8.続鬼ごっこ
仕立て屋さんが帰った後、今度はお父様に呼ばれた。
「ティア、今日は鬼ごっこはやらないのか?」
鬼ごっこが気になって仕方がないようだ。
「おとうさまもやる?てぃあはみんながあそんでくれるならやる」
鬼ごっこなんて遊びだからそんなお伺い立ててやるものではない。前世では子供の毎日でもやっている遊びだ。
「じゃあ、父様にも教えてくれるか?」
「いいよー。おにいさまたちもよばなきゃ」
兄達は家庭教師がついてお勉強中だ。
「兄様たちが、勉強が終わったらにしようか」
「ティア、今日も鬼ごっこするのかい?」
アイス兄さまだ。
「おとうさまもやりたいんだって」
「絶対ティアのあーんに釣られてるよね」
ライ兄さまだ。
「今日は僕もがんばるぞ!」
アレク兄さまも張り切っている。
「父様だって負けないぞー!」
皆で私兵団へ。
「お前たち、いったん休憩だ!今から鬼ごっこをするぞ」
(全然休憩じゃないよな…)団員心の声
「きょうもかったひとは、てぃあのおやつあーんのけんりをぷれぜんとしまーす」
「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」
いや、やる気ですぎでしょ。
お父様にもルールを説明して、鬼に赤いタスキを配って(昨日の今日で仕上げてるお針子さんすごい)
スタート!
今日の私は、一応逃げる人だ。なお、おちびなのでエリックに抱っこしてもらって逃げている。
3歳児とはいえ、抱っこしながら逃げてるエリックすごすぎない?
今日の鬼はうちの家族からはライ兄さまとアイス兄さまだ。あと団員が数名。
お父様が鬼をしたがったのだが、お父様が鬼だと全員捕まると団員が抗議の声をあげたのでお父様も逃げる人だ。
そして、最後に残ったのはお父様と私だ(エリック付)
お父様は余裕で逃げている。
私も団長に追いかけられている。
やばい!奥の手だ!
「てぃあのことつかまえるの?」
うるうる。
団長が固まった。もう一息!
とここで
「ダメだよ。ティアの手にひっかかったら!!ティア捕まえた!!」
「あー!らいにー!」
後ろからライ兄さまである。くそ!油断した!うるうる発動に気を取られてた!!
「昨日その手にやられたからね!」
そしてタイムアップ。
お父様独り勝ちである!
さすがお父様。かっこいいし、強いし、すばやさもある。うちのお父様最強!
「おとうさまにはてぃあからあーんのぷれぜんとでーす!」
「よし!!!楽しみだな!」
そうして本日の鬼ごっこは終了したのであった。
勝利者であるお父様のお膝に乗って、今日はシフォンケーキをあーん。
「今日はお父様が勝ったのね?」
「そう!おとうさますごいんだよ。ひとりだけにげきったの!」
お父様誇らしげである。
「当たり前だ」
といいつつもデレデレの顔で私からのあーんを受けている。
「「「いいなー」」」
「父上になんか敵うわけないよー」
兄達がブーブー怒っている。そこは私も想定済み。
「きょうはてぃあをつかまえた、らいにーにもあーんのぷれぜんとでーす」
とお膝に乗りながらあーんをする。
「あーん」
まさかのあーんにライ兄さま顔が蕩けている。
「ライ兄ずるいー!」
アレク兄さまだけまだあーんがないのでぶすくれている。
あとでこっそり何かプレゼントしておくか!一番年が小さいから仕方ないもんねー。