13.差し入れ
うちの私兵団や騎士団によく顔を出すから差し入れを用意したい。
3歳でもできる差し入れ。
「りょうりちょー、れもんある?あとはちみつ」
「お嬢様、ありますよ。どうしました?」
「あのね、れもんをねうすくきってくれる?」
「いいですよ。何になるんですか?」
「さしいれだよ。ひろうかいふくだって」
「疲労回復ですか?また難しい言葉を知ってるんですね」
「ほんでよんだの」
これまた異世界転生した人あるあるの『本で読んだ』である。
「はい。切れましたよ」
「はちみつでつけるのよ?しばらくおいたらできあがり」
「できたら私にも味見させてもらえますか?」
「いいよー」
出来上がり!レモンのはちみつ漬けだ。
これなら簡単だし、3歳児でもまあごまかせるだろう。
「お嬢様、これは美味しいですね!」
「ねー!こうちゃにそえてもいいとおもうよ」
「今度やってみましょう」
料理長も新しいことを知ってほくほくだ。
まずは、お兄さまに会いに私兵団へ。
「おにいさまーーーーーー」
走ってくる兄たち
「どうしたの?ティア」
「これ、たべて!うんどうしてるときにたべるといいんだって」
「「「これはおいしいね!」」」
「レモンなのに甘いしそんなに苦くもない」
好評なので団員にも差し入れる。
大好評だ。今度はもっと多く用意してもらおう。
騎士団へも差し入れるぞ!!
お父様について騎士団へ行く。差し入れを持って。
休憩時間に振る舞う。
すると、一部の人が寄ってこないことが気になった。どうして?迷惑?
と首を傾げていると
「ティアどうした?」
「あのひとたちなんでこないの?てぃあめいわく?」
「ああ。違うよ。あの人たちは髪が暗い色だろ?この国では暗い髪色は歓迎されない」
「かみがくらいだけなのに?」
「そう。騎士団でもいじめがあるわけじゃないが、本人たちは気にしてる。別の場所ではこそこそ後ろ指差されることもあるんだ」
「てぃあきにしないのに」
「持って行ってあげなさい」
レモンのはちみつ漬けを持って近くへ行く
「ひろうかいふくにきくんだって。どうぞ」
「…」
「いらない?めいわく?」
うるうる。
「うっっっ。いただきます」
「どうぞ」
キラキラの笑顔を向ける。
「髪が暗い色なの怖くないの?」
「なんで?みんな、きれいないろだよ?」
こげ茶、深い緑、深い紫、紺色などなど皆色んな暗めだけど綺麗な色だ。イケメンだし。
「この国では嫌われてるんだよ」
「てぃあきにしないよ?かみがくらいだけでなにもかわらないでしょ?かみがくらくてもいいひとはいいひとだよ」
前世日本人の私からしたら暗い髪がどうしたと言いたい。
うちの私兵団にもいるが、誰も気にしていないから差別があるなんて今まで知らなかった。
「きしだんにはいれてるんだから、だいじょうぶ。つよいんだからだいじょうぶ。ここにいるだれもきにしてないよ?だいじょうぶだよ」
にっこり。
謎な差別だなぁ。
後から聞いたらめちゃくちゃ迫害されたりとかはないけど、特に女性への受けが悪いらしい。子供に遺伝したら差別されるからだって。
こういうのって、心が狭い性格が悪い人に限って平気で態度に出すんだよね。
ただの髪色よ?あほくさい。でも悩んでる人がいるのはかわいそうだよな~。
でも私ができることなんて無いしな。
私に今できることは
この人たちを元気づけること!そう!お得意の鬼ごっこだ!
「おにいさんたち、こういうときはおにごっこだよ」
「おにごっこ?」
「おとうさまー!おにごっこしよー」
鬼ごっこは異世界を救う~




