もしも番の呪いが解かれたら(小話)
「なぜあんなにも追いかけていたのか……そんな暇があるなら鍛錬をした方が有意義であるというのに……」
「こんな平凡な女が我が番であるはずがない。どうやら我はどうかしていたようだ」
「どうしてあんなに可愛いと思えたんだろう。実際、僕の方が可愛いよね」
「結婚とはいかないが……君がいいというならハーレムの一員として迎え入れよう」
「お友達でいようねっ」
一人以外酷い言いようであった。
リナリーは少し腹が立ったが、彼らは呪いの犠牲者であるため甘んじて受け入れることにした。
しかし、シドはそんな彼らの姿を見て静かに手を開くと拳を握りガッツポーズした。
これで各国の王族に追われることはないのだと、リナリーとの恋の障害であった彼らがいなくなるのだと喜んだ。
「リナリー!」
シドはすぐに彼女に駆け寄りその手を取り、瞳を見つめた。
リナリーは瞳を瞬かせる。
「やっと、やっと呪いから解放されたんだ!これで心置きなく結婚できる!」
「え……」
リナリーは突然のプロポーズに驚くと、その言葉を噛みしめかーっと顔を赤らめた。
シドの気持ちが呪いとかで強要されているものでないと証明され、リナリーはとても嬉しくなり天にも舞い上がってしまいそうだった。
既に彼女の意識からは元番たちは消滅し、シドだけしか見えていなかった。
「小さくてもいいから家を建てよう。街中でも海が見える丘でもいい。リナリーと一緒ならどこだって。穏やかな家庭を築いて仲睦まじく暮らしていこう」
「シド……」
詳細に語られる結婚未来図にリナリーはじーんと感動した。
完全に蚊帳の外となった元番たちはそんな二人の様子を見て、謎の焦燥感に駆られていた。
「何故だ?剣を抜いてしまいそうな衝動が抑えきれない……」
「……」
「なんかめちゃくちゃ悔しくなってきた」
「どういうことだ?かつてなく胸が苦しい。まるで胸をえぐられているようだ……」
「泣きたくなってきたっ」
今までにない心の揺らぎに彼らは動揺する。
呪いの発動であった。慌てて二人の間に割って入る。
「どうやら私たちは呪われていたようだ。リナリー、その結婚を考え直してほしい」
「うるせー!お前らは今が呪われてる状態なんだよ!入ってくんじゃねぇ!」
王弟の言葉に他の番も頷いていたが、シドはそれを一喝した。
~リンファの場合~
「リナリーはいつでも可愛いヨ」
「リンファもいつでも可愛いよ」
ひしっとリナリーとリンファは抱擁した。
とりあえず完結で。お読みくださりありがとうございました。
一応シドがリナリーに気持ちを伝える話もあるんですが、気が向いたら書きます。
ちなみに私の推しはセル×リナ、シド×リナでした。
番からの逃亡という設定だったので泣く泣くセルフィとはくっつけませんでしたが、心の中では推してます。




