開始したのをチャンスと捉えたか、ゴブリンたちがこちらに向かってくる。

 俺は足と拳を上手く使い、ゴブリンが武器を振るう直前のタイミングを見計らって、ゴブリンの急所を狙う。

 急所を狙えば、武器が無くともある程度の行動は奪える。


「圧縮されし大気よ、解き放たれ、逆巻く柱となりて立ち昇れ」


 魔力がフェードラの方に集まっていくのを感じる。

 ゴブリンたちは立ちはだかる俺を無視して、フェードラの方へと寄っていく。


 俺はなるべくフェードラに近い立ち位置に立ち、ひたすらゴブリンを近付けないよう、激しき動き回る。


「我が敵を捉え、逃れ得ぬ空へと放逐せよ! 空気の解放(エアリアル・バースト)!」


 フェードラの杖から、風の塊とも言うべきものが解き放たれた。

 その塊に触れたゴブリンは、物凄い勢いで上方向に吹き飛ばされ、天井に叩き付けられる。その衝撃で、ゴブリンたちの武器が手元から離れる。


「ッ!」


 俺は大きく跳躍して、最も近くの空中にあった剣を掴む。

 俺の体が落下をすると同時に、跳ね飛ばされたゴブリンたちや、その手元から離れていった武器が落下を始める。


 俺がフェードラの傍に着地すると、ほぼ同じタイミングで、空中から落下したゴブリンと地上に居たゴブリンが激突し、ドミノ倒しに倒れていく。更に、空中にあった武器が一部のゴブリンの脳天に落ち、傷を作っていく。


 思った以上の成果だ。


「フェードラ、大丈夫か?」


 ゴブリンが一時恐慌状態に陥ったタイミングを利用して、魔法を放ったフェードラを心配する。

 消費魔力が大きいと言っていたが、大丈夫だろうか。


「……ええ、大丈夫よ。ただ、魔法は後一発ぐらいしか打てないわ」


 残り一発か……リリアが来るまで、俺が耐える必要がありそうだ。

 いざとなったら、その一発に頼る事になる。


 俺はフェードラの魔法が放たれた側とは反対側に行くと、そちらの先頭のゴブリンに斬り込んだ。そちら側は恐慌状態に陥っていない。最優先で対処するべきだ。


「フェードラ! 俺の近くに! 魔法はギリギリまで使うな!」


 ゴブリンと斬り合いながら、大声でフェードラに指示を出す。

 大声を出すのは、なるべく早くリリアに気付いてもらうためでもある。


 俺は魔法を使えないので分からないが、確か、魔法を使い過ぎて魔力が切れた時は、体調が悪化し、最悪の場合は気絶まであり得るはずだ。こんなところで気絶すれば、死ぬのは必至。ならば、フェードラにこれ以上魔法を使わせるわけにはいかない。


 俺の指示を聞いたフェードラは、俺の背後に位置した。近過ぎず遠過ぎず、丁度いい位置だ。


 俺はそこから、ひたすらフェードラを庇いながら戦った。

 目の前のゴブリンを斬り、左右のゴブリンを斬り、背後のフェードラを襲おうとしたゴブリンを斬る。


 しかし、俺一人の時とは違い、いくらなんでもフェードラを庇いながら戦うのは、無理があった。


「っ」


 右のゴブリンを斬れば、左のゴブリンから攻撃が来る。

 左のゴブリンを斬れば、右のゴブリンから攻撃が来る。

 背後のゴブリンを斬れば、正面のゴブリンから攻撃が来る。


 その度に、俺の体に傷が増えていく。


 俺を脅威だと認識したゴブリンが大多数なため、ほとんどの攻撃は俺に来るが、稀にフェードラに攻撃をしてくるゴブリンも居た。


「っ!」


 俺は強引にフェードラとゴブリンの間に体をねじ込み、ゴブリンからの攻撃を受ける。

 左肩が斬られ、血が僅かに噴き出る。


「ちょっと! なんで、私を庇って……!」

「フェードラを、助けに来たのに、フェードラが斬られて、どうするんだ……」


 剣を振りながら、合間合間にフェードラに言葉を返す。


 激しい動きをしながら剣を振るのは、少しきつい。


 フェードラは尚も喋ろうとしたが、状況を考えて、黙りこくった。


 そして直後、フェードラが再度叫んだ。


「――リリアが来たわよ!!」

「本当か!?」


 戦闘中の俺は感じ取れなかったが、フェードラはリリアの接近を感じ取ったらしい。

 俺が何か言うまでもなく、フェードラは魔法の詠唱を始めた。


「蒼穹を駆ける風よ、万象を巡るその力を今ここに。圧縮されし大気よ、解き放たれ、逆巻く柱となりて立ち昇れ。我が敵を捉え、逃れ得ぬ空へと放逐せよ! 空気の解放(エアリアル・バースト)!」


 フェードラは限界までの早口で詠唱を行った。

 フェードラはスペルワード――魔法名と同じ、魔法を発動する合図となる言葉――を言うと同時に、俺の横から杖を出した。その杖から先程と同様の魔法が放たれ、前方のゴブリンが上に吹き飛んだ。


 そして――ゴブリンが居た場所に、小さな道が生まれた。その道を、一瞬にして通り抜ける、金色の輝き。


「……リリア」


 一瞬にして俺の目の前に、剣を携えた銀髪の少女が立っていた。

 少しでも面白いな、と思って頂けたら、感想・評価・ブックマーク等して下さると非常に嬉しいです!今後の活動のモチベーションになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ