表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校時代に戻った俺が同じ道を歩まないためにすべきこと  作者: 夜月紅輝


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/314

第118話 新学期の恋心#3

―――東大寺琴波 視点


 莉子ちゃんに妙なこつ言われてから数日後。

 そん間、特に莉子ちゃんの企みば感じるような出来事は何もなかった。

 それどころか、莉子ちゃんな自分が言うた言葉に対して、忘れとーかんごと普段通りや。


 正直、そっちん方がありがたか気もするばってん、同時にどっか期待しとった自分もおる。

 そりゃ、お近づきになるーんやったら......ねぇ?

 そげんこげなと昼休み。

 一緒にご飯ば食べよーと、莉子ちゃんから急に話題ば振られた。


「それでいつ告白するんだっけ?」


「ぐふっ」


 あまりん唐突で衝撃的な内容に喉にご飯が......い、一体何ば言い出すんかこん子は!?


「なんでうちが告白するみたいな感じになっとーと!?

 そげんこと一言も言うたことなかろうもん!!」


「だって、好きなんでしょ? 違うの?」


「そりゅ好いとーばってんしゃ......」


「なら、当然気持ちは伝えるべきよね」


 簡単に言うてくれるよ、莉子ちゃんな。

 莉子ちゃんから浮いた話ば聞いたことなか時点で、莉子ちゃんもまだ恋したことなかろうに。


 うちゃ一先ず気持ちば落ち着くるごと深呼吸した。

 莉子ちゃんのせいで最近方言がだだ漏れな気がする。

 ばってん、莉子ちゃんの言いたかこともわからのうはなか。

 好意なんていつまでも持っとける気持ちやなか。


 こん恋心ば糧にまた新たな恋ば迎えることが出来るかもしれんっちゃけん。

 ばってんしゃ、そう簡単に「わかった! 行ってくる!」で解決できたらこげん悩んどらんとよ。

 それに、そもそもん話――


「早川君は付き合ってる先輩がいるよ」


 一番の問題はこれや。早川君は彼女持ち。

 そげん相手に告白なんてしてよかとやろうか。

 自分の気持ちにケリばつくるんやったら、やっぱり言うべきなんやろう。

 ばってん、告白っていうとは負け戦で言うべきもんでもなか気がする。


 はなから結果がわかっとーやったら、自分の気持ちば押し殺して好きな人ん幸せば願う方が良か気がする。

 そげん言葉に込められたうちん気持ちに対し、莉子ちゃんなバサッと切り捨てた。


「だから? 行けばいいじゃない?」


「そんな適当な......」


「寝取れば?」


「そげん適当な!!」


 莉子ちゃんな全くもう他人事やて思うてぇ!

 うちにそげん行動力なかばいっちゃ!


「莉子ちゃん、もう少し脳みそ使ってしゃべってよ」


「いつもあなたとの会話の時に適当に返事してるみたいな言い方は心外よ。

 ちゃんと0.1パーセントは使ってるわ」


「0.1パーセントって......ゼロ三つ増やしてよ!!」


「それはさすがに強欲が過ぎると思うわ」


 うちん言葉に莉子ちゃんな呆れたごとため息ば吐いた。

 莉子ちゃんな頬杖ば突きながらうちば見ると、伸ばした手でそっと前髪に触るー。


「うん、やっぱり。あなた、思ってる以上に素材いいと思うわ」


「そうかな......?」


「今まで言ってこなかったけど、あなたって密かに男子に人気あるのよ?」


「え?」


 なにそれ初耳!


「あなた、なんだかんだでちょくちょく方言出てたのよね。

 それを聞いた男子で噂になって、そんでもって男子受けが良かった。

 それにあなたがこの夏休みで好きな人のために容姿に磨きをかけたことで、無事夏休みデビューが成功。あなたに向ける男子の目は確かに変わり、さらに人気は増えたわ」


「それって早川君も!?」


「それは無理じゃない? 彼に関しては久川さんと元気さん、それから例の彼女先輩とで目が肥えてると思われるし」


「高級食材のオンパレード!」


 あ、相手が強すぎるよぉ......。

 キャビア、トリュフ、フカヒレに続いて、うちなんかガリのようなもんばい!

 早川君、ガリ好きかな? お寿司屋さん行ったら食べたりせんかな?


「琴波、あなたに欠点を挙げるとするなら、そのネガティブに考えて動けなくなることね。

 前にも言ったと思うけど、あなたは考えて動けるタイプじゃないわ」


「......バカってこと?」


「否定しないわ」


「否定しんさい!」


「だけど、逆にあなたは余計なことを考えなければ、凄まじい行動力を持つ人だと思ってる。

 だから、うだうだ考えるよりも先にとりあえず行動してみなさい。

 それによって見えてくる景色だってあるかもしれないでしょ?


 確かに、莉子ちゃんの言う通りかもしれん。

 告白するにしたっちゃ、せんにしたっちゃ、こんままじゃずっと早川君に対して接点がなかままだ。


 そげんのは嫌。ここまで努力できたんな早川君んおかげ。

 せっかくここまでやったならやっぱ見てもらいたかよね!


「よし、やるぞ!」


「その息よ」


 莉子ちゃんが微かに笑うた気がした。


―――放課後


「えーっと、それじゃ勉強する?」


「え、あ、うん、はい......」


 学校ん図書室で早川君が隣におる! なしてこげんことに!

 今日ん授業が終わって、いつも図書室で勉強しとー莉子ちゃんが今日に限って誘うてきたて思やあ! それに人ば呼んでおいて本人おらんし!


 どうやら早川君は莉子ちゃんから、うちに勉強ば教えちゃって欲しかと頼まれたみたい。

 そこでほとんど関わりなかうちに対して、親切に引き受けてくれるんなやっぱ素敵ばい.....ってデレとー場合やなか!


「え、えーっと、早川君は私なんか相手してよかったの?

 その、クラスでもほとんど話したことないのに」


 何こん、まるで早川君ん親切心ば疑うとーような愚かな質問は! バカかうちゃ!

 そげんうちん質問に対し、早川君は笑うて答えてくれた。


「いいよいいよ、全然。

 頼まれた時はびっくりしたけど、俺なんかで良ければ力を貸すよ。

 まぁ、俺が東大寺さんの役に立てればの話だけど」


「立つばい! 絶対に! うち、バカやけん!」


「そんな自信満々に言うか?」


 嬉しさにテンションが上がってしもうた。

 そのせいで図書委員に注意されてしもうた。

 くぅ、早川君ば巻き込むなんて! 反省せれ、うち!


 ともかく、せっかくこげん状況になってしもうたけんには、思う存分に味わなかと損ってもんばい!


「早川君、よろしくお願いします!」


「こちらこそ、よろしく」


 それから、うちゃ早川君に勉強ば教えてもろうた。

 うちゃ色んな所でケアレスミスしたり、読み違いばしたりしたっちゃ全然(いっちょん)怒らなかった(はらかかんやった)

 莉子ちゃんならすかさず毒付きん矢ば飛ばしてくるとに。


 早川君は「隼人の受け売りなんやけどね」みたいな感じで教えてくれとったばってん、うちからすりゃ先生ーは早川君やけん、ずっと早川君凄かて思うとった。


 途中、早川君も解説できん問題もあったばってん、そこは二人で協力して頑張った。

 そん結果、見事答えに辿り着くことが出来た。

 そん時ん嬉ししゃはなんと表現したらよかか。

 とりあえず、こん問題文だけは絶対に解くるようにしとこう(ごとしとこうて)思うた。


 きっとこげな時、早川君とん仲ば進展させるなら、勉強しながら他ん話題とかも出した方がよかかもしれん。


 だばってん、うちゃこん空気が好いとった。

 すぐそばで早川君ん努力ん片鱗が感じらるーような気がして。

 そん度に、やっぱ好いとーなぁって思う。

 胸いっぱいに温かか気持ちが広がり、同時に締め付けらるーような苦しさもある。


―――あなたは考えて動けるタイプじゃないわ


 莉子ちゃんの言葉ば思い出した。

 うん、やっぱ莉子ちゃんの言う通りかもしれん。

 うちゃそっとこれまでん気持ちん歴史ば振り返った。

読んでくださりありがとうございます(*'▽')


良かったらブックマーク、評価お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ