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主人公たち

 12の雑務を終えて1年Z組の教室に入ると富田は思わず感動した。

 学級開き――学校で一番最初に教室で教師と生徒が顔合わせするホームルームが始まる。

 「マジカルグランドストラテジー」で活躍するキャラクターが複数いることに感じ入ったのだ。

 教室にはZ組の生徒がすでに席についていた。

 感傷的になるなと言われても無理であった。3部作をやりきった富田からすれば大半の生徒が儚く命を散らすことを知っていたからだ。


「えー、俺が担任の海野だ。ぶっちゃけるが俺もおまえ達と同じで教師であるのに、出来損ない、良く言えばワイルドカードな存在だ。正規な期待をされない立場なのだ。この学院だけではなく、全世界で魔力の強い者だけが優遇される状況だ。おまえ達のように12歳を過ぎてから魔法の才能が目覚めた者には良い席が用意されていないのは事実だ。だがあえてこの学院に入学をしたということは一発逆転するしかないという覚悟は持っているのだろう。俺はその手助けをする気だけはあるのでよろしく頼む!」


 富田はつらつらと語ってしまったことに驚いた。ネタバレに近いコメントをしてしまっていることに反省し、戸惑う。

 だが言ったことは本心でもある。自分が受け持つ生徒達の未来に激しい困難が待ち構えているのは確定しているのだ。

 Z組はエスカレーター式の魔法日本学院の中でイレギュラーの存在なのだ。魔法に関して遅咲きであった者が集められているのである。スタートダッシュが遅れている以上、当然に他のクラスからの風当たりが強い。


 挨拶を終えたところで富田は本来は「俺は譜代大名の血筋だ。敬い、ひれ伏すのだ!」と荘六が宣言するシーンであったことを思い出す。

 だが富田の言葉で明らかに気合の入った反応を示す生徒達を見ると、満足できた。

 1年Z組の主要キャラクターは以下だ。


 眉村光は髪の一作目が黄金の勝気な印象な男子生徒だ。スキルは炎系で扱う武器は長剣。「マジカルグランドストラテジー」一作目から三作目の男性主人公の一人で、短絡的ですぐに行動するタイプ。


 眉村喜多は眉村光の双子の妹で外見も能力もほぼ同じである。一作目から三作目の女性主人公の一人であるが、光よりは慎重に動く。


 星勃子は長髪の美少女である。水の魔法を操り、弓道の達人でもある。すぐにくよくよし考え込んでしまう面を持つ。二作目のでの女性主人公を務める。


 半村賢也はクールな外見の氷の槍を使うイケメンキャラ。実は将軍と腹違いの兄弟という設定がある。そそっかしい言い間違えが多くて変な波乱を引き起こすことがある。


 光瀬阿修羅は金髪碧眼の美少年。完全に容姿は西洋人だが、正統派日本武士として育てられており、武骨で実直。参謀タイプで苦労人。地と風の二つの魔法が使える。三作目の主人公キャラでもある。


 平井丈はレアスキル〈念動力〉を操る。筋骨逞しく豪快に映る人物だが犬やアンデッドなど苦手なものが多い。軽率な言動でフラグを立てることで周りからたしなめられる。


 筒井重則は上位の吸血鬼であるが自己暗示で自分の記憶を消している。当初は学園を乗っ取るつもりであったが、学園の食堂に魅入られグダグダになっていく。学院トップクラスの美男子であるが食い尽くし系の食いしん坊キャラ。サーベルと闇魔法を得意とする。


 宮部加代子はヘアスタイルこそ地味なおさげ髪だが、目は猛禽類のように鋭い。いわずと知れた秘密結社「希望の拳」の運営に関わる元気ガールである。


 氷室綺羅は金髪でド派手な顔貌で気高く振舞う。二作目の主人公キャラで雷系の魔法を使う。嫌味をよく口にするが嫌われることに敏感。猫には幼児語で話す。


 そして司馬寧々――荘六の許嫁であるが、冒険者としても開花していく。おっとりとして派手さはないがケアレスミスを防いだり、真っ当なアドバイスを周りにすることで皆の支持が厚い。植物の魔術師となる。


 個性豊かな生徒をクラスの中で見回すと富田の中で熱いモノが走る。

 富田は普段のプレイではできるだけ脱落者が出ないように選択していたので、できればそういう風に指導したい気持ちはある。だが海野荘六としては別の役割があるのだ。

 荘六の役割はイヤミったらしいヘイト集め、皆をしごくキャラである。未熟な生徒に魔法と暴力で苦慮を強いるのだ。そして中盤で生徒に敗れ、担任を外れることになっていく。

 教壇に立った時点で富田は荘六の役目を十分に果たせないだろうと直感した。だが要は生徒の前に立ちふさがり、成長を促す役目を果たせばいいのだと思い、考えを改めていく。

 富田は生徒達を見ていると使命感のようなものを覚える。教壇に立って富田は自分は教師としての適性が高い気がした。

 どんな生徒でも寄り添い、導きたい欲がむくむくとわいていく。だが実際は三作目で始まる世界大戦を食い止めるには教師なぞやっている時間はない。それでもこの子たちの未来を何とかしてあげたいという気持ちが止まらなくなっていく。

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