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窮地

 次のラウンドでは、強気の発言をした『Comet』が、宣言通りに活躍をしてみせた。

 同時にエントリーしてきた声呼、友愛、樹那の三人を、次々と倒し、3つのダウンを奪ったのである。

 これは相手の動きを予測したわけではなく、ただの幸運である。

 が、彼の有言実行とも言うべき結果によって、一気にP高の士気が高まった。


【DarkGuru:ナイス!】

【Riley:素晴らしいですわ】


 アリスが倒れたため、パーフェクトとはいかなかったものの、それに近いかたちでラウンドを取り、これで6-10。

 この勢いは、次のラウンドでも止まらなかった。


 アルファをアリスと『Comet』が守り、ベータは麗羅と『DarkGuru』が固め、ミッドに『Temp』を置く、という配置。


 今女はアルファに良瑠と灑が向かったが、先のラウンドから波に乗っている『Comet』によって灑が倒され、それを見た良瑠は一度、引く羽目になってしまう。


 他方、ベータには声呼、友愛、樹那が向っていた。こちらが本命だったのだが、スナイパーを構え、長い通路を張っていた麗羅が友愛を捉えた。


【Toa:スナイパー! 気をつけて!】

【Jyuna:わかった】


 それを聞いた樹那は、その通路を避け、脇道に入った。


 だがそれは罠だった。脇道の出口を、高いところから見張っていたのが『DarkGuru』である。

 コントラクターの背丈より高い位置から狙われると、相手を視界に捉えるのが遅れてしまう。


 樹那が上からの射撃に気づき、そちらを向いた時にはもうほとんどダウン寸前だった。

 そこからの逆転は、プロでも不可能に近い。


【Jyuna:こっちにもいるぞ!】

【Seiko:クッ】


 状況が悪いとみた声呼は一度、引くことにした。


 しかし、P高はアルファ側に一人いることを察知していたため、ベータには声呼しかいないことを分かっていた。

 強引に詰めてくる。同時に、アルファの二人も良瑠を仕留めるため、外へ出てきた。

 声呼と良瑠、二人がダウンしたのはほぼ同時だった。


 今度こそ、パーフェクト・ラウンド。P高は11ラウンド目を取った。


 さらに悪いことに、次のラウンドで今女はキャッシュが十分にない状況での戦いとなってしまう。

 特に厳しいのが樹那、良瑠、友愛だった。この三人はピストルしか購入できない。


 この状況下において、戦力は分断できない。今女は全員でベータへ向かった。

 P高はアルファに『Comet』、ミッドに『Temp』と『DarkGuru』、ベータには麗羅とアリスがいた。


 麗羅は先程と同じく、長い通路でスナイパーを構えていた。

 そのことを警戒していた今女は、エンマクで視界を遮り、距離を詰める作戦にでた。


【Riley:ベータ前、長い通路にスモークきましたわ】

【Temp:了解】


 スキルを使うということは、そこにいることを知らせてしまうことにもなる。

 ここで『Temp』は、敵がいるであろう位置に、アルティメット・スキルを使うことにした。


 彼のコントラクターはナイトメア。アルティメット・スキルはナイト・カーテンという。

 障害物を貫通する、エネルギー波を撃ち出すスキルだ。

 ミッドと通路の間には厚い壁があったが、このナイト・カーテンの前には意味をなさない。


 樹那、灑がナイト・カーテンの射線上に立っていた。

 こればかりは不運としか言いようがない。『Temp』の予測も見事だった。


【Temp:よし! 二人やった!】

【Riley:こちら、まだいますわ】


 焦りもあったのか、無防備にエンマクを出てしまった友愛を、麗羅が狙撃する。

 ダウンを奪うが、即座に出てきたもう一人には対応できなかった。


 良瑠だ。


 彼女もここで、アルティメットを使っていた。

 コントラクターはカウンセル、スキルはジロ・デ・フォルツァという特殊なスナイパー・ライフルだ。

 弾はたったの五発だが、当たれば一撃という大ダメージがある。さらに、倒した敵の周辺にスロー効果のあるフィールドを作り出す。


(良瑠か。やりますわね)

 麗羅はヘッド・セットと眼鏡を外し、髪をかきあげた。


 すでに二人倒された状況で、アルティメットを使うかどうかは迷うところだ。

 ここは諦め、次に賭けるほうが正しいかもしれない。


 しかし、良瑠は使った。

 このラウンドを落とせば後がない、ということをよくわかっているのだ。

 その判断ができるようになった、そのことを麗羅は素直に称賛した。


 だが、二対四という人数差、状況は今女に不利だ。

 まだベータの守りは固まっていない、そう判断した声呼は早めに攻めることを決めた。

 良瑠は彼女の後からついていく。


 アリスはベータに味方が揃うまで時間を稼がなくてはならない。

 ウォール・スフィアで壁を作り、さらにスロー・スフィアという、立ち入れば足が遅くなる、というフィールドを作り出すスキルまで使用した。

 声呼が攻めあぐねている間に、ミッドにいた『DarkGuru』が彼女たちの後ろに忍び寄っていた。

 スナイパーの良瑠は近距離戦になれば不利だ。声呼も振り返った時には遅かった。

 立て続けのダウンで全滅である。


 これで6-12、先にP高がマッチ・ポイントを迎えた。

 次で負ければ一本目のゲーム、今女は落とすことになってしまう。


Riley … 麗羅

RisuxRisu … アリス

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